ホンダの衝突軽減ブレーキ(CMBS)は「自動ブレーキ」と呼ばれますが、実際には「衝突被害軽減ブレーキ」として設計されており、完全停止を保証するシステムではありません 。整備関係者の体験談によると、極低速では止まるものの、速度が出ている状況では止まれないケースが報告されています 。これは意図的な設計であり、誤作動による危険を避けるため、確実に衝突回避が必要な状況のみで強力なブレーキを作動させる仕組みとなっています 。
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システムの基本コンセプトは運転者の支援であり、ドライバーが安全運転に務めることが前提とされています 。ホンダセンシングは「止まらないと思ったほうがいい」という整備士の意見も多く、気軽に手前から作動させると誤作動を誘発して逆に危険になる可能性があるため、慎重な作動条件が設定されています 。
ホンダセンシングのCMBSが作動する基本条件は、自車速度が約5km/h以上かつ、作動対象との速度差が約5km/h以上の場合に限定されています 。直進時の前走車両に対しては約5km/h以上の速度で作動し、停止している車両や対向車、歩行者に対しては自車速度が約5-100km/hの範囲で作動します 。
参考)https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/freed/2025/details/323456789003260.html
右左折時の作動条件はさらに厳しく、自車速度が約5-30km/hの範囲でのみ機能し、対向車線側に曲がる場合の対向車や歩行者、移動する自転車が対象となります 。これらの厳格な条件により、高速走行時や特定の交通状況では期待通りに作動しない場合があります 。
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作動には3段階のプロセスがあり、第1段階では警告表示、第2段階で軽いブレーキ、第3段階で強いブレーキが作動します 。ただし、状況によっては途中段階から作動することもあり、必ずしも段階的に進行するわけではありません 。
参考)衝突軽減ブレーキ(CMBS)
ホンダセンシングの誤作動は多くのユーザーから報告されており、その主な原因はセンサーの誤検知にあります 。特に多いのが、何もない状況での突然の作動で、強い日差しの反射や霧、大雨などの気象条件によってセンサーが障害物と誤認識するケースです 。
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レーダー照射が周辺の物体にはじかれて正常に帰ってこない場合や、単眼カメラが天候などで認識判断できない状況で誤作動が発生します 。対向車のヘッドライトや背の低い標識、植物なども誤認識の要因となることが報告されています 。
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現在、ホンダカーズでも完全な修復ができない状態であり、レーダーによる自動ブレーキの誤作動は技術的な課題として残されています 。夜間やトンネルの出入り口、影の多い場所での誤作動も頻繁に報告されており、運転者は常に注意を払う必要があります 。
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ホンダセンシングの自動ブレーキは、電柱やポール状の障害物に対しては効果を発揮しないという重要な制限があります 。これは技術的な理由によるもので、ポール状の構造物は道路近辺の至る所にあり、それがクルマの進行方向にあるのか確認できないため、対象物にすると誤作動を誘発するリスクがあるからです 。
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スバルのアイサイト開発担当者によると、電信柱に代表されるポールや木は自動ブレーキにとって最も難しい対象物であり、おそらく全てのメーカーの自動ブレーキが電信柱に代表されるポール状の障害物には真正面から衝突してしまうとのことです 。
その他にも、センサーの汚れや障害物、高速道路での特定の挙動、システムの不具合や故障、低速時のシステム限界、車両の設定による影響などが作動しない原因として挙げられます 。山岳路や悪路を長時間走行した場合、雨・霧・雪などの悪天候時にはCMBSが自動的に停止し、警告灯が点灯することもあります 。
参考)https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/civictyper/2023/details/136227090-105862.html
ホンダは自動ブレーキの精度向上のため、2種類のセンサーを組み合わせた高精度認識システムを採用しています 。ミリ波レーダーが対象物体の位置や速度を認識し、単眼カメラが対象物体の形状や大きさを認識することで、より正確な判断を可能にしています 。
参考)https://global.honda/jp/safetyinfo/think_safety/pdf/2018_Spring_03.pdf
最新の「ホンダセンシング360+」では、フロントと各コーナーに計5台のミリ波レーダーを装備し、360度センシングを実現しています 。さらに、ドライバーモニタリングカメラと高精度地図を採用することで、ドライバーの状態確認や車両の制御機能が大幅に向上しました 。
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新システムでは、衛星測位と高精度三次元地図によって自車位置を認識し、複数のセンサーフュージョンで外界を認識します 。これにより「滑らかな走行ライン」と「衝突しない走行ライン」を考慮した「最適な走行ライン」の計画が可能になり、従来システムの限界を克服する技術的進歩を遂げています 。高速道路では最大135km/hまでハンズオフ機能に対応し、トンネルや雨天などの悪条件でも安定した性能を発揮するようになりました 。
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