スバル・インプレッサ WRX STIの歴史は、1994年1月に初代モデルが誕生したところから始まります。スバルテクニカインターナショナル(STI)によるコンプリートカーとして、月産100台限定の受注生産で登場しました。この初期型STIは、耐久性に優れる鍛造ピストンや専用ECUで高出力化を実現し、最高出力250ps、最大トルク31.5kgmを発揮していました。
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1998年3月には、WRCに投入されたワールドラリーカー97のロードバージョンに相当する「22B STI Version」が限定400台で発売されました。専用の2.2L水平対向4気筒ターボエンジンを搭載し、500万円という当時としては高額なプライスでしたが、瞬く間に完売し、現在でもWRXシリーズの中で最も特別な1台として世界的に評価されています。
第2世代は2000年8月にデビューし、エンジンは可変バルブタイミング機構を備えた新設計のEJ20ターボに進化しました。最高出力280ps、最大トルク373Nmを発揮し、6速MT、ブレンボ製ブレーキシステムなどの高コストな専用装備を取り入れることで大幅なポテンシャルアップを図っています。
第3世代では5ドアハッチバックが採用され、2007年10月にデビューしました。WRCのライバルたちがコンパクトなハッチバックにスイッチしたことで、よりアグレッシブなスタイルに生まれ変わりました。電子制御を用いた「マルチモードDCCD」や「SIドライブ」などの新機構を採用し、ドライバーがマシンの特性を引き出しやすい走りを実現しています。
第4世代となるWRXは、2014年にインプレッサから独立したスポーツセダンとして登場しました。「S4」と「STI」に分けられ、STIは伝統のEJ20型水平対向4気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力308ps、最大トルク422Nmを発揮しています。
スバル・インプレッサ WRX STIの心臓部は、2.0L水平対向4気筒DOHCターボエンジン「EJ20型」です。第4世代のWRX STIでは、最高出力308ps/6400rpm、最大トルク422Nm/4400rpmという圧倒的なパフォーマンスを実現しています。
参考)https://www.goo-net.com/catalog/SUBARU/WRX_STI/
水平対向エンジンは、ピストンが水平方向に対向して配置されるため、低重心でバランスが良く、車両の運動性能を高める効果があります。特にEJ20型エンジンは、スバルのモータースポーツ活動で培われた技術が注ぎ込まれており、高回転域でも気持ちの良い回転フィールを提供します。
トランスミッションには強化型6速マニュアルを採用し、水平対向エンジンのハイパワーを確実に路面に伝えます。また、DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWDを搭載しており、路面状況やドライバーの好みに応じてセンターデフの制御特性を自由に選択できる点が大きな特徴です。
ブレーキシステムには、イタリアの名門ブレンボ製を採用しています。2017年の改良では、フロントキャリパーが4ポッドから6ポッドに変更され、前後ともにドリルドローターを採用することで、より強力な制動力を実現しました。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| エンジン型式 | EJ20型 水平対向4気筒DOHCターボ |
| 排気量 | 2.0L |
| 最高出力 | 308ps/6400rpm |
| 最大トルク | 422Nm/4400rpm |
| トランスミッション | 6速マニュアル |
| 駆動方式 | 4WD(DCCD方式) |
| ブレーキ | ブレンボ製(フロント6ポット) |
スバル・インプレッサ WRX STIは高性能スポーツカーであるため、維持費は決して安くありません。年間の維持費は約50万円から80万円程度になることが一般的で、高性能モデルならではの経済的負担があります。
参考)WRX STIは維持できない?高額維持費の真実と賢い所有方法…
燃料費については、市街地走行で約8km/L、高速道路で約11km/L程度となります。年間15,000km走行すると仮定した場合、燃料費は約25万円から30万円程度となり、無鉛プレミアムガソリンの使用が必須であるため、通常のガソリンよりも高額になります。
自動車税は排気量2.0Lのため、年間約39,500円です。任意保険料は年齢や運転歴によって大きく変わりますが、一般的に年間10万円から30万円程度と考えられます。
参考)WRX STIの維持できない?高額維持費の内訳
車検費用は2年に1回で、ディーラーで行う場合20万円から30万円程度かかります。年間に換算すると10万円から15万円になります。
