2000年に初代モデルが登場し、若者のカスタム文化を象徴していたトヨタbBが、2016年の生産終了から約9年を経て、完全に新しい形での復活を遂げようとしています。かつてのbBは、シンプルな箱型デザインを前提として、エアロパーツや大径ホイール、ローダウンといったカスタムとの相性が抜群だったため、アフターパーツメーカーからも多種多様なパーツが発売されていました。その「いじる楽しさ」が若者の所有欲を強く刺激し、街を走るbBはすべて個性的にカスタムされた一台一台になっていたのです。
しかし、2009年に導入されたエコカー減税への不適合やカスタム文化そのものが社会から薄れていったことにより、販売台数が大きく低迷しました。こうした背景の中で、トヨタが2023年のジャパンモビリティショーで発表したコンセプトカーKAYOIBAKOは、「好きなときに・好きな場所で・好きなことができる」というモビリティ未来コンセプトを掲げながらも、かつてのbBが持っていた「自由にカスタムできる箱」という思想を、現代の技術と価値観で再解釈したものとなっているのです。
参考:トヨタが2023年に公開した新型コンセプトカー情報
トヨタ自動車公式ニュースルーム
新型bBとなるコンセプトモデルKAYOIBAKOの最大の特徴は、その徹底した「箱型」のデザイン思想にあります。全長3990mm×全幅1790mm×全高1855mm×ホイールベース2800mmという数値は、一見するとヤリスなどの標準的なコンパクトカーと遜色のない寸法に見えるかもしれません。しかし、実際の室内空間に目を向けると、室内長3127mm×室内幅1485mm×室内高1437mmという驚異的なスペース効率を実現しているのです。
これを実現できるのは、BEVプラットフォームの採用が大きな要因となっています。従来のガソリン車では床下にエンジン・トランスミッション・マフラーといった機構が必要ですが、BEVではこれらをコンパクトにまとめることで、フロアを完全にフラットにすることができます。そしてその機能的な外観は、かつてのbBから継承された「シンプルさ」を体現しており、この無駄を削ぎ落とした機能美こそが、新しい時代のカスタムベースとしての資質を備えているといえるでしょう。
ボディは限りなくハコに近いスクエアなスタイルとなっており、プレーンな面で構成されたボックスをイメージさせる外形です。コンパクトなボディサイズながら1クラス上のボリューム感を創出し、エアロパーツやカスタムパーツとの相性も優れているとみられています。
新型bBの内装デザインは、従来の自動車の概念を覆すような革新的な提案となっています。コンセプトモデルでは、運転席から助手席まで広がる横長の大型ディスプレイが印象的です。従来のダッシュボードやメーターパネルを廃し、必要な情報をこのディスプレイに集約することで、圧倒的な開放感と先進性を演出しているのです。ステアリング周辺に操作系を集約し、物理的なスイッチ類も最小限に抑えることで、まるで未来の移動空間という印象を与えます。
BEVプラットフォームによる完全フラットフロアが、これまでにない自由な空間活用を可能にします。シートアレンジも多彩で、フルフラットにすれば車中泊や大きな荷物の積載も容易です。さらに、コンセプトカーの由来となった「通い箱」のように、棚や仕切りをフレキシブルに移設できるようになっており、積載する荷物に応じてベストな空間を創り上げることができるのです。BEVならではのフラットなフロアを活かしてクルマ椅子のまま乗り込める福祉車両としても活用できるなど、ビジネスユースだけでなく一般ユーザーのプライベートカーとしても想定した多用途性が大きな特徴となっています。
2025年8月現在、トヨタ新型bBの具体的な発売日は公式に発表されていません。多くのファンが発売を心待ちにしていますが、最も有力視されているのが2025年秋に開催予定の「ジャパンモビリティショー2025」での続報発表です。2023年の同ショーでコンセプトモデルが公開され大きな話題となった経緯から、2025年のショーではさらに市販化に近づいたモデルがお披露目されるのではないかと期待されています。
