高速道路交通警察隊の職員になるための第一段階は、各都道府県警察が実施する警察官採用試験に合格することです。試験は筆記試験、面接試験、適性検査で構成されており、特に面接では交通警察分野への明確な志望動機と熱意が求められます。
採用試験の出題範囲は一般教養と論文試験があり、社会常識や時事問題の知識が問われます。兵庫県警の場合、大卒程度と高卒程度で出題レベルが異なり、自分の学歴に応じた区分での受験が必要です。合格後は身体検査と身辺調査が行われ、健康で適性がある者のみが警察学校へ進むことができます。
多くの受験者は交通警察部門を目指す明確な理由を面接で述べることで、合格の確率が高まります。交通違反の取締や事故処理に関心があることを表現し、高速道路での安全管理への貢献意思を伝えることが重要です。
採用試験に合格した者は警察学校で4～6ヶ月の初期訓練を受けます。警察学校では、警察官としての基本的な知識と技能、そして交通関連の訓練が含まれています。特に交通部門への配属を希望する場合は、この段階で交通違反の取締方法や交通事故の処理要領を学ぶことが将来の職務を円滑に進めるための基礎となります。
警察学校での交通違反取締訓練では、実際の交通切符を用いた実践的な訓練が行われます。違反者への対応方法や交通法規の説明スキルも磨かれ、この経験は高速道路での実務に直結します。また、被害者への対応や交通事故現場での初動措置に関する講習も実施され、人命救助に必要な基本知識を習得できます。
警察学校を無事卒業することは、その後の警察官としてのキャリアの基盤となるため、真摯な態度で全ての訓練に臨むことが求められます。卒業後の配属先や昇進にも、学校での成績や態度が影響するため、交通警察を目指す者は特に熱心に学習することが重要です。
警察学校卒業後、警察署の地域課で基本的な警察活動を経験してから、パトカー乗務員を目指す場合は、警察内部で行われる運転技能格付け制度の「格付け検定」に合格する必要があります。この格付けはA～Dの四段階に分かれており、赤色灯を回してサイレンで緊急走行するには、A判定の取得が必須条件となります。
A判定を取得するルートは二つあります。一つは「パトカー乗務員養成専科」という研修を受けて格付け検定を受験する方法で、もう一つは直接検定合格を目指す方法です。どちらのルートを選択するにせよ、高度な運転技術と咄嗟の判断力が要求されます。
パトカー乗務員として認められた後、高速道路で取り締まりを行う「高速道路交通警察隊員」になるためには、さらに試験を受けて訓練所に入り、半年程度の専門的な訓練を受ける必要があります。この訓練では、高速道路での運転技術、交通事故現場での交通規制要領の習熟、負傷者の救護方法、交通事故の受理や捜査などを学びます。
高速道路交通警察隊の隊員が行う訓練の中でも、特に独特なのが「旗振り訓練」です。この訓練は、高速道路上での作業時に常に2人1組で行動し、一人が赤い旗を振って後続車への注意を促すもので、高速道路上での作業の基本中の基本とされています。時速100km以上で走行する車両が行き交う環境での作業となるため、この訓練の習熟度が直接的に隊員の生死に関わります。
旗振り訓練以外にも、事故・故障時の車線規制訓練、落下物回収訓練、そして救命救急訓練など多岐にわたる訓練が行われます。特に救命救急訓練は、高速道路での重大事故に際して、救急車到着までの間に隊員が負傷者の命を救う必要があるため、高度な技術が要求されます。
訓練所を修了した後も、ベテラン隊員と2人1組で現場に配置され、ハンドル操作は当面ベテランが主体となります。この期間、新人隊員はベテランからノウハウを学びながら、同時にパトカーの洗車などの雑務も率先して引き受けることで、チームの一員としての信頼を獲得していきます。ドライバーとしての取締りデビューまでには、訓練所修了後さらに半年程度の実務経験が必要とされ、合計すると警察官採用試験合格から2年以上の期間をかけて真のプロフェッショナルへと成長していくのです。
高速道路交通警察隊に配属された隊員は、年功序列に基づいたキャリアパスを歩むことになります。初期段階では一般隊員として交通取締や事故処理に従事し、実績と経験を積み重ねることで昇進の道が開けます。係長への昇進を目指すには、通常5～7年程度の経験が必要とされ、その後課長、部長へと昇進することが可能です。
給与面では、高速道路パトロール隊員の平均年収は約310万円程度とされていますが、役職が上がるにつれて待遇は改善されます。係長級では平均385万円、課長級では504万円、部長級では607万円となっており、昇進による給与増加が大きいことが特徴です。また、警察官は公務員であるため、ボーナスや各種手当が充実しており、退職金制度も整備されています。
特に高速道路での24時間365日の勤務体制のため、深夜手当や休日出勤手当など各種手当が多く支給される傾向にあります。さらに、危険な業務であることから危険業務手当も支給される場合が多いです。定期昇給も毎年見込まれるため、長期勤続により安定した経済基盤を構築できるという利点があります。
高速道路交通警察隊の採用試験を受けるにあたり、学歴の要件があります。大卒程度の区分と高卒程度の区分に分かれており、応募者の最終学歴に応じて受験区分が決定されます。実は特別な資格は必要ないものの、普通自動車運転免許の取得から2年以上経過していることが採用条件とされることが多いです。
この2年以上の経過要件は、高速道路での危険な業務に従事するにあたり、ある程度の運転経験を積むことが必要との判断に基づいています。運転免許を取得して間もない者よりも、実務的な運転経験を積んだ者の方が、格付け検定の合格や実務訓練での習得が円滑に進むという考え方からです。
また、高速道路交通警察隊では、矯正視力を含めて視力が両眼0.7以上、色覚がJIS規格Z8806に適合することなど、厳しい身体検査基準があります。これらの条件を満たすことで初めて採用試験への応募が可能となり、その後の試験合格へと進むことができるのです。
兵庫県警察官採用試験案内では、採用試験の詳細な要件、受験区分、試験内容、資格加点対象について明記されています。
ドライブプラザの記事では、交通管理隊の訓練内容、特に旗振り訓練や救命救急訓練の詳細について詳しく説明されています。
警視庁高速道路交通警察隊の公式ページでは、高速道路交通警察隊の役割と実際の活動内容について具体的に紹介されています。
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