レクサスが2025年9月9日にワールドプレミアした新型ISは、フロントマスクに大きな変更を加えました。新世代デザインの象徴は、コンパクトSUVの「LBX」に採用されたブレード形のラインで左右のヘッドライトを接続するグリルです。従来のスピンドルグリルを進化させ、ブレーキダクトを低く構えることで、より迫力あるプレミアムセダンの顔つきを実現。新開発のニュートリノグレーという硬質なライトグレーメタリック色も、駆け抜ける走りの世界観を表現し、ボディカラーは計8色が設定されました。
リアのエンブレムは、新世代レクサスモデルの統一デザインである「LEXUS」ロゴに変更。足元では、細軸スポークの新意匠19インチ軽量アルミホイール（グロスブラックメタリック）が採用され、LEXUSロゴ入りのレッドブレーキキャリパーがメーカーオプション設定されています。「F SPORT」グレードには、床下から車両背面への空気流れを増加させるリアスポイラーが新設計され、優れた空力操安性能を実現します。
新型ISの内装は、プレミアムセダンとしての質感を大幅に向上させるべく、インストルメントパネル、センターコンソール、メーター、フロントドアトリムの意匠が全面的に刷新されました。最新の12.3インチタッチパネルディスプレイが全車に統一採用され、12.3インチフル液晶メーターへと更新。オーナメントパネルには、竹材を用いたレクサスのブランドシグネチャーマテリアル「Forged bamboo」が新規開発、設定されました。
インテリアカラーでは、太陽を覆う神秘的な紅炎をイメージした新規開発色「PROMINENCE（プロミネンス）」が「F SPORT」グレードに採用。室内を演出する水平基調のラインイルミネーションは、計14色のテーマカラーと好みに合わせて選べる50色のカスタムカラーを設定し、ドライバーの個性を表現できます。利便性面では、高出力USB Type-C端子がセンターコンソール前方に2か所、後端にも2か所配置。ワイヤレス充電（Qi規格Gen5対応）も使いやすい位置に移動し、複数のスマートフォンに同時対応可能になりました。
オーディオシステムは、レクサスプレミアムサウンド10スピーカーシステムが全車標準設定されるほか、マークレビンソン7スピーカーシステム（包み込まれるような心地よさと深い表現力を実現）がメーカーオプション設定。高級車としての音響体験が大幅に向上しています。
新型ISの走行性能は、複数の革新的な技術によって大幅に進化しました。電動パワーステアリング（EPS）がラック平行式へ変更され、バリアブルギヤが採用されたことで、リニアな操舵フィールが実現。より直感的で気持ちよい操作感がドライバーに伝わります。
特に注目すべきは、AVS（Adaptive Variable Suspension system）の大幅な改良です。従来のステップ式アクチュエーターから、新規開発の内蔵式リニアソレノイドアクチュエーターへ進化することで、減衰力応答性が約4倍に向上。スムーズな減衰力制御と素早い応答性を兼ね備え、フラットなばね上の挙動と路面入力によるショック感の低減を同時に実現します。これにより、高速走行時の安定性と乗心地の快適性が両立され、あらゆる走行シーンで「気持ちのいいドライビング」が体験できるようになりました。
日本向けには2.5Lハイブリッド「IS300h」のFRモデルが導入され、226psのシステム出力（エンジン178ps+モーター143ps）で高い走行性能と環境性能を両立。WLTCモード燃費は18.0km/Lを実現し、プレミアムミドルクラスセダンとしては優れた燃費性能を誇ります。
安全性能における新型ISの進化は、自動運転技術の最前線を取り入れたものです。最新版「Lexus Safety System +」では、従来の機能に加えて大幅な拡充が施されました。レーダークルーズコントロール（ACC）、ロードサインアシスト（RSA）、発進遅れ告知機能（TMN）など、ドライバーをサポートする支援機能が大幅に拡大されています。
プリクラッシュセーフティ（PCS）の対象範囲が拡大され、従来の昼間歩行者と昼間自転車運転者に加え、夜間の自転車運転者と昼間の自動二輪車にも対応。交差点衝突回避支援は、右左折に加えて出会い頭の車両まで対応範囲が拡大されました。アクティブ操舵機能付き緊急時操舵支援、フロントクロストラフィックアラート（FCTA）、ドライバーモニター連携といった機能も新たに追加。
特に革新的なのは、「Lexus Teammate Advanced Drive」という高度運転支援技術です。一部の高速道路や自動車専用道路での走行中に、渋滞時（0km/h～約40km/h）のレーダークルーズコントロールとレーントレーシングアシスト作動中であれば、ドライバーが前を向いているなどの条件を満たすと、システムが自動的に作動。ハンズオフ機能により、渋滞時の疲労が大幅に軽減されます。
運転の状況に応じたリスク先読みを行う「プロアクティブドライビングアシスト（PDA）」も搭載。「歩行者の横断」「飛び出してくるかもしれない」という危険に近づきすぎないよう運転操作をサポート。先行車や前方カーブに対する減速操作もサポートし、一般道での運転にドライバーに寄り添う形で支援します。
新型ISは、2013年登場の現行モデルから継続進化する形で、2020年の大幅改良に続く2度目のビッグマイナーチェンジに位置づけられます。現行IS（2020年改良後）のボディサイズは全長4680mm×全幅1810mm×全高1430mmでしたが、新型では全長4720mm（+40mm）×全幅1840mm（+30mm）×全高1435mm（+5mm）に拡大。より伸びやかで堂々としたシルエットを実現しています。
ボディサイズの拡大とともに、外装の全面刷新、内装の質感向上、走行性能の飛躍的な向上により、プレミアムセダンとしての存在感が大幅にアップ。基本設計は10年以上経過していますが、新型での改良規模から考えると、現行プラットフォームの最高段階の完成形と言えるでしょう。価格は最新装備採用により約20万円のアップが見込まれ、FR IS300hが527万円から、F SPORT版が581万円から、version L版が601万円からの設定となります。
2026年初頭の発売予定となっている新型ISは、電動化へシフトする自動車業界において、内燃機関（ハイブリッド）搭載車として、新たに設定される新世代電気自動車モデルと併売される予定。従来の「ISらしい走りの愉しさ」を守りながら、最新技術を結集させた進化形として、多様なユーザーのニーズに応える戦略的なモデルポジショニングとなっています。
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