交通取り締まり用の覆面パトカーに搭載される反転式赤色灯は、極めて精密な機械式の装備です。この装備は車内のコンソールにあるスイッチ一つで、ルーフの中央から赤色灯が起立する仕組みになっています。現在のパトライト社製モデルでは、赤色灯は上下が180度逆に収まっているのではなく、45度の横向き状態に倒されて収納されています。スイッチを押してから赤色灯起立まで実に2秒、収納は1.8秒という驚異的な速さで動作します。この反転式赤色灯の基本構造は数十年にわたり変わっておらず、光源もハロゲンが採用されているのが特徴です。
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トヨタ製の交通覆面パトカーには、パトライト社製ではなくトヨタ製の反転式赤色灯が搭載されているケースもあります。速度違反車両を追跡する交通機動隊や高速道路交通警察隊の交通用覆面パトカーの場合、高速運転の状況下では窓から手を出して着脱式赤色灯をルーフに乗せるのは危険ですから、現在は赤色灯を機械的に屋根からモーターで出しているというわけです。また、重要人物を警護するいわゆる警護車も反転式を採用しています。
通常走行時は格納され、上から見ると四角いフタのようなものがついているため、ルーフ上のフタの存在が見分けるポイントになります。内側には反転灯を収納するスペースが確保されており、外部からは全く見えない設計となっています。
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捜査用の覆面パトカーは、反転式ではなくマグネット式の赤色灯を使用するのが大きな特徴です。捜査用の覆面パトカーはグリル内に前面警光灯を装備せず、マグネット式の赤色灯を車内から手でルーフに載せる方式を採用しています。捜査用の覆面パトカーは助手席側から載せる場合が多いので、緊急走行時には車両が左側に寄ることになります。
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捜査用の覆面パトカーは緊急時は電源コードをバタつかせながら走ることがほとんどです。電源コードがしっかりと固定している覆面パトカーはレアケースといえるでしょう。このマグネット式赤色灯は、交通取り締まり用の反転式とは異なり、捜査活動や幹部車両の移動など、スピード違反以外の警察活動に従事する車両で使用されています。
警視庁管内に生息するトヨタ・ハイエースには、交通課配備の覆面パトカーがあり、単なる輸送車ではなく、覆面パトカーとしてスピード以外の交通違反をガンガン取り締まってくるとのことです。赤色灯を常時おでこに付けていますが、乗用車のルームミラーには映りにくく、車種ゆえに秘匿性が極めて高い覆面パトカーといえるでしょう。
交通覆面や警護車には、フロント部分に赤色灯が装備されているのが特徴です。近年はフロントグリル内にLEDタイプの前面警光灯を装備する場合が多くなっています。捜査用車両や幹部車両にも一部装備されているものがあり、覆面パトカーと判断する手がかりのひとつとなります。ただし、グリルの内部に装着されている場合は、判別が難しく、それゆえ見つけた時の快感もひとしおであると、覆面パトカーウォッチャーの間では知られています。
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フロントグリル内にも赤色灯が隠れており、陽ざしの関係でチラッと見えることもあるため、正面から観察すると発見しやすくなります。この前面警光灯は、赤色回転灯をまわして速度違反のクルマを追走する際に、後方だけでなく前方からも緊急車両であることを知らせるための重要な装備です。
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交通覆面で最も重要な装備として、この前面赤色警光灯は追尾式取り締まりにおいて必須の装備となっています。速度違反を犯している車両を追尾するために、覆面パトカーが法定速度を超えて走るには、赤色灯を回転させることが道路交通法施行令第14条で義務付けられています。
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覆面パトカーがスピード違反を犯している車両を追尾するために、法定速度を超えて走るには3つの条件があります。公安委員会の指定(もしくは届け出)を受けている車両が緊急用務を遂行する目的で、赤色灯を回転させ、サイレンを鳴らしているときに、はじめて緊急車両の要件を満たします。法的な最高速度の条件が、一般道路で80km/hまで緩和され、高速道路は100km/hまで、ということになっています。
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実は、サイレンを鳴らさなくても違反者の追尾は可能な場合があります。しかし、赤色灯を点けずにパトカーが「違法追尾」をしても、捕まった速度違反車は基本的に有罪となるのが現状です。これは、違反行為自体が成立しているため、取り締まり手続きに瑕疵があっても違反事実は消えないという法的な判断によるものです。
赤色灯は緊急自動車以外に設置することは法律で許されていません。しかも緊急自動車を所有できる対象は、公共性や公益性の高い組織・業種に限定されています。そのため、警備会社などが所有する車両であっても赤色灯を取り付けて緊急自動車として走らせることはできません。一般車両でも公道を走る際に赤色灯にカバーを掛けるなどの措置を取れば、赤色灯を搭載しても問題はありませんが、走行するための赤色灯は搭載できないということです。
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2024年5月には、福岡県で覆面パトカーもどきに改造した乗用車が赤信号を無視しタクシーと衝突し、運転者2名が危険運転致傷容疑で逮捕された事例があります。助手席の男性が車窓から赤色灯を手で設置し、「交差点に進入します」などと車内マイクで呼びかけていた悪質なケースでした。
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覆面パトカーを見分けるには、赤色灯以外にもいくつかの重要なポイントがあります。まず車種として、高性能な「国産4ドアセダン」が多いのが特徴です。理由は、速度超過した違反車両にすぐ追いつける走行性能と、車内で違反処理をするための居住性が必要だからであり、具体的な車種としてはトヨタ「クラウン」や日産「スカイライン」などがよく採用されています。ただし近年は、そもそもベースとなる上級セダンが急激に減少しており、SUVモデルをベースにした交通取り締まりの覆面パトカーが出現する日も、そう遠くないかもしれません。
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アンテナは覆面パトカーを見分ける決定的な手がかりの一つです。近年最も多くみかけるのが、ラジオ用アンテナに擬装したタイプの無線用アンテナで、「ユーロアンテナ」と呼ばれています。車種によっては、元々ラジオ用としてこのアンテナを標準装備している場合もあるので、ノーマル時の仕様をよく頭に入れておく必要があります。200系クラウンの覆面パトカーは、ルーフアンテナが長く、プリウスみたいな可倒式であることが確認されています。装着位置もリヤウインドウの上端近くと、ノーマルのリヤウインドウからややフール中央にセットされているのとは異なります。
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取り締まりを行う隊員は2名乗車を基本としており、前席に交通機動隊の制服を着用した人が2名乗車しているかをチェックするのも、外から覆面パトカーを判別する有効な方法のひとつとなります。覆面パトカーがパトロールしているときは、青い制服と白いヘルメットを着用した警察官が2名乗車しています。後ろからでは乗車している人を見分けることはできないので、並走した際に隣の車にどんな人が乗っているのか、をチェックするようにしてください。
参考)【徹底解説】覆面パトカーの見分け方|車種や特徴をまるごとチェ…
覆面パトカーの赤色灯の仕組みについて詳しく解説しているセキュリティ専門サイト(反転式赤色灯の動作メカニズムや収納方式の詳細情報)
覆面パトカーの見分け方について解説している自動車情報サイト(ルーフ上の格納式赤色灯やフロントグリル内の赤色灯の特徴)

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