クルーズコントロール ブレーキランプ点灯と自動減速システムの仕組みを解説

クルーズコントロール使用時にブレーキランプが点灯する理由と、アダプティブクルーズコントロール(ACC)の自動ブレーキシステムについて詳しく説明。エンジンブレーキとシステムブレーキの違いも理解できるでしょうか?

クルーズコントロール ブレーキランプ

クルーズコントロール使用時のブレーキランプ点灯について
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自動減速時のブレーキランプ点灯

ACCが前方車両に追従するため自動でブレーキをかけた際にランプが点灯します

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システムブレーキの仕組み

油圧ブレーキシステムが作動してフットブレーキと同様の制動力を発生させます

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後続車への影響

頻繁なブレーキランプ点灯により後続車に混乱を与える可能性があります

クルーズコントロール使用時のブレーキランプ点灯メカニズム

アダプティブクルーズコントロール(ACC)システムでは、前方車両との車間距離を一定に保つため、自動的にブレーキが作動します 。この際、システムが一定以上の減速度を検知すると、ブレーキランプが点灯する仕組みになっています 。具体的には、メーカーが設定したブレーキランプの点灯基準を超える減速が行われた場合、フットブレーキシステムが自動的に起動してブレーキランプが点灯します 。
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多くの車種では、軽微な速度調整の際にもブレーキランプを点灯させる設計となっており、これが高速道路でのブレーキランプ頻繁点灯の原因となっています 。国民生活センターにも「ブレーキペダルを踏んだ覚えがないのに、ブレーキランプが頻繁に点灯していたようで、後続車から危険なドライバーだと思われ、パッシングされた」という相談が寄せられているほどです 。

クルーズコントロールとエンジンブレーキの違い

クルーズコントロール作動中の減速には、エンジンブレーキとシステムブレーキの2つの方式があります 。エンジンブレーキだけで速度をコントロールできる場合は、ブレーキランプは点灯しません 。しかし、エンジンブレーキだけで速度をコントロールできず、システムによるブレーキ制御が行われた場合は、ブレーキランプが点灯します 。
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エンジンブレーキは、アクセルペダルから足を離すことで発生する減速力で、エンジンの回転を利用した自然な制動方法です 。一方、システムブレーキは、油圧ブレーキシステムを自動制御して作動させるため、フットブレーキと同様の仕組みでブレーキランプが点灯します 。エンジンブレーキでは、ブレーキパッドやディスクに負担をかけずに減速できるため、長時間の運転において有効です 。

クルーズコントロール ブレーキランプ点灯の法的基準

ブレーキランプの点灯基準は、道路運送車両の保安基準によって厳格に定められています 。電気式回生制動装置動作時の制動灯点灯については、減速度によって以下の3つに分けられています:減速度0.7m/s²以下では点灯禁止、減速度0.7m/s²を超え1.3m/s²以下では点灯任意、減速度1.3m/s²を超える場合は点灯義務となっています 。
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ブレーキランプの保安基準として、個数は2個、色は赤色、明るさは昼間に後方100mから点灯を確認できること、取り付け位置は高さが0.35〜2.1m、自動車の最外側から400mm以内、左右対称であることが求められています 。これらの基準により、ACCシステムでもフットブレーキと同様の視認性が確保されています 。
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クルーズコントロール自動ブレーキシステムの仕組み

現代のアダプティブクルーズコントロールシステムは、ミリ波レーダーとカメラセンサーを組み合わせて前方車両を検知し、車間距離と相対速度を常時監視しています 。前方車両との距離が設定値よりも近づくと、まずエンジン出力を制御して減速を試みます 。エンジン制御だけでは十分な減速ができない場合、油圧ブレーキシステムが自動的に作動し、この際にブレーキランプが点灯します 。
システムの動作過程では、まず車間距離と相対速度を測定し、必要に応じてブレーキ配管内の油圧を高めてブレーキパッドをローターの近くに移動させて準備状態にします 。さらに距離が近づくと音や表示で警告し、最終的に自動的にエンジン出力をカットしてブレーキをかけて停車します 。この一連の制御により、安全な車間距離が維持されています 。

クルーズコントロール使用時のブレーキランプ対策と注意点

ACCシステム使用時の頻繁なブレーキランプ点灯を軽減するには、車間距離の設定を「広め」に調整することが効果的です 。車間距離を広く設定することで、システムが自動ブレーキを作動させる頻度を減らすことができます 。ただし、車間距離が広すぎると他の車両から割り込まれる可能性も高くなるため、交通状況に応じて適切なバランスを取る必要があります 。
また、クルーズコントロール使用時でも、ドライバーは常に周囲への注意を怠らず、運転に対する意識を持ち続けることが重要です 。ACCはあくまで運転支援システムであり、完全な自動運転ではないため、緊急時にはドライバーが適切な判断と操作を行う必要があります 。特に天候不良時や交通量の多い道路では、システムに過度に依存せず、マニュアル操作への切り替えも検討すべきです 。
日本の高速道路における渋滞発生を防ぐため、車間距離を40m以上開けた渋滞吸収走行が推奨されており、ACCシステムもこの考え方に基づいて設定することで、より効果的で安全な運転が可能になります 。システムの特性を理解し、適切に活用することで、長距離運転の疲労軽減と安全性の向上を両立できます 。