夜間運転時の対向車ライトの眩しさを軽減するメガネを選ぶ際、最も重要なのは可視光線透過率です。JIS規格では夜間運転用として75%以上の透過率が推奨されており、実際には80%程度が最適とされています。透過率が低すぎると視界が暗くなり、歩行者や標識の認識が困難になるため安全運転に支障をきたします。一方で透過率が高すぎると光の調整効果が弱まり、対向車のヘッドライトや街灯の眩しさを十分に軽減できません。
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夜間運転用メガネには主にブルーライトカット機能を持つレンズが採用されています。現在の車のヘッドライトや街灯の多くはLEDライトが使用されており、高レベルのブルーライトを放出しています。LEDヘッドライトに含まれるブルーライトを効果的に軽減することで眩しさをやわらげ、ブルーライト領域から上の波長は落とさないように設計されているのが特徴です。山本光学が開発した「ナイトイエローレンズ」は、JIS規格で定められた75%を上回る82%の可視光線透過率を確保しながら、LEDライトやハイビームによる眩しさを軽減します。
参考)https://ishigami-megane.com/pages/%E5%A4%9C%E9%96%93%E5%AF%BE%E5%90%91%E8%BB%8A%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%8C%E3%81%BE%E3%81%B6%E3%81%97%E3%81%84%E6%96%B9%E7%94%A8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA%E9%81%B8%E3%81%B3%E6%96%B9
偏光レンズも夜間運転の選択肢となりますが、使用には注意が必要です。偏光レンズは路面や対向車のボンネットからの反射光を抑える効果がありますが、夜間運転での効果は限定的です。夜間に偏光サングラスを使う場合は、視感透過率が75%以上のレンズか、メーカーが夜間運転用として推奨するレンズを選ばなければなりません。視感透過率が75%未満のレンズを夜間に使用することはJIS規定で禁止されており、不適切な偏光サングラスを使うと視界が暗くなり交通事故につながる可能性もあります。
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夜間に対向車のライトが昼間よりも眩しく見える理由は、瞳孔の反応メカニズムにあります。周囲が暗いとき、光を通す瞳(瞳孔)は光を取り入れようと大きくなります。瞳が大きい状態でヘッドライトの光が目の中に入れば、より一層眩しく感じるのです。また、瞳の大きさによって視力が変わる人もおり、昼間なら見えたものも夜間運転では見えにくくなってしまうケースがあります。
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近年、LEDヘッドライトを採用する車が増えたことで、夜間でも対向車のライトを眩しく感じる運転者が多くなっています。従来の「ハロゲン」だけでなく、より明るく省電力の「HID」や「LED」を採用するクルマが増加し、さらにカー用品店で販売される社外品の「HID」や「LED」を通常のバルブを交換する感覚で取り付けられるようになったことも影響しています。これらの明るすぎるヘッドライトは「明るすぎる=眩しい」と感じる人も多く、対向車や前走車からすれば危険ですらあります。
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対向車のヘッドライトによる眩しさ(グレア)は、運転の安全性を大きく低下させます。研究によると、ハイビームによる対向車のヘッドライトグレアがある状態では、歩行者の見落とし率が増加することが示されています。特に白内障などの視力問題がある場合、対向車のヘッドライトグレアの影響はさらに深刻になります。歩行者が眩しさの光源に近い位置にいるほど、検出性能の低下が大きくなるという研究結果もあります。
参考)https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2018.00164/pdf
市場には複数のメーカーから夜間運転用メガネが販売されており、それぞれ独自の技術を採用しています。JINSの「ドライブナイト」は可視光線透過率87%のレンズで、夜間や曇りの際の対向車のLEDライトや街灯の眩しさを抑えつつ、視界を暗くさせにくい適切な透過率を実現しています。夜間でも明るい視界を確保できる設計となっており、遠近両用で使用することも可能です。
参考)https://www.jins.com/jp/lens/drive/
東海光学の「NIGHT GLASS(ナイトグラス)」は、夜間に低下する視力をアシストする「視力アシスト機能」を最大の特徴としています。眩しさの原因となる光を効果的に抑えながら、人の目が暗闇で最も明るいと感じる510nm付近の波長(暗所視比視感度の高い波長)の透過を高めることで明るさを確保します。眩しく感じる光のみをカットし、夜間に必要な光を十分に透過させることで、眩しさを抑えながらも明るさを確保する設計です。ライフスタイルやファッションに合わせて選択できる4タイプが用意されており、跳ね上げ式でお手持ちのメガネに簡単装着できるタイプもあります。
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東海光学のもう一つの製品「アクティビューナイトドライブ」は、対向車のライトの眩しさを抑えながら明るさも確保してくれる機能カラーシリーズです。度付き対応が可能なので遠近両用レンズにすることもでき、メガネユーザーに特におすすめです。眼鏡市場でも夜間運転に最適なカラーを採用したレンズが開発されており、対向車のヘッドライトの眩しさを軽減するにはある程度の偏光度があるサングラスが推奨されています。サングラスの偏光度は60%以上から設定されています。