日常的なメンテナンス費用として、オイル交換やタイヤ交換、ブレーキパッドの交換などで年間10万円から20万円程度を見込む必要があります。特にタイヤやブレーキパッドは高性能パーツを使用しているため、交換費用も高額になる傾向があります。
スバル・インプレッサ WRX STIの中古車市場は、年式やモデル、走行距離によって価格が大きく変動します。特に人気の高いGDB型(2000年~2007年)やGRB/GVB型(2007年~2014年)は、状態の良い個体であれば高値で取引されています。
参考)スバルインプレッサ WRX STIの買取価格・査定相場 href="https://hm-r.co.jp/hmr-8b/impreza-kaitori/" target="_blank">https://hm-r.co.jp/hmr-8b/impreza-kaitori/amp;#…
2025年7月現在の買取相場を見ると、GRB型前期モデルで走行距離0万~3万kmの場合、買取価格は190万円~230万円程度です。同じくGVB型(セダン)では走行距離0万~3万kmで220万円~270万円と、比較的高値で取引されています。
走行距離が増えると買取価格は下がりますが、それでも10万~12万km走行のGVB型で110万円~160万円程度の買取相場を維持しており、スポーツカーとしての人気の高さが伺えます。
中古車販売価格では、平成26年式(2014年式)のWRX STI スペックCで、走行距離3万km台であれば約300万円、10万km台でも約180万円~200万円で販売されています。
参考)インプレッサWRX特 STiスペックCの買取相場・査定価格|…
特に限定モデルや特別仕様車は、生産台数が少ないため希少価値が高く、プレミア価格で取引されることもあります。1998年に発売された「22B STI Version」は、限定400台という希少性から、現在でも高値で取引される伝説的なモデルとして知られています。
| モデル | 走行距離 | 買取相場 |
|---|---|---|
| GRB型前期 | 0~3万km | 190万円~230万円 |
| GVB型 | 0~3万km | 220万円~270万円 |
| GRB型後期 | 5~8万km | 180万円~220万円 |
| GVB型 | 10~12万km | 110万円~160万円 |
スバル・インプレッサ WRX STIの魅力の一つが、数多く発売された特別仕様車とカスタム文化です。STIコンプリートカーとして「S」シリーズが複数発売されており、S201からS208まで、それぞれが独自の魅力を持つ限定モデルとして高い人気を誇っています。
2018年7月には、STI創立30周年記念コンプリートカーとして「TYPE RA-R」が500台限定で発売されました。このモデルは「軽さ」「速さ」「愉しさ」をテーマに、グラム単位での軽量化を積み重ね、ベースのWRX STIと比較して約10kgの軽量化を実現しています。
参考)WRX STI 特別仕様車 「TYPE RA-R」を500台…
TYPE RA-Rのエンジンは、S208にも搭載された329馬力のEJ20バランスドBOXERを採用し、STIコンプリートモデル最強のパワーを誇ります。専用開発したダンパー&スプリング、ミシュラン製パイロット スポーツ 4S、brembo製ブレーキシステムを装備し、車両の限界性能を高めています。
最終限定車となった「EJ20ファイナルエディション」は、伝統のEJ20型エンジン生産終了とともに販売を終える555台限定モデルとして、抽選販売となるほどの人気を集めました。多くの購入希望者が殺到し、最終販売は異例の盛り上がりを見せています。
カスタム文化においては、ストラットタワーバーやサスペンション強化、スタビライザーの交換などが定番のチューニングメニューです。フロントストラットタワーバーは約1~2万円程度から入手でき、取り付けも比較的簡単なため、初心者にもおすすめです。
参考)WRX STIの操作性を向上させるカスタム入門ガイド|初心者…
モータースポーツの分野では、2025年にスバルとSTIがニュルブルクリンク24時間耐久レースや全日本ラリー選手権にWRXをベースとした車両で参戦することを発表しており、スバルのモータースポーツへの情熱は今も健在です。
参考)スバル/STIがモータースポーツ活動計画を発表。ニュル、全日…
スバル・インプレッサ WRX STIは、単なる高性能スポーツカーではなく、スバルのモータースポーツで培われた技術と情熱が詰め込まれた特別な存在です。世界ラリー選手権での輝かしい実績、独自の水平対向エンジン、緻密にチューニングされた4WDシステムなど、日本を代表するスポーツカーとして今なお多くのファンを魅了し続けています。維持費はかかりますが、それを補って余りある走りの楽しさと所有する喜びを提供してくれる1台と言えるでしょう。

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