トヨタのスポーツカー 一覧|現行とGRシリーズの全貌

現行のGRスポーツシリーズから国産車初のスーパーカー2000GTまで、トヨタが誇る歴代スポーツカーをご紹介。本格スポーツからライトな走行性能まで、あなたのライフスタイルに合ったスポーツカーはどれ?

トヨタ スポーツカー 一覧

トヨタのスポーツカーラインアップ
🏁
本格スポーツシリーズ「GR」

GAZOO Racingの知見を結集したハイパフォーマンスモデル群。レースフィールドの技術が市販車に直結。

実用性重視の「GR SPORT」

大衆車をベースにスポーティな走行性能を加えたグレード。走りを楽しみながら日常使用も快適。

👑
最上級チューン「GRMN」

GRシリーズの頂点。エンジン内部チューニングから車体補強まで徹底した限定モデル。

トヨタのスポーツカー 現行GRシリーズの特徴

 

トヨタの現行スポーツカー戦略の中核をなすのが「GR」シリーズです。GRはGAZOO Racing(ガズーレーシング)の頭文字であり、トヨタのレーシング部門で培われた高度な技術が市販車に組み込まれています。モータースポーツの最前線で鍛えられた性能とノウハウが、一般ユーザー向けのスポーツカー開発に直結しているのです。

 

従来のスポーツカー開発とは異なり、GRシリーズは「競技用車両を市販化する」という逆転の発想で構想されました。プロのレーシングドライバーが操舵して味付けを行うなど、本物の走行性能を優先した設計思想が一貫しています。高級感や豪華さよりも、徹底した走行性能の追求がトヨタの現在のスポーツカー戦略を特徴づけています。

 

トヨタのスポーツカー GRスープラのエンジン性能

GRスープラは、2019年に17年ぶりに復活したトヨタの旗艦スポーツカーです。3.0L直列6気筒ツインスクロールターボエンジンと2.0L直列4気筒ターボエンジンの2種類を搭載し、グレード構成は上からRZ、SZ-R、SZとなります。

 

RZグレードの3.0Lエンジンは最高出力387PS、最大トルク500N・mを発生し、加速力とトップスピード性能を兼ね備えています。一方、SZ-Rの2.0Lエンジンは258PSを発生。この中間グレードは、高速道路での軽快な走りと日本の道路事情のバランスを取ったチューニングが施されており、新車価格と性能のバランスで最も人気があります。2022年4月にはRZグレード用に6速MTが追加され、マニュアルトランスミッション愛好家からも支持を集めています。

 

価格帯は499万5,000円から800万円で、排気量に応じた燃費性能も考慮されています。2.0Lエンジンは14.5km/L、3.0Lエンジンは11km/LのWltc複合モード燃費を実現し、高性能を保ちながら実用燃費も確保しています。

 

トヨタのスポーツカー GRヤリス と GRカローラの比較ポイント

GRヤリスとGRカローラは、同じ1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジンを搭載するホットハッチですが、コンセプトに大きな違いがあります。

 

GRヤリスは、モータースポーツ用のベース車両を市販化するコンセプトで開発されました。ボディサイズは全長3,995mm×全幅1,805mm×全高1,455mmと小ぶりで、車両重量は1,280kg(MT車)と軽量です。オーバーハングが短く設計されており、高速コーナーリング時の旋回性に優れています。新開発のスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」により、エンジンパワーを四輪に効率的に伝達する仕組みが特徴です。価格は356万円から533万円で、よりエントリーレベルから上級グレードまで幅広い選択肢があります。

 

GRカローラは、より大きなボディを活かした高速安定性を重視した設計です。全長4,410mm×全幅1,850mm×全高1,480mmとなり、ホイールベースが80mm長く、車両重量は1,470kgです。4ドアセダンスタイルのため後部座席や積載容量に優れ、実用性とスポーツ性を両立させています。限定販売で500台のみのリリースでしたが、抽選方式が採用された人気モデルです。販売開始時の価格は568万円から598万円で設定されていました。

 

トヨタのスポーツカー GR86の革新的なデザインとハンドリング

GR86は、スバルとの共同開発による2代目モデルとして、新型水平対向2.4Lエンジンを搭載して登場しました。搭載エンジンは出力200PS超を発生し、先代比で0.4L排気量がアップしています。超低重心のFRプラットフォームにより、ボディの横曲げ・ねじり剛性が大幅に向上し、軽快なハンドリング操作と安定した走行性を実現しています。

