ジムニートラック新型の外装は、従来のジムニーシエラで採用されたスクエアボディを基調としながら、ピックアップトラック独自の機能性を追加した洗練された造形が特徴です。フロントフェイスは5スロットグリルとクラムシェルボンネットというジムニーの伝統的アイコンを継承しつつ、丸型ヘッドライトを採用することで、モダンな要素と力強さのバランスが取られています。
ボディサイズは全長3985mm、全幅1645mm、全高1720mmで、5ドアジムニーノマドの基本設計を活かしながら、Cピラー以降の後部構造を完全に新設計。リアシートが排除された代わりに、実用的な荷台が装備されます。この構成により、軽自動車規格内での最大積載容量を確保しながら、オフロード走破性能も維持されているのです。
リアセクションではテールライトの配置が大きく変更され、従来の横基調の配置から縦デザインへと改められ、リアフェンダー後部に新しく配置されます。降雪時の対応を含めた設計では、雪がたまりにくい凹凸が少ないボディー形状が採用され、過酷な環境下での耐久性が強調されています。
ジムニートラック新型には、最高出力102ps/6000rpmを発揮する1.5L直列4気筒自然吸気エンジン「K15B型」が搭載されます。最大トルク13.3kgm/4000rpmという数値は、従来の軽自動車トラックの動力域を大幅に上回るもので、低回転域からの太いトルクが特徴です。
トランスミッションは5速マニュアルと4速オートマチック設定が用意される見込みで、駆動方式はパートタイム4WDが採用されています。このパワートレインは、ジムニーノマドの5ドア版と共有される設計となり、ピックアップトラック仕様でも同等の性能が期待されます。
エンジン吸気口の改良やアルミ製オイルパン、専用フライホイール、樹脂製燃料タンクなどの装備により、被水や雪、飛び石といった悪路環境への対策が施されています。軽トラック市場では通常660cc前後のエンジンが主流である中で、この1.5L排気量の採用は、ジムニートラック新型が目指す高い走行性能の具体化を示しています。
ジムニートラック新型が採用するラダーフレーム構造は、初代ジムニー以来の伝統を継承しながら、最新モデルに合わせて強度を大幅に強化されています。従来型と比較して1.5倍のねじり剛性を獲得することで、激しい悪路走行時のボディ変形を最小限に抑え、走行安定性を著しく向上させています。
パートタイム4WDシステムでは、後輪駆動、4WD HI、4WD LOの3つのモード選択が可能で、特に4WD LOモードではギア比が低速に設定されることで、2倍のトルク増幅が実現します。急な坂道や深い泥沼でも難なく登攀できる能力が確保されているのです。
さらに全車に搭載される「ブレーキLSDトラクションコントロール」により、従来のパートタイム4WDの弱点であった対角線上の2輪がスタックした状況でも、空転した車輪にブレーキをかけることで駆動力を確保し、より確実な脱出を実現しています。ヒルホールドコントロールとヒルディセントコントロールの装備により、傾斜地での安定性も大幅に改善されます。
ジムニートラック新型の安全装備には、新世代の「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」が採用されます。これは単純な前方衝突回避システムに留まらず、より複雑な交通状況に対応する能力を持つものです。4AT車には「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」が全車速追従機能付で搭載され、高速道路での長距離運転時の負担を大幅に軽減します。
5速マニュアルトランスミッション車には全車速追従機能なしのACCが設定される見込みで、後方誤発進抑制機能も搭載されます。これらの機能は、軽トラック市場では従来あまり採用されてこなかったものであり、ジムニートラック新型が目指す高い安全性レベルを示しています。
車線逸脱抑制機能の標準装備により、不注意による走行レーンの逸脱を防止。メーター表示もカラーディスプレイが採用され、複数の表示モード切り替えが可能です。コネクティッドサービス「スズキコネクト」への対応により、スマートフォン連携や遠隔操作など、最新のデジタル機能が利用できるようになっています。
ジムニートラック新型の市場投入時期については、現在のところ確定情報は公開されていませんが、業界予測では2026年以降の上市が見込まれています。ジムニーの5ドアモデルである「ジムニーノマド」が2025年4月に発売されており、その後のピックアップトラック化という段階的な展開が想定されているためです。
現在3ドアジムニーのバックオーダーが多く抱えられている状況を踏まえると、ピックアップトラックが実現するには、まずジムニーノマド5ドア版の供給が軌道に乗った後の段階的展開となる可能性が高いです。市場では軽トラック領域での革新を求める声が強く、ジムニートラック新型への期待値は極めて高い状況にあります。
軽自動車トラック市場では、従来の実用性一辺倒の設計から、快適性や安全性を両立させたモデルへのニーズが急速に高まっており、ジムニートラック新型はこうした市場要求に応える画期的存在として注目されています。トヨタのハイエースやホンダのアクティなどの競合モデルとの比較においても、本格的なオフロード走破性能を備えた軽トラックは極めて限定的であり、ジムニートラック新型の登場は軽トラック市場に大きな変化をもたらすと予想されます。
ジムニートラック新型の内装は、従来のジムニー系統の機能重視型設計を基本としながら、ピックアップトラック特有の実用性が強調されています。運転席周辺は、オフロード走行時の操作性を最優先に設計されており、シフトレバーの下部には後輪駆動と4WD(LO/HI)の切り替えがレバー式で配置されます。
荷台部分は1mを超える開口幅と最大1300mmの荷室幅を確保。床面がフラットに設計されることで、スペースの無駄がなく活用できる構造となっています。荷室床面には樹脂化された防汚タイプのラゲッジフロアが採用され、汚れた資材や工具の積み下ろしが簡便に行えます。
ユーティリティナットと荷室フック用ナットが複数配置され、ラゲッジボックスとツールボックスも標準装備されることで、作業環境での利便性が大幅に向上します。これまでの軽トラックでは、商用性能と運転快適性の両立が難しかったものの、ジムニートラック新型では両者のバランスが実現される見込みです。
運転席と助手席のシートフレームは高剛性化・高強度化が図られ、前モデル比で幅が70mm拡大されています。インストルメントパネルは水平基調の力強い基本骨格を採用し、悪路走行時の安定感を醸成。スクエアなボディー形状による広い頭上スペースと肩周辺空間により、乗員の快適性が著しく改善されます。
参考情報:スズキ新型ジムニー・ジムニーシエラの最新改良について
スズキ最新安全システムと最新スペック情報をまとめたサイト。ジムニートラック新型の基盤となるジムニーシエラとジムニーノマドの詳細スペック、安全装備、燃費性能、価格情報が掲載されており、新型ジムニートラックの予想スペック検証に有用
参考情報:ジムニー5ドアベースのピックアップトラック大予想
ジムニーピックアップトラック化の可能性について、フレーム設計、ボディサイズ、エンジン予想を含めた業界予測情報が掲載。市販化に向けた実現度の分析と発売時期予測が詳細に記載