スポイラーとエアロパーツの違いについて、多くのドライバーが混同しがちですが、実は明確な定義の違いが存在します 。「スポイラー」とは、運動中の自動車の車体を横断する望ましくない空気の動きを「壊す(スポイルする)」ための装置を指します 。一方、エアロパーツは空気力学を用いて空気抵抗を増減させ、運転を快適にすることを目的として造られたパーツ全般を示します 。
参考)スポイラー (自動車) - Wikipedia
基本的にはスポイラーもエアロパーツの一種として扱われることが多く、日本国内ではエアロの名称で呼ばれています 。外国ではスポイラーという名称が一般的ですが、「空力=空気力学」のことを「Aerodynamics(エアロダイナミックス)」といい、これがエアロパーツの語源となっています 。
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機能面では、スポイラーは特定の空気の流れを破壊することで乱流の量を増やし、層流を壊す働きがあります 。これに対してエアロパーツは「空気抵抗の軽減」「ダウンフォースの向上」「ドレスアップ効果」の3つの役割を持っています 。
スポイラーの基本的な機能は、運動中の自動車に発生する望ましくない空気の動きを制御することにあります 。具体的には、車両を超えるかその周囲のある種の気流を壊すことで、乱流の量を増やして空気を拡散させ、層流境界層のためのクッションを与えています 。
フロントスポイラーの場合、車体下面に空気が流れ込まないようにして車体の浮き上がりを防ぎ、空気の流れをブレーキ部分に流し込む形に設計されているパーツは、ブレーキの冷却性能を向上させる効果があります 。また、空気抵抗を利用してダウンフォースを得たり、空気の流れを整流して安定感の高い走りを可能にする役割も担っています 。
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リアスポイラーについては、車の上を流れてくる気流の空気抵抗を利用し、車体を地面に抑える力(ダウンフォース)を得ることができます 。気流を効率よく後ろに逃がす形に設計されているため、燃費を高める効果も期待できるという特徴があります 。
エアロパーツには様々な種類があり、それぞれが異なる機能と特徴を持っています 。主要なエアロパーツとして、フロントスポイラーは車の前面下部に装着され、空気抵抗低減とダウンフォース発生の効果があります 。サイドスカートは車体側面に取り付けることで空気の流れ制御と安定性向上を図ります 。
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リアスポイラーはトランク後端に装着して高速走行時の安定性向上を目指し、リアウイングは車体後方に設置して強力なダウンフォース発生を実現します 。また、ディフューザーは車体下部に取り付けて効率的なダウンフォース生成を行うパーツです 。
サイドステップは両サイドのドアの下部分に装着するパーツで、装着すると車高が低く見えるドレスアップ効果があります 。また、前から流れてくる空気の侵入を防いでくれるため、走行時の安定性が向上するという実用的な効果も持っています 。
スポイラーとウイングは見た目が似ているため混同されがちですが、実は根本的に異なる機能を持つパーツです 。リアスポイラーはボディとスポイラーが密着しているのに対して、リアウイングはボディとは離れたところにあるのが特徴的です 。
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機能面での違いも重要で、車体の後ろの気流をリアスポイラーは取り除く目的で作られていますが、リアウイングは気流を抑える目的で作られています 。ウイングの役割は「車を地面へ押さえつける」ことで、翼が斜め上に空気が流れるよう設計されていることにより「ダウンフォース」と呼ばれる揚力が発生します 。
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使用場面についても違いがあり、リアスポイラーは一般人が一般道路や高速道路を走行時にスピードを出した際に安定走行できるように作られていますが、リアウイングは高速道路やサーキットなどを走るのに適しています 。モータースポーツでは300km/h近いスピードで走行する車を地面に押さえつけるべく、"GTウイング"と呼ばれる大型のウイングを取り付けているのです 。
エアロパーツの素材選択は、性能と価格に大きく影響する重要な要素です 。主要な素材にはFRP(繊維強化プラスチック)、ウェットカーボン、ドライカーボンがあり、それぞれ異なる特性を持っています 。
ABS樹脂は剛性が高く、硬いゴムのように弾力があり、割れにくいので耐衝撃性に優れています 。寸法安定性に優れており、射出加工や押出加工での大量生産に向いているため、純正オプションの外装部品に使われることもあります 。一方で、長時間の日照で劣化するなど耐候性に劣り、古くなると表面が傷んだり、歪みや反りが出ることもあります 。
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カーボン素材のエアロパーツは、軽量かつ高強度なカーボンファイバーを使用した空力パーツで、金属と比べて非常に軽量です 。そのため、車両の総重量を減らし、燃費の向上にもつながります 。また、アルミやスチールと比べても高い強度を持ち、耐久性に優れているため、特に高速走行時の空力効果を維持しやすい特徴があります 。
参考)https://legolisauto.net/blogs/review/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
スポイラーやエアロパーツの取り付け後には、従来あまり知られていない独自のメンテナンス手法が存在します。特に重要なのは、フロントリップスポイラーを取り付ける際の整流効果確認です 。むやみにフロントリップスポイラーを取り付けてしまうと、クルマの空力性能が悪化する可能性があるため、整流効果を確認する必要があります 。
さらに、フロントまわりだけでなく、サイドやリヤまわりの整流も調整する必要があります 。フロントまわりの整流効果だけを高めた場合、クルマのフロントまわりにのみダウンフォースが発生し、相対的にリアのダウンフォースが弱くなってしまうためです 。
ABS樹脂製のスポイラーの場合、有機溶剤に溶けやすい性質を活かしたDIY補修方法があります 。アセトンでヒビなど破断面を溶かしてくっつけ、修理の下地にする手法が用いられることもあります 。このような素材の特性を理解したメンテナンス方法を知っておくことで、長期間にわたって最適な性能を維持することが可能になります。