 

車体重量の最適化とボディ剛性向上により、あらゆる速度域で力強い加速感を実現。エクステリアは大きく膨らんだフェンダーアーチと、FRスポーツを主張する流麗なボディラインが特徴です。上級グレード「RZ」ではウルトラスエードと本革を使用したシートが採用され、座り心地とホールド性の両立が実現しています。

 

価格は293万6,000円から361万6,000円で、300万円前後のエントリー価格が大きな魅力。シャシー設計の柔軟性から、カスタマイズパーツが非常に充実しており、自分好みにカスタムできるのも人気の理由です。中古市場ではAT車で100万円台前半から見つけることができ、マニュアル車リセールバリューも高く経済性に優れています。

 

トヨタのスポーツカー 歴代モデルから2000GTの歴史的価値

トヨタのスポーツカー 黎明期を代表するのが1967年に登場した2000GTです。ヤマハ発動機との共同開発で誕生した2000GTは、日本が世界に誇る最初の本格グランツーリスモであり、国産車初のスーパーカーと呼ばれています。

 

搭載される直列6気筒DOHC 1,988ccエンジンは最高出力150psを発生し、当時としては圧倒的なスペックです。4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンション、4輪ディスクブレーキ、ラック&ピニオン式ステアリング、リトラクタブルヘッドランプなど、日本の量産車では初採用となる技術・装備が多く盛り込まれていました。220km/hの最高速度を実現し、当時の欧州製スポーツカーに並ぶパフォーマンスを発揮しました。

 

生産台数はわずか337台という希少性の高さから、中古車市場では億単位での取引も行われています。映画『007は二度死ぬ』にも登場し、トヨタのみならず日本の自動車業界全体のイメージアップに貢献した伝説的な1台です。当時の新車価格は238万円でしたが、現在の価値に換算すると2,000万円前後といわれています。

 

トヨタのスポーツカー セリカからMR2まで80年代の黄金期

1980年代はトヨタのスポーツカー 開発における黄金期でした。1983年に登場したAE86型のスプリンタートレノ とカローラレビンは、FRレイアウトの最後の名車として今も多くのファンから支持を受けています。軽量で高剛性なボディと信頼性の高いエンジンにより、アマチュアレースでも大活躍しました。

 

1984年には、国産の量産普通乗用車として初めてミッドシップレイアウトを採用したMR2が登場。当時のカローラのエンジンや足回りを流用することでコストを抑え、1.5Lエンジンと4A-Gエンジン、スーパーチャージャー搭載仕様など複数のパワートレインが提供されました。

 

1986年に登場したセリカXXはグローバルネームのスープラとなり、直列6気筒3Lエンジンを心臓部に持つスポーツカーとして確立されました。セリカにはラリーベース車のGT-FOURが追加され、フルタイム4WDとターボエンジンのコンビネーションでWRC参戦も果たしています。同時期のスターレット ターボもコンパクトながら135psを誇り、入門スポーツカーの王様として若年層から絶大な支持を獲得していました。

 

トヨタのスポーツカー 1990年代から2000年代への転換期

1990年代は、バブル景気の崩壊に伴うスポーツカー市場の縮小が始まった時期です。既存モデルのセリカ、スープラ、MR-Sなどはモデルチェンジを重ねながら販売が続きましたが、新規モデルの投入は控えられていました。

 

1991年に登場したアリストは、スープラと同じ直列6気筒3Lエンジンを搭載するスポーツセダンとして注目を集めます。1998年にはAE86の精神を受け継ぐアルテッツァが登場し、新世代のスポーツカーファンの期待を一身に集めました。

 

しかし、2000年の平成12年排出ガス規制によって、80系スープラが2002年をもって終売となり、その後セリカやMR-Sも続々と姿を消しました。排出ガス規制への対応コストの増加と、スポーツカー市場の萎縮により、この時期はスポーツカーにとっての「冬の時代」となったのです。ホット化されたヴィッツやカローラシリーズは存在しましたが、本格的なスポーツカーの新機種投入は途絶えていました。

 

トヨタのスポーツカー 2010年代の復活と現在のポジション

スポーツカーの冬の時代を経て、2012年に大きな転機が訪れました。スバルとの共同開発により、久しぶりの本格FRスポーツクーペ「86」が登場したのです。水平対向4気筒2Lエンジンを搭載し、6速MT車とAT車が用意されました。走行会やサーキット走行を想定した設計で、ユーザーとともに育てられ、成長していく車として開発されたという特別なコンセプトが評価されています。

