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道路交通法では、自動車を大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車などに区分しています。この分類は運転免許や交通取締に関わる重要な基準です。
具体的には、車両総重量や最大積載量、乗車定員によって区分されます。普通自動車は車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満または乗車定員10人以下の車両を指します。準中型自動車は車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満または乗車定員10人以下です。
一方、道路運送車両法による分類は車検や登録に関わる行政手続きで使用されます。同じ車両でも道路交通法と道路運送車両法では異なる分類になる場合があるため、用途に応じて適切な分類を理解することが重要です。
二輪車については、総排気量によって大型自動二輪車(400cc超)、普通自動二輪車(50cc超400cc以下)、原動機付自転車(50cc以下)に区分されています。
道路交通法の点数制度は、過去3年間の交通違反や交通事故に一定の点数を付け、累積点数に応じて免許停止や取消などの行政処分を行う制度です。
違反点数には「基礎点数」と事故の際に加算される「付加点数」があります。主な違反の基礎点数は以下の通りです。
前歴がない場合、累積6点で免許停止30日、累積15点で免許取消となります。前歴が1回の場合は10点以上、前歴2回は5点以上、3回以上は4点以上で免許取消です。
2024年11月からは自転車の酒気帯び運転や「ながらスマホ」運転にも新たな罰則が設けられました。さらに2026年4月には自転車に対する反則金制度(青切符制度)が導入される予定です。
飲酒運転は「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」に区分され、それぞれ異なる基準と罰則が定められています。
酒気帯び運転は、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上の状態での運転です。血中アルコール濃度では0.3mg/ml以上に相当します。これは体重60kgの人がビール中びん1本、または日本酒1合を飲んだときの濃度です。
酒気帯び運転の罰則は以下の通りです。
| 濃度区分 | 違反点数 | 処分内容 | 刑事罰 |
|---|---|---|---|
| 0.25mg以上 | 25点 | 免許取消(2年) | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
| 0.15mg以上0.25mg未満 | 13点 | 免許停止(90日) | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
酒酔い運転は、アルコール濃度に関わらず、まっすぐ歩けない、受け答えがおかしいなど、客観的に見て酔っている状態での運転を指します。違反点数は35点、免許取消(3年)、5年以下の懲役または100万円以下の罰金という極めて重い処分です。
たとえアルコール濃度が基準値以下でも、正常な運転ができない状態であれば酒酔い運転に該当します。飲酒後は絶対に運転してはいけません。
アルコール健康医学協会によれば、純アルコール量20g(ビール500ml、日本酒180ml程度)が適量とされる「1単位」です。しかし運転する場合は、どんなに少量でも飲酒は厳禁です。
道路交通法では、道路標識による指定速度と法定速度が定められています。標識がある場合は指定速度が優先され、標識がない場合は法定速度が適用されます。
一般道路の法定速度は、片側1車線で標識がない場合は40km/h、片側2車線以上で中央分離帯または分離歩道がある道路では60km/hです。ただし、2026年から生活道路における法定速度が60km/hから30km/hに引き下げられます。
高速道路では、道路標識等による指定がない限り、最高速度は100km/h(一部区間は120km/h)、最低速度は50km/hです。緊急自動車は一般道で80km/hを超える速度での走行が認められています。
交差点では特別な注意義務が課されています。道路交通法第36条では、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行しなければなりません。
信号機のない交差点で、優先道路または明らかに幅員の広い道路と交差する場合は、徐行義務があります。環状交差点(ラウンドアバウト)については、2014年の道路交通法改正で特別な通行方法が定められました。
速度違反の反則金は、違反速度と車種によって異なります。一般道で30km超過の場合、普通車で18,000円、高速道路で40km超過の場合は普通車で35,000円です。
道路交通法第44条では、駐停車禁止場所が明確に定められています。駐車と停車は定義が異なり、駐車は車両を継続的に停止させること、停車は一時的に停めることを指します。
駐車の定義は以下のいずれかに該当する場合です。
駐停車禁止場所には以下が含まれます。
駐車禁止場所は、駐停車禁止場所に加えて以下の場所が指定されています。
駐車方法については、道路の左側端に沿い、他の交通の妨害とならないように駐車しなければなりません。路側帯がある場合は、法令に従ってその路側帯内に入り駐停車します。道路標識や道路標示により駐停車の方法が指定されている場合は、その方法に従います。
違反した場合の反則金は、駐車禁止違反で普通車10,000円、駐停車禁止違反で普通車12,000円です。違反点数は駐車禁止違反が1点、駐停車禁止違反が2点です。
参考:警視庁による駐停車禁止場所の詳細
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/
道路交通法第84条と第87条では、運転免許を「第一種運転免許」「第二種運転免許」「仮運転免許」の3つに区分しています。
第一種運転免許は、通勤や通学など自家用のための一般的な免許です。基本的に商用目的で旅客を運送することはできませんが、2024年4月から一部地域で運用が開始された「ライドシェア」では、条件付きで乗客を有償で運ぶことが可能になりました。
第一種運転免許の種類は以下の通りです。
第二種運転免許は、タクシーや乗合バスなど旅客を有償で運送するための免許です。業務として代行運転を行う際にも必要です。第二種運転免許は、同じ種類の第一種運転免許も兼ねています。
2017年の道路交通法改正により準中型免許が新設され、2026年4月には普通仮免許等の年齢要件が引き下げられる予定です。これにより18歳未満でも条件を満たせば運転が可能になります。
免許証の色は、ゴールド(優良運転者)、ブルー(一般運転者)、グリーン(初心運転者)の3種類があり、無違反・無事故の期間によって決まります。ゴールド免許は5年間無事故無違反の場合に交付され、免許更新時の講習時間が短く、保険料の割引などの特典があります。
