エンジンブレーキ フットブレーキの違いと効果的な使い分け方法

エンジンブレーキとフットブレーキの仕組みの違いから、燃費向上や安全性を高める使い分け方法まで、自動車運転者必見の情報を詳しく解説します。正しい使い方を覚えて効率的な運転を目指しませんか?

エンジンブレーキ フットブレーキの基本

エンジンブレーキとフットブレーキの基本知識
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エンジンブレーキの仕組み

アクセルを離すことでエンジン回転の抵抗力を利用した減速方法

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フットブレーキの仕組み

ブレーキパッドによる摩擦力でタイヤの回転を直接制御する方法

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減速力の違い

エンジンブレーキは緩やかな減速、フットブレーキは強力な制動力

エンジンブレーキ フットブレーキの仕組み

エンジンブレーキとフットブレーキは、全く異なる原理で車を減速させます 。エンジンブレーキは、アクセルペダルから足を離すことで燃料供給を抑制し、エンジンの回転抵抗を利用して緩やかに車を減速させる仕組みです 。この時、エンジンの圧縮抵抗と排気抵抗がブレーキ力として働きます 。
参考)https://www.sbisonpo.co.jp/car/column/column83.html

 

一方、フットブレーキは油圧式の仕組みを使用し、ブレーキペダルを踏む力が油圧配管を介してブレーキパッドに伝達され、ディスクローターやドラムに摩擦材を押し付けることで、タイヤの回転を直接的に制御します 。この摩擦による制動方式により、強力な減速力を発揮できます。
参考)知っておきたいエンジンブレーキとフットブレーキの違いとは?有…

 

驚くべき事実として、エンジンブレーキは通常の平坦な道路でアクセルを離すだけでも自然に効いており、多くのドライバーが意識せずに日常的に使用しています 。また、現代の車には燃料カット機能が搭載されており、エンジンブレーキ使用時には燃料噴射を停止することで、わずかながら燃費向上に寄与します 。
参考)エンジンブレーキをうまく使って上手な運転を目指そう

 

エンジンブレーキ フットブレーキの特徴比較

両者の特徴を整理すると、いくつかの重要な違いがあります 。減速の仕方において、エンジンブレーキは緩やかで持続的な減速を提供するのに対し、フットブレーキはペダルを踏む力に比例して即座に強い制動力を発揮します 。
参考)エンジンブレーキはうざい?かけ方、フットブレーキとの使い分け…

 

ブレーキランプの点灯状況も大きな違いです。フットブレーキを使用するとブレーキランプが点灯し後続車に減速を知らせますが、エンジンブレーキでは点灯しないため、後続車が減速に気づきにくいという特徴があります 。これは安全運転において重要な注意点となります。
参考)https://www.zurich.co.jp/carlife/cc-enginebrake-and-footbrake/

 

驚くことに、AT車はMT車よりもエンジンブレーキが効きにくい構造的特徴があります 。これはトルクコンバーターの存在により、エンジンとタイヤの直接的な接続が緩いためです。そのため、AT車でエンジンブレーキを強く効かせたい場合は、シフトダウン操作が必要になります 。
参考)下り坂でエンジンブレーキを使いすぎると危険?正しい使い方を解…

 

項目 エンジンブレーキ フットブレーキ
制動方式 エンジン抵抗力による緩やかな減速 摩擦力による強力な制動
ブレーキランプ 点灯しない 点灯する
使用場面 長い下り坂、高速域での減速 急停車、最終的な停止
部品への負担 エンジンへの軽微な負担 ブレーキパッドの摩耗

エンジンブレーキの正しい操作方法

エンジンブレーキの基本操作は、車種によって若干異なります 。AT車では、Dレンジのままアクセルから足を離すことで軽いエンジンブレーキが効きます。より強い制動力が必要な場合は、S(スポーツ)レンジ、2レンジ、L(ロー)レンジにシフトダウンします 。
参考)エンジンブレーキとは?|正しい使い方と安全な運転術

 

MT車の場合は、クラッチを切って低いギアにシフトダウンした後、クラッチを接続することでエンジンブレーキを効かせます 。ただし、車速に対して過度に低いギアにシフトダウンするとエンジンに大きな負担をかけるため、段階的にシフトダウンすることが重要です 。
参考)エンジンブレーキの正しい使い方とは?メリットや適したシーンを…

 

パドルシフト搭載車では、CVTなどの無段変速機でも擬似的なシフト操作によってエンジンブレーキを活用できます 。この機能により、従来のAT車では難しかった細かなエンジンブレーキ調整が可能になっています。

フットブレーキの危険な現象と対策

長時間のフットブレーキ使用は、2つの危険な現象を引き起こす可能性があります 。フェード現象は、ブレーキパッドの過熱により摩擦材が熱分解してガスが発生し、ブレーキローターとの間に入り込むことで摩擦力が低下する現象です 。
参考)止まらない!フェード現象やベーパーロック現象が起きた時の対処…

 

ベーパーロック現象は、ブレーキフルードが沸騰して気泡が発生し、ブレーキペダルの踏力が気泡を潰すことに消費されてしまい、制動力が伝わらなくなる現象です 。どちらも長い下り坂でのフットブレーキの多用が原因となります。
参考)https://www.zurich.co.jp/carlife/cc-vaporlock-fade/

 

実際の事例として、2022年10月に静岡県で観光バスがフェード現象により横転し、死亡者を含む重大事故が発生しています 。この事故は、下り坂でのフットブレーキの過度な使用が原因とされ、エンジンブレーキの適切な併用の重要性が再認識されました。これらの現象を防ぐには、エンジンブレーキとの適切な使い分けが不可欠です 。

エンジンブレーキの意外な効果とメリット

エンジンブレーキには一般的に知られていない意外な効果があります 。燃費向上効果については、アクセルを離した際の燃料カット機能により、走行中でも燃料消費をゼロにできる時間が生まれます 。この効果は微々たるものですが、長距離運転では積み重なって一定の節約効果を生みます。
参考)オートマ車でも簡単!エンジンブレーキを活用して安全かつ快適な…

 

ブレーキパッドの寿命延長効果も見逃せません 。ブレーキパッドの一般的な寿命は4~5年で、走行距離5万km程度が交換の目安とされています 。エンジンブレーキを適切に使用することで、フットブレーキの使用頻度を減らし、ブレーキパッドの摩耗を抑制できます 。
参考)エンジンブレーキとは?フットブレーキとの違いや使うタイミング…

 

電気自動車やハイブリッド車では、エンジンブレーキ(回生ブレーキ)による充電効果が期待できます 。アクセルを離すことでバッテリー充電が行われ、電気走行可能距離が延びるという特有のメリットがあります。このように、現代の車におけるエンジンブレーキは、単純な減速手段を超えた多面的な効果を持つ重要な技術となっています。