 

また、2010年には現在のGRの前身となるスポーツコンバージョンモデル「G's」シリーズが発表され、スポーツモデル復調の兆しが見え始めました。この流れは2019年のGRスープラ復活、2021年のGR86への昇格、そして2023年のGRカローラ・GRヤリス 進化版リリースへと続いています。

 

現在、トヨタのスポーツカー ラインアップは多様化しており、本格スポーツの「GR」シリーズ、実用性重視の「GR SPORT」グレード、そして希少な限定車の「GRMN」という3つの階層構造を確立しています。オフロード性能を追加した ランドクルーザー GR SPORT、ハイブリッド技術を結集した アクア GR SPORT など、ライフスタイルに応じた選択肢が充実しているのが特徴です。

 

トヨタのスポーツカー GR SPORTが実現した身近なスポーツ走行

トヨタのスポーツカー ラインアップの中で、最も購入しやすいエントリーポイントが「GR SPORT」グレードです。通常モデルのグレードの中のひとつという扱いながら、足回りやボディ補強、エクステリアパーツに手が加えられ、ノーマル仕様とは一線を画す走り味を提供しています。

 

ヤリスクロス GR SPORTはガソリン、ハイブリッド両方に設定され、ボディ剛性向上パーツと専用の足回り、電動パワーステアリングのチューニング、スポーツタイヤ装着により意のままに操ることができるハンドリングを実現しています。ハイブリッドモデルではモーターの過渡特性最適化とドライブシャフトのねじり剛性アップが施されています。

 

ハイラックス GR SPORTは専用オーバーフェンダーの装着や「TOYOTA」エンブレムなど、ワイルドな意匠が特徴。専用のモノチューブショックアブソーバーと18インチのスポーツタイヤにより、ステアリング応答性とフラットで快適な走りを実現しています。

 

新型ランドクルーザー GR SPORTはオフロード性能を重視した仕様となり、肉厚な18インチタイヤ、前後電動デフロック、電子制御スタビライザー「E-KDSS」が標準装備されます。C-HR GR SPORT は軽快なハンドリングとクーペSUVの魅力を両立させ、ガソリン2WDモデルには6速MT仕様も用意されています。コペン GR SPORTは軽唯一のオープン2シータースポーツモデルで、BBS製ホイールとレカロ社製シートが奢られた充実した仕様です。

 

トヨタのスポーツカー GR SPORT全体としての購買層は、本格的なサーキット走行を想定せず、日常の走行性能向上を重視するユーザーが中心です。新車価格でも相応に手頃な価格設定がされ、特に ハイラックス GR SPORT、C-HR GR SPORT ガソリン MT車などは中古市場でも値付けが安定しており、狙い目が豊富に存在しています。

 

トヨタのスポーツカー を購入する際の重要な検討項目

本格スポーツカーの中古購入を検討する際は、単純な走行距離ではなく使用履歴が非常に重要です。走行距離が少なくても激しいスポーツ走行を繰り返してきた車両は消耗度合いが大きく異なります。タイヤの激しい摩耗痕、ブレーキ系統が高熱に晒された痕跡、サスペンション周辺の損傷なども確認が必要です。

 

GRスープラのようなハイパフォーマンスモデルは、エンジンオイルも高品質なものが要求され、定期メンテナンスの頻度が一般車より高くなる傾向にあります。一方、GR SPORTグレードは基本的にノーマルエンジンを使用しているため、特殊な維持費は不要なことがほとんどです。

 

カスタマイズパーツの装着も重要な判断ポイントです。モータースポーツから直伝の空力パーツやサスペンション強化パーツは有益ですが、中には車検非対応のものもあり、取外しが必要になる場合があります。チューニングの程度が濃い車両ほど、将来の車検維持費や修理コストが増加する傾向があるため、慎重な判断が求められます。

 

TOYOTA GAZOO Racing公式サイト - GRシリーズの最新情報と全モデルの詳細スペック、開発背景
カーセンサー トヨタのスポーツカー一覧 - 現行モデルから歴代車まで、中古車相場情報と詳細比較
GAZOO トヨタ2000GT特集 - 国産スーパーカーの歴史と技術的革新性、オークション記録

 

 


トヨタ物語(新潮文庫)