後部座席シートベルト一般道着用義務違反の罰則は

後部座席シートベルトの一般道での義務化から15年が経過しても着用率は半数以下の状況です。法的義務と違反時の罰則、着用しない理由は何でしょうか?

後部座席シートベルト一般道着用義務

後部座席シートベルト着用の現状と義務
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一般道着用率わずか45.5%

高速道路79.7%に対し、一般道は着用率が半数以下の低水準

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2008年法律義務化

道路交通法改正により全席着用が義務化されたが浸透不十分

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運転者責任で違反処理

一般道では口頭注意、高速道路では運転者に違反点数1点

後部座席シートベルト義務化の法的根拠

2008年6月1日の道路交通法改正により、後部座席を含む全席でのシートベルト着用が義務化されました 。道路交通法第71条の3第2項では、「自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転してはならない」と定められています 。
参考)後部座席のシートベルト違反の罰金|高速道路と一般道の違いを解…

 

この義務は一般道路・高速道路を問わず適用され、疾病、負傷、妊娠などのやむを得ない理由がある場合のみ免除されます 。運転者には、自身のシートベルト着用だけでなく、すべての同乗者にシートベルトを着用させる義務が課せられており、違反した場合は運転者が処罰されます 。
参考)後部座席のシートベルト着用は義務?違反した際の罰則もあわせて…

 

後部座席シートベルト一般道罰則の実態

一般道路での後部座席シートベルト非着用に対する処罰は、現在のところ口頭注意のみで、行政処分(違反点数加算)や反則金は科せられません 。これは高速道路での処罰(運転者に違反点数1点加算)とは大きく異なります 。
参考)後部座席にシートベルト着用義務はある?シートベルトの法律と罰…

 

このような処罰の軽さが、一般道での低い着用率の一因となっています。JAFの調査では、シートベルトを着用しない理由として「違反点数がつかないから」が上位に挙げられており 、罰則の有無が着用行動に直接影響していることがわかります。
参考)後席シートベルト着用推進運動|F-SS.NET

 

後部座席シートベルト着用率の統計データ

2024年の「シートベルト着用状況全国調査」によると、後部座席の着用率は一般道路で45.5%(前年比1.8ポイント増)、高速道路で79.7%(前年比1.0ポイント増)となっています 。これは調査開始以来最高値ですが、運転席の着用率(一般道路99.2%、高速道路99.6%)と比較すると大きな格差があります 。
参考)全ての座席でシートベルトを着用しましょう|警察庁Webサイト

 

義務化直後の2008年には一般道路での着用率が8.8%から30.8%に大幅増加しましたが、その後は横ばい状態が続いており 、一般道路での着用促進が課題となっています。特に高速道路と一般道路の着用率格差(約34ポイント)は、処罰の差が影響していることを示しています 。
参考)後席シートベルトに関するアンケート調査(2016年2月)

 

後部座席シートベルト着用しない心理的要因

JAFの調査によると、後部座席でシートベルトを着用しない理由として最も多いのは「シートベルトが使いにくい」(29.8%)で、次に「高速道路を走行する時だけ着用しているから」(27.6%)、「何も考えていないから」(22.2%)と続きます 。
使いにくさの具体的内容として、「バックルの形が悪く装着しにくい」(45.7%)、「締め付け感覚が強く窮屈」(44.2%)、「装着が面倒」(38.6%)などが挙げられています 。また、「隣席のバックルと間違えやすい」(31.9%)、「バックルがお尻に隠れる」(19.9%)といった構造的な問題も指摘されています 。
興味深いのは、「後席は危険であると感じない」(8.9%)や「交通事故は稀にしか起こらない」(1.5%)といった安全軽視の理由は比較的少なく 、多くの人は意図的に着用を拒否しているわけではないことがわかります。

後部座席シートベルト未着用による安全リスク

後部座席のシートベルト着用は、前席と同様に重要な安全対策です。シートベルト未着用時の致死率は着用時の約4.5倍に上り 、車外放出のリスクも大幅に増加します。時速60キロでの衝突時、シートベルトをしていない後部座席乗員は、高さ14階建てビルから落下するのと同等の衝撃を受けます 。
参考)シートベルトの役割(やくわり)ってなに?

 

さらに深刻なのは、後部座席の未着用者が前席の乗員に激突する「人間ミサイル現象」です 。この現象により、シートベルトを着用している前席の乗員でも重傷を負う可能性があり、車内全体の安全性が損なわれます 。米国の研究では、ベルト着用により後部座席乗員の死亡リスクが67%減少することが確認されています 。
参考)シートベルトはすべての席で着用しなければいけません/神奈川県…

 

車外放出された場合、アスファルトへの激突、後続車両による轢過、他車両の回避行動による二次事故など、複数の危険にさらされることになります 。これらのリスクは、法的責任の観点からも重要で、民事訴訟では後部座席シートベルト未着用による過失相殺が認められるケースが増加しています 。
参考)後部座席のシートベルト非着用による過失相殺は? - 人と車の…