ワイヤレス充電の最大の課題は、充電速度が有線充電と比べて著しく低下する点です。有線充電では急速充電対応なら30W~100W以上の高出力が可能で、30分で50%以上の充電ができる機種も多く存在します。一方、ワイヤレス充電は5W~15W程度が主流であり、MagSafe対応でも最大25W程度に止まります。これは技術的な制限に起因しており、電磁誘導方式を採用しているため、エネルギー変換過程で必然的に非効率が生じるからです。
同じ時間での充電量を比較すると、ワイヤレス充電は有線の半分以下になることさえあります。急いで充電したいときに素早くバッテリー容量を回復させたい場合、ワイヤレス充電は向いていません。特に自動車用コンソールボックス内に設置される場合、運転中に急速充電が必要になる場面を想定すると、このデメリットは無視できない要因となります。
参考:自動車用ワイヤレス充電システムの開発状況
https://www.phileweb.com/review/column/202411/07/2424.html
ワイヤレス充電時に発生する熱は、スマートフォンやモバイルデバイスのバッテリー寿命を著しく短縮させる要因となります。電磁誘導方式では、充電器のコイルに流れる電気が発生させる磁界を、デバイスの受電側コイルが受け取ることで充電を実現します。この過程でコイル間にずれが生じると、電力変換が効率よく進まず、余剰エネルギーが熱として放出されます。
スマートフォンのバッテリーが劣化する最大の要因は「熱」です。高温状態が続くと電解質が分解され、電極が膨張し、電池性能が大幅に低下します。ワイヤレス充電中は常に熱が発生していますが、以下の条件下では劣化が加速します:真夏の車内など高温環境での充電、ベッドや布団の上など放熱しにくい場所での充電、ゲームや動画視聴など高負荷操作をしながらの充電。これらが重なると、バッテリー温度が危機的なレベルまで上昇し、充電が強制停止させられることさえあります。
ワイヤレス充電器自体に冷却機能がないものも多く、長時間の使用で端末温度が上昇しやすくなります。夏場の自動車内に設置されたワイヤレス充電器を使用する際は、特にこのリスクに注意が必要です。
https://chargespot.jp/article/8154/
電磁誘導方式の根本的な弱点として、「位置ズレに極めて弱い」という特性があります。送電側のコイルと受電側のコイルが正確に重なっていない場合、電力が効率的に伝達されず、充電が全く行われないか、著しく遅延する可能性があります。ワイヤレス充電器の上にデバイスをしっかりと置いているつもりでも、わずかな移動やズレが発生すると、充電が即座に止まってしまいます。
特に課題となるのは、ユーザーが充電失敗に気づきにくいという点です。夜間に充電器の上に置いて寝たはずなのに、朝起きたらバッテリーが0%になっていた、というトラブルが実際に報告されています。ワイヤレス充電器の上に置いたと思い込んでいても、布団の動きやデバイスの微妙なズレにより、実は充電されていなかったというシナリオが起こり得ます。
平置き型のワイヤレス充電器は特に位置ズレが起こりやすい傾向があります。スマホケースの厚さがコイルの位置を変化させ、金属パーツ付きケースが電磁界を干渉させます。MagSafe対応充電器のように磁力で吸着固定できるタイプ以外では、ズレを完全に防ぐことは難しく、ユーザーが常に注意を払う必要があります。
参考:ワイヤレス充電の位置ズレに関する技術解説
https://www.phileweb.com/review/column/202411/07/2424.html
自動車のコンソールボックスにワイヤレス充電器を導入する際に直面する独自の課題があります。第一に、充電中はスマートフォンを充電器から取り外す必要があり、ナビゲーション機能やハンズフリー通話などの利用が制限されます。ワイヤレス充電と同時にスマホを手に取ると、充電が中断されてしまうため、運転中の不便さが増す結果になります。
第二に、自動車内という高温環境が発熱問題を深刻化させます。真夏の日中、日光が当たるコンソール周辺は40℃を超える温度に達することもあり、この環境下でのワイヤレス充電は前述のバッテリー劣化を加速させます。デバイス側に「高温注意」メッセージが表示されると、保護機構により充電が自動停止されるため、急速に充電したい場面でも利用できなくなります。
第三に、自動車のダッシュボード上での固定には安定性が求められます。急加速や急ブレーキ時にコイルの位置ズレが発生しやすくなり、せっかく充電していたのに不安定な状態に陥るリスクがあります。
市場には依然として多くのワイヤレス充電非対応デバイスが存在し、これが導入の障壁となります。低価格帯のスマートフォンやガジェット、古いモデルの端末ではワイヤレス充電に未対応のものが大多数です。また、高額なワイヤレス充電器を導入しても、ユーザーが保有するすべてのデバイスが対応しているとは限りません。
さらに問題なのは、ケースの厚さや素材による影響です。分厚いスマホケースを装着していると、コイルが受信器から離れ、充電効率が低下します。特に金属製のスマホケースを使用している場合、電磁誘導が遮断されるため、充電がうまく機能しません。装甲ケースや手帳型ケースなど、保護性能が高いケース類ほど、ワイヤレス充電との相性が悪くなる傾向があります。
ワイヤレス充電の採用を検討する際は、対応デバイスの確認、現在使用しているケースの互換性確認が必須となり、追加コストが発生する可能性も考慮する必要があります。

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