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| 製品名 | 可視光線透過率 | 主な特徴 | メーカー |
|---|---|---|---|
| ドライブナイト | 87% | LEDライト・街灯の眩しさ軽減、遠近両用対応可能 | JINS |
| NIGHT GLASS | - | 視力アシスト機能、510nm付近の波長透過重視 | 東海光学 |
| ナイトイエローレンズ | 82% | ブルーライト軽減、雨滴による散乱光のちらつき軽減 | 山本光学 |
| アクティビューナイトドライブ | - | 度付き対応可能、遠近両用レンズ対応 | 東海光学 |
メガネやサングラス以外にも、夜間運転時の眩しさを軽減する方法があります。最も基本的な対策は、対向車のヘッドライトを直視しないようにすることです。眩しさを感じた場合、前が見えず無意識に光を見てしまうことがありますが、さらに眩しさを感じる原因となります。視線を少しずらすことで目に入る光の量を減らし、前方の視界を確保しましょう。ただし、視線を完全に別の方向へ向けてしまうと本来確認すべき前方の障害物などが見えず危険なため、対向車から少し目を逸らす程度に留める必要があります。
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サンバイザーの活用も効果的なアイテムです。本来は太陽光を遮る目的で使用されますが、ヘッドライトの光にも対応可能です。視界を狭くしないように透明なサンバイザーを選ぶと、運転時の安全性を損なうことなく眩しさを軽減できます。また、ナイトサングラスを活用する場合、曇りの日に視界を明るくする高性能な製品や、メガネの上から装着できるタイプもあります。
自身のヘッドライトの適切な使用も重要な対策です。夜間走行の基本はロービームを使用することで、対向車や先行車がいる場合は必ずロービームに切り替えましょう。ハイビームは対向車や先行車がいない見通しの良い場所でのみ使用し、早めにロービームに切り替えるように心がけることが大切です。さらに、ヘッドライトの照射角度が適切でない場合、意図せず対向車を眩しくさせてしまうことがあります。定期的に整備工場などで点検・調整してもらうことをおすすめします。
夜間運転の視力低下については、度付きレンズの検討も有効です。乱視や近視、老眼などにより夜間視力が低下している場合は、度付きの夜間運転用メガネを作成することで、視界の改善と眩しさの軽減につながる場合があります。眼科医や眼鏡店に相談して、適切なレンズを選ぶことが重要です。定期的な視力検査を受け、自分の視力状態を把握しておくことで、より安全な夜間運転が可能になります。
日本における自動車のヘッドライトに関する規制は、道路運送車両法に基づく保安基準で定められています。保安基準では「ロービームで前方40mまで、ハイビームなら100mまでの視認性を確保すること」という規定があり、明るさの規定は「最高光度の合計が22万カンデラを超えないこと」とされています。しかし、この基準は最低限の明るさを確保することを主眼としており、眩しすぎるヘッドライトに対する上限規制としては不十分な面があります。
LEDヘッドライトの使用には、関連する法規と規格を満たす必要があります。日本の道路交通法規によると、すべての車両の前照灯は一定の範囲内で白色光を発しなければなりません。これは夜間および悪天候の運転の安全性を確保するためです。日本では、LEDヘッドライトの色は白色でなければならず、輝度や色温度も特定の規格を満たす必要があります。さらに、LEDヘッドライトの光束方向や形状も、日本国土交通省が定めた要件を満たす必要があり、これらの要件を満たさない場合は車検に合格できません。
参考)https://suparee.jp/blogs/news/led%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88-%E8%BB%8A%E6%A4%9C%E5%90%88%E6%A0%BC%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%99%E3%81%AA%E3%82%89%E7%9F%A5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%8F
保安基準では「自動車に備える灯火の直射光又は反射光は、その自動車及び他の自動車の運転操作を妨げるものであってはならない」という規定も設けられています。本来なら「作業灯」として使われるLEDライトは走行中の使用が厳禁とされており、夜間照明がなく暗い場所などで駐車している状態で作業を行う場合に使用するものです。このような明るいライトを夜間運転中にまともに浴びると「幻惑」という言葉がぴったりで、目つぶしに遭うようなものとなります。車両のヘッドライトを交換する場合は、法規制に準拠したLEDヘッドライトを選択し、適切な取り付け位置と角度を確保することが安全な運転と車検合格のために重要です。
参考)https://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokukokuji/saikoku_218_00.pdf
参考リンク(夜間運転時のまぶしさ軽減方法について詳しく解説)。
【夜の運転がまぶしい】対向車のライト対策と視界をクリアにする…
参考リンク(LEDヘッドライトの眩しさ対策の具体的方法)。
LEDヘッドライトが眩しいと感じる原因と効果的な対処方法
参考リンク(運転用メガネレンズの選び方と推奨製品)。
https://www.jins.com/jp/lens/drive/

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