参考:日本自動車連盟(JAF)運転免許に関する情報
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-procedure/subcategory-license
道路交通法第2章では歩行者の通行方法が詳細に規定されています。車を運転する際は、歩行者保護の義務を十分に理解する必要があります。
歩行者は、歩道等と車道の区別のない道路では、道路の右側端に寄って通行しなければなりません(道路交通法第10条1項)。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときは、左側端に寄って通行できます。
歩道等と車道の区別のある道路では、歩行者は次の場合を除き歩道等を通行しなければなりません。
運転者には横断歩道における歩行者優先義務があります。道路交通法第38条では、車両等は横断歩道に接近する場合、横断しまたは横断しようとする歩行者がいるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、歩行者の通行を妨げないようにしなければなりません。
信号機のない横断歩道での歩行者保護は特に重要です。横断歩道を横断している歩行者や、横断しようとしている歩行者がいる場合、運転者は必ず一時停止しなければなりません。違反した場合は横断歩行者等妨害等違反となり、違反点数2点、反則金は普通車9,000円です。
交差点やその直近で道路を横断する歩行者に対しても、車両は特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行しなければなりません。右左折時には歩行者や自転車の巻き込み事故を防ぐため、十分な安全確認が求められます。
参考:警察庁による横断歩道での歩行者優先啓発資料
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/oudanhodou/info.html
道路交通法に基づく道路標識や道路標示は、安全で円滑な交通を実現するために重要な役割を果たしています。標識は「本標識」と「補助標識」に大別され、本標識はさらに4種類に分類されます。
規制標識は、道路交通法などに基づき、車両や歩行者の通行を制限・規制するために設置される標識です。代表的なものには以下があります。
指示標識は、特定の交通方法や場所を示す標識で、主に青地に白で表示されます。駐車可能な場所、横断歩道、安全地帯などを指示します。都道府県公安委員会によって設置されます。
警戒標識は、道路上の危険や注意すべき状況を前もって知らせる標識です。黄色地に黒で表示され、急カーブ、坂道、動物の飛び出し、落石注意などがあります。
案内標識は、目的地や施設の位置、距離、進行方向などの情報を提供する標識です。注意を促したり規制を示すものではなく、情報提供に特化しています。
道路標示(路面標示)は、路面に描かれた線や記号で交通ルールを示します。停止線、横断歩道、中央線、車線境界線などがあります。「止まれ」の路面標示は白色で縦書きが原則で、一時停止規制が実施されている場所に設置されます。
標識や標示の指示に従わない場合は、道路交通法違反として罰則が科せられます。一時停止違反は違反点数2点、反則金は普通車7,000円です。
国土交通省による道路標識一覧では、すべての標識の種類と意味が詳細に解説されています。運転者は定期的に標識の意味を確認し、安全運転に努めることが重要です。
道路交通法第70条では、すべてのドライバーに安全運転義務が課されています。これは交通事故防止の基本となる極めて重要な規定です。
安全運転義務の内容は以下の通りです。
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」
この規定は「操作面」と「安全確認面」の双方において適切な運転を求めています。安全運転義務違反に該当する具体的な行為には以下があります。
安全運転義務違反の罰則は以下の通りです。
| 車種 | 違反点数 | 反則金 |
|---|---|---|
| 大型車 | 2点 | 12,000円 |
| 普通車 | 2点 | 9,000円 |
| 二輪車 | 2点 | 7,000円 |
| 原付 | 2点 | 6,000円 |
反則金を支払わなかった場合は刑事手続きに移行し、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります。
交通事故の原因の半数以上が安全運転義務違反です。特に「ながらスマホ」による事故が増加しており、2019年の道路交通法改正で罰則が強化されました。運転中の携帯電話使用(保持)は違反点数3点、反則金は普通車18,000円、交通の危険を生じさせた場合は違反点数6点で罰則も重くなります。
安全運転義務違反を防ぐためには、常に周囲の状況に注意を払い、予測運転を心がけることが重要です。天候や路面状況、時間帯によってリスクが変わることを理解し、適切な速度と車間距離を保つことが求められます。
参考:警視庁による安全運転のポイント
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/
道路交通法第39条から第41条では、緊急自動車に関する特例が定められています。一般のドライバーは緊急自動車が接近した際の対応方法を正しく理解する必要があります。
緊急自動車とは、消防用自動車(消防車)、救急用自動車(救急車)、警察用自動車(パトカー)のほか、臓器や輸血用血液製剤の応急運搬車、電気・ガス等の公益事業の応急作業車、道路管理者が応急措置に使用する自動車、自衛隊用自動車などが含まれます。
緊急自動車の要件は以下の通りです。
緊急自動車には優先通行権が認められており、道路交通法第41条により以下の規定が免除されます。
一般車両は、緊急自動車が接近してきた際、以下の対応をしなければなりません。
交差点または交差点付近では、交差点を避けて道路の左側に寄って一時停止します。交差点以外の場所では、道路の左側に寄って進路を譲ります。
一方通行路では、左側に寄ることができない場合、右側に寄ることも認められています。高速道路では、路肩に寄る、車線を変更するなどして進路を譲ります。
緊急自動車の進行を妨害した場合は、緊急車妨害等違反となり、違反点数1点、反則金は普通車6,000円です。
なお、黄色の警光灯は道路維持作業用自動車、青色は自主防犯パトロール車、緑色は輸送車両車であり、これらは緊急自動車ではありません。しかし、作業中の安全確保のため、適切な配慮が求められます。
人命救助や災害対応という緊急自動車の重要な役割を理解し、迅速に進路を譲ることが、社会全体の安全につながります。
参考:日本自動車連盟(JAF)緊急車両への対応方法
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-drive/subcategory-safety