もし順調に開発が進めば、正式な発売は早くても2026年以降になる可能性が高いと見られています。新型bBはBEVを基本として開発が進められており、ガソリン車で言うところの「燃費」は、電気自動車の性能を示す「電費(交流電力量消費率)」や「一充電走行距離(航続距離)」という指標で評価されることになります。現時点で具体的な数値は公表されていませんが、トヨタが持つ最新の電動化技術が投入されることは間違いないでしょう。
車両本体価格は250万円から350万円程度になるのではないかと予想されています。BEVを購入する場合、国や地方自治体からの補助金制度を利用できる場合があり、これらの補助金を活用することで実質的な購入負担額を数十万円単位で抑えることが可能です。新型bBが発売される際には、お住まいの地域の補助金制度を必ず確認することをおすすめします。
かつてのbBが象徴していたカスタム文化は、今や懐かしい記憶となっていますが、新型bBの登場によって、それが再び息を吹き返す可能性があります。初代bBが大流行した理由の一つとして、「20代男性」をメインターゲットに据え、あえてシンプルな箱型デザインを採用し「自分好みの一台に仕上げてください」というメッセージを打ち出したという背景があります。その思想は、新型bBのデザイン概念にしっかりと引き継がれています。
新型bBのスクエアなスタイルと完全フラットフロアは、カスタマイズの自由度が極めて高いプラットフォームになると期待されています。会場に展示されたホワイトのボディカラーのスタンダードモデルのほか、アーバンカーキカラーを纏ったカスタマイズ仕様も注目を集めており、足元にオフロード系タイヤを装着し、ルーフにはカヤックやアウトドアギアを積載したスタイルのほか、ブラック系のボディカラーに大径ホイールを装着し、極限までローダウンさせた仕様の画像も公開されています。
このように様々なカスタマイズバリエーションが示されていることから、新型bBが「いじる楽しさ」を重視した設計になっていることが明らかです。アフターパーツメーカーも新しい世代のカスタムニーズに対応した製品開発を進める可能性が高く、かつての黄金期に匹敵するようなカスタム文化の復活も夢ではないかもしれません。特にBEVプラットフォームという新しい基盤は、従来のガソリン車とは異なるカスタマイズの可能性を秘めており、例えば駆動モーターのチューニングやバッテリー容量のバリエーション、さらには未来的な電装カスタムなど、新しい形の「いじり方」が生まれることも十分に考えられるのです。
参考:ジャパンモビリティショー関連情報
ジャパンモビリティショー公式サイト
これまでの記事で、新型bBの復活背景、デザイン特性、内装の革新性、発売予定と価格見通し、そしてカスタム文化への影響について詳細に解説してきました。2000年から2016年にかけて、若者のライフスタイルを象徴していたトヨタbBが、完全に異なる技術基盤を持ちながらも、その精神を受け継いで復活しようとしています。2025年秋のジャパンモビリティショーでの発表を待つ間、新型bBへの期待はますます高まっていくことでしょう。新しい時代のカスタム文化がどのような形で花開くのか、そしてトヨタがどのような完成度で市場に投入するのか。新型bBの登場は、自動車業界にとって一つのターニングポイントになることは間違いありません。
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TITLE: プロエース トヨタの欧州商用バン、日本未導入の実力とは
DESC: トヨタが欧州で展開するプロエースは、日本未導入のミドルサイズLCVながら高い評価を得ています。積載量からドライバー支援機能まで、ハイエース以上のスペックを備えたこのモデルの全貌と日本での乗り方について、あなたは詳しくご存知ですか?
