トヨタは2025年9月から欧州でアーバンクルーザーの販売を開始する予定で、日本での発売も視野に入れています。新型アーバンクルーザーは、ヤリスクロスの電気自動車版として位置付けられており、従来のヤリスクロス(約485万円から)とほぼ同等の価格帯で電動化された次世代SUVとして市場に投入されます。
発表されたドイツ市場の価格構成は、コンパクトながら実用性を重視した設定となっており、電気自動車の購入を検討する顧客層に向けた手頃な価格帯が実現されています。スズキとの提携により開発された本モデルは、スズキeヴィターラの姉妹車でありながら、トヨタ独自の設計思想が随所に反映されています。
アーバンクルーザーの価格差を大きく左右する要因が、搭載されるバッテリーの容量です。基本となる49kWhのバッテリー搭載モデルは、最高出力106kW(144馬力)の前輪駆動で約330kmの航続距離を実現します。このモデルが価格帯の下限を占め、実用的な日常使用を想定した仕様となっています。
より上位の61kWhバッテリーを選択すると、航続距離が約420kmに伸びるため、長距離移動の需要に対応できます。この容量のバッテリーは、前輪駆動の174馬力仕様と四輪駆動の184馬力仕様の両方に対応しており、走行性能と航続距離のバランスが大幅に向上します。
バッテリー容量の増加に伴う価格上乗せは、コスト効率を考慮した現実的な選択肢を消費者に提供する設計になっています。充電能力では、最大150kWまでの急速充電に対応しており、10%から70%まで約30分で充電可能な性能が確保されています。小型バッテリー搭載車でも基本的な日常使用には問題なく対応できるため、購入時の優先順位に応じた選択が可能な構造です。
駆動方式の選択も、アーバンクルーザーの最終的な価格を決定する重要な要素となります。基本的には49kWh、61kWh共に前輪駆動(FF)が利用可能で、より手頃な価格での購入が実現されます。61kWhバッテリーの場合に限り、全輪駆動(AWD)グレードが追加設定されており、悪路走破性が格段に向上する反面、価格は上位グレード帯に位置付けられます。
四輪駆動モデルに搭載される後輪の電動モーターは、最大出力48kWを発生させ、システム全体の出力を184馬力、最大トルク300Nmまで引き上げます。この駆動方式には、下り坂アシスト機能やトレイルモード(タイヤの空転を検知して反対側に駆動力を伝達)が標準装備されるため、オフロード走行を想定した購入層にとって価値があります。
一方、前輪駆動モデルには雪道モードが装備されており、雪上でのトラクション確保が可能です。このように駆動方式ごとに異なるアシスト機能が搭載されているため、使用環境に応じた選択が重要になります。欧州市場向けの設定では、四輪駆動による安全性と走破性を重視する購買層と、経済性を優先する層の両方をカバーした価格構成が採用されています。
3つのグレード設定「コンフォート」「チームプレーヤー」「ラウンジ」は、単なる装備の上乗せではなく、ユーザー体験全体を段階的に充実させる構成になっています。最上位グレード「ラウンジ」では、360度カメラシステム、JBLプレミアムサウンドシステム、電動調整式運転席、ガラスルーフなど、上質な走行体験を実現する装備が集約されています。
基本グレード「コンフォート」でも、10.25インチのデジタルコンビネーションメーター、10.1インチのマルチメディアディスプレイ、Apple CarPlayとAndroid Autoのワイヤレス接続、衝突前緊急ブレーキなどの最新安全機能が標準装備されています。つまり、基本モデルであっても実用的で安全な装備が保証されているという特徴があります。
グレード間の価格差は、主にインテリアの質感、電動調整機能、オーディオシステムの品質、そして利便性装備の充実度で構成されています。「チームプレーヤー」は中間的な位置付けで、基本的な利便性と一定の上質感を兼ねた選択肢として機能しています。購入予算に応じた段階的な選択が可能であり、最低限の要求を満たすコンフォートから、プレミアムな体験を求めるラウンジまで、幅広い購買層に対応した価格設定が実現されています。
アーバンクルーザーの価格戦略は、コンパクトSUVセグメントにおける電動化の急速な普及に対応した積極的なアプローチを示しています。従来のヤリスクロス(約485万円から)との価格上乗せは限定的であり、電気自動車への乗り換えハードルを大幅に低減する設定になっています。
スズキとの共同開発により、開発コストを最適化し、実際の製品価格に反映させることが実現されました。新開発の軽量EV専用プラットフォームは、床にクロスメンバーが不要なため、バッテリー搭載スペースを効率的に確保しながら、車内空間を最大限に活用できる設計になっています。この技術的効率化が、競争力のある価格維持を可能にしています。
ドイツをはじめとする欧州市場での価格設定は、同セグメントの他社EVと比較しても魅力的な位置付けとされています。トヨタの電動化戦略において、アーバンクルーザーはビジネスセグメント向けのbZ4X(高級EVセグメント)とは異なる、より広い消費層への訴求を目指した重要なモデルとなっています。
購入価格に含まれるアクティブセーフティ機能は、全グレード共通で標準装備される点が注目されます。衝突前緊急ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール、車線逸脱警報、車線維持支援などが基本装備に組み込まれており、安全に対する投資が価格全体に組み込まれた構成です。
バックカメラはコンパクトボディでの駐車利便性を考慮して全車に標準装備され、最上位グレードでは360度カメラシステムへの進化が実現されます。これらの機能は、都市部での日常使用を想定した実用的な設計思想を反映しています。
トヨタの伝統的な保証体系は、購入後の維持費用を予測可能にする要素として機能します。電気自動車特有のバッテリー保証や電動パワートレイン保証は、購入価格に加えた実際の所有コストを考慮する際の重要な要素となります。初期購入価格が一定の水準に保たれることで、中古車市場でのリセールバリューの維持も期待でき、総合的な経済効率が向上する設計になっています。
トヨタ欧州ニュースルーム - 新型アーバンクルーザーの詳細スペックと開発背景に関する公式情報

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