2026年型の新型ホンダ・パスポートは、ロサンゼルスのホンダデザインスタジオにおいて「Born Wild（野性のままに）」をテーマに開発された。最大の特徴は「バックパックデザイン」と呼ばれる大胆で独創的なエクステリア表現である。この設計思想は、単なる美学的追求ではなく、実用性とオフロード志向を両立させるための機能美として機能している。
ボディサイズは全幅が従来比で約2.5cm拡大され、より堂々とした存在感を表現。ホイールベースが約7.0cm延長されることで、長いボンネットと後部ルーフの比率が最適化され、よりスポーティーなプロファイルが実現されている。フロントフェイスには角目のLEDヘッドライトを採用し、グリルには「PASSPORT」のロゴが刻まれるなど、強い個性を主張する。
特筆すべき設計要素として、ルーフ後部のマットブラック仕上げが挙げられる。これはスキーや釣り竿といったアウトドア用品を立てかけても傷つけない工夫であり、冒険心溢れるユーザーのライフスタイルを意識した配慮である。新しいLEDテールライトとスタイリッシュなルーフスポイラーにより、後方からも即座に識別可能な個性的なシルエットが完成している。
ホンダ新型SUV パスポートの最大の売りは、本格的なオフロード走破性能の実装である。特に「トレイルスポーツ」と「トレイルスポーツエリート」の2つのグレードは、悪路での使用を想定した専門的な仕様が施されている。
トレイルスポーツグレードには、オフロード向けにチューニングされた専用サスペンション、強化された全輪駆動システム、頑丈なスチール製アンダーボディスキッドプレート、オレンジ色の牽引フック、専用設計のオールテレーンタイヤが標準装備される。これらの装備は、砂地、泥道、岩場といった過酷な環境での確実な走破を実現するため、妥協なく選定されている。
最上位のトレイルスポーツエリートグレードには、新開発の「トレイルウォッチカメラシステム」が搭載される。4つの外部カメラを使用して前後左右と360度の映像を提供し、ドライバーの死角をカバーする革新的なシステムである。急な斜面、深い轍、道路の端など、通常では見えにくい障害物の回避をサポートし、オフロード走行の安全性を飛躍的に向上させている。
ドライブモードは、ノーマル、スポーツ、エコノミー、スノー、サンド、牽引、トレイルの7つが用意されている。各シーンに最適化された走行特性への自動切り替えにより、ドライバーの技量に左右されない安定したオフロード走破性能を実現している。
新型ホンダ・パスポートには、24バルブDOHC 3.5リッター V6エンジンが搭載される。このエンジンは285馬力（6,100rpm時）と355Nmのトルク（5,000rpm時）を発生させ、同クラスで最もパワフルなユニットのひとつとして位置付けられている。オールアルミニウム製ボディにより、軽量化と冷却効率の向上を両立させている。
特に注目される技術は、パスポート初の採用となる10速オートマチック・トランスミッションである。従来の9速から10速へのギア段数の増加により、加速時の応答性と高速道路での燃費効率が同時に実現されている。パドルシフトが標準装備されており、マニュアル操作での運転も可能となる。この柔軟な操作系は、オフロード走行時にエンジンブレーキを活用したい場面で特に有用である。
驚くべきことに、新型パスポートのエンジンは従来モデルに比べて部品点数を削減しながら、より高い燃焼効率を実現している。軽量化による燃費改善だけでなく、メンテナンス性の向上にも寄与する設計が施されている。このエンジンは、オハイオ州のホンダエンジニアリングチームによって開発され、アラバマオートプラントで製造されている。
全グレードに標準装備される第2世代i-VTM4（アイ・ヴィーティーエム・フォー）トルクベクタリング四輪駆動システムは、新型パスポートの走破性能を大きく左右する重要な技術である。前モデルから大幅に強化されたこのシステムは、リアドライブユニットのトルク処理能力を40%向上させ、応答性も30%改善している。
このシステムの優れた点は、路面状況に応じて前後輪の駆動力を瞬時に配分する精密な電子制御にある。砂地での低いグリップ力、泥道でのトラクション喪失、雪上での横滑り―それぞれの状況で最適な駆動力配分を自動判断し、ドライバーの意思に正確に応えるエンジニアリング成果である。
新型i-VTM4システムは、現行のパイロットモデルで初搭載された次世代型であり、SUVのオフロード性能において業界水準を引き上げるものとなっている。オンロード走行でのコーナリング安定性、オフロード走行での高度な走破性の両面で、同クラス最高のバランスを実現している。
新型ホンダ・パスポートのインテリアは、モダンで清潔感のある設計へと一新されている。2列目の足元スペースが従来モデルから約3.3cm広がり、後席での快適性が大幅に向上。メモリー機能付き電動パワーシート、シートヒーターが全ラインナップに標準装備されるなど、日常的な使い勝手が徹底的に追及されている。
カーゴルーム容量は、歴代パスポートの中で最大となる。1列目シート後方には最大約2,364Lの容量が確保され、2列目シート後方でも最大約1,245Lを実現している。この大容量スペースはフルサイズのゴルフバッグを横置きで収納でき、大型ベビーカーの積載も容易である。驚くべき実用性として、リアシートを折りたたむと前輪を外したフルサイズの大人用マウンテンバイクを2台同時に積載することが可能である。
トレイルスポーツグレードのキャビンは、快適で手入れが簡単な合成皮革の内装とスライド式パノラマサンルーフが特長。トレイルスポーツのロゴが刺繍されたオレンジ色のコントラストステッチとヘッドレストで、冒険心あるデザイン表現が施されている。オールシーズンのフロアマット、電動格納式ミラー、ヒーター付フロントガラスが標準装備され、あらゆる気候条件での使用が想定されている。
10.2インチのデジタルドライバーディスプレイと、従来比54%大型化された12.3インチのタッチスクリーンが統合されたインフォテインメント・システムは、直感的で使いやすい操作性を実現。Googleビルトイン、ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Auto、5G-LTE Wi-Fiホットスポット機能が標準装備されており、モダンなコネクティビティ性能も備えている。シフター前方と センターコンソール後部には、60W 3.0A USB-Cポートが2つ装備され、ノートパソコンを含むパーソナル電子機器の充電が可能である。
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