トヨタのプロエースは、2013年に欧州市場で初登場した商用バンシリーズです。日本国内ではハイエースが圧倒的シェアを占める一方、欧州ではミドルサイズLCV(Light Commercial Vehicle)市場が活発であり、プロエースはこの重要な市場でトヨタの主力車種として機能しています。シトロエン ジャンピーの兄弟車でもあり、フランスのPSAグループ(現ステランティス)との協業により開発されました。2023年に施されたフェイスリフトにより、新世代ファミリールックのデザイン、最新テクノロジー、そして優れた実用性が一層向上し、2024年以降販売されているモデルはより完成度の高い仕様となっています。
新型プロエースのディーゼルエンジンは、トヨタの主力D4-D技術を採用した1.5L・2.0Lラインナップです。1.5L 120PSモデルは6速MTと組み合わせられ、基本的な用途向けに提供される一方、2.0Lは144PSと177PS(Sportグレードのみ)の2種類があり、燃費性能は欧州複合で13.3km/Lを実現しています。トランスミッションは6MTが基本ですが、2.0L仕様には評判の良い8速ATも選択可能で、セレクターは従来のダイヤル式からボタン式にアップデートされました。駆動方式はFFで、最高速度は168km/h、0-100km/h加速は9.9秒という商用バンとしての確実なパフォーマンスを備えています。最大積載量は仕様により1,000~1,400kgに達し、LCVクラストップレベルの積載能力を誇ります。
プロエースシリーズは既に複数の電動モデルをラインナップしており、なかでも注目を集めるのが2025年型プロエースマックス・エレクトリックです。最大出力268馬力、大容量110kWhバッテリー搭載で、WLTPモード最大航続距離は約420kmに達します。急速充電は0~80%を45分で完了可能であり、配送業務の合間に充電できる実用性の高さが特徴です。ドライブモードは「ノーマル」「エコ」「パワー」の3種類が用意され、業務内容に応じた走行が選択できます。より小型の1.5Lモーター仕様のプロエース・エレクトリックも存在し、100kWモーター搭載で50kWh・75kWhバッテリーオプションにより、228~330km航続距離を確保しており、こちらも商用ユーザーから高評価を得ています。積載量との両立設計により、軽量50kWh版で最大1,253kg、大容量75kWh版でも1,000kgの積載量を維持しており、電動化による性能低下を最小限に抑えた工夫が見られます。
新型プロエースは商用車の実用性に加え、ドライバーの安全と負担軽減に大きく配慮した設計を採用しています。前方衝突警告と衝突前の自動安全システム起動を行うプリクラッシュシステム、自動ブレーキ、車線維持支援機能、ブラインドスポットモニターが標準的に装備され、業務時の予期しない事故を未然に防ぎます。バン仕様には後方視野を大幅に改善する高度なデジタルミラーシステムが装備され、バックカメラと組み合わせることで死角を最小限に減らしています。インテリアの人間工学的再設計により、新採用デジタルインストルメントクラスターと10インチタッチスクリーンが視認性の高い位置に配置され、ドライバーの視線移動を最小限に留めて疲労軽減を実現しています。Apple CarPlay・Android Autoへの接続対応により、スマートフォン連携が容易であり、MyToyotaアプリでの遠隔バッテリー確認やプリコンディショニング機能により、EVモデル利用時の利便性も高まっています。
日本でプロエースを入手する唯一の方法は、欧州からの並行輸入です。正規導入される見込みは極めて低いとされており、これはハイエースが日本商用車市場で圧倒的シェアを占める事実と、フロントエンジンレイアウトのキャラクターが日本市場ニーズと相違することが要因と考えられます。右ハンドル英国仕様とボディタイプ・グレード・エンジン選択により、乗り出し価格は800万円台から1000万円超まで幅広く設定されています。オススメ仕様は右ハンドル英国仕様パネルバンのMediumボディ、Iconグレード、2.0L D4-D 144PSと6MTの組み合わせで、日本の運転環境での扱いやすさと、欧州LCV文化の走行性能を両立させた選択肢です。オートマチック希望なら8ATも選べます。クルーキャブ(乗用MPV仕様)も人気があり、ファミリーユースやレジャー用途での活用も見られています。並行輸入業者とは仕様や現地割引交渉を綿密に行うことが、正確で満足度の高い納車につながるポイントです。
海外正規ディーラーとの価格交渉や為替レート差引による還元サービスを活用すれば、より効率的な購入が実現できます。
参考:プロエース最新情報
トヨタ プロエース(2024-)最新情報サイト
参考:電動商用バン実績
トヨタ電動商用バン「プロエースEV」欧州での高評価情報