トヨタ新型ミニバン マジェスティは、タイ市場における高級ミニバンニーズに対応するモデルとして2024年に実車が公開されました。同国ではアルファードやヴェルファイアが最高級ミニバンとして導入されていますが、価格が374万7000バーツ（約1311万円）～と高額設定です。マジェスティはこれらより手が届きやすい価格帯（約590万～760万円）で、高級感と実用性を両立させる位置づけとなっています。
ベース車となるハイエース300系は、2019年にフィリピンで世界初公開された海外向け新型ハイエースです。日本国内で販売されている200系ハイエースと異なり、セミボンネット化により前席乗員とエンジンが分離されているため、静粛性に優れています。グランビアと同じプラットフォームを採用しており、日本で「グランエース」として販売されているモデルと基本構造を共有しています。
トヨタ新型ミニバン マジェスティのボディサイズは、全長5,265mm、全幅1,950mm、全高1,990mmの堂々たる寸法です。特に全長が5mを超える大型バンでありながら、クラス最小の回転半径5.5mを実現しており、狭い路地や駐車場での取り回しが容易です。ホイールベースは3,210mmで、広大な室内空間を実現する設計となっています。
外観は大型バンパーに大型グリル、水平ラインデザインとクロームメッキを採用し、モダンで洗練されたフロントフェイスが特徴です。LEDバイビームヘッドライトにより、夜間の視認性も高く設計されています。サイドのクロームメッキはフロントの水平ラインデザインと統一感を持たせており、高級感を際立たせています。ボディカラーはホワイトパールとブラックマイカの2色展開です。
トヨタ新型ミニバン マジェスティの内装は、プレミアムバンの名に相応しい豪華仕様です。2列目にはキャプテンシート を備え、電動マッサージ機能付きでリラックス性を高めています。台湾で発売されたグランビアとの最大の違いは、2列目キャプテンシート採用と3列目の4人座席構成にあります。これにより計7人乗りのレイアウトが実現し、法人送迎用途でも利便性が優れています。
利便性機能も充実しており、スライドドアによる乗降性の向上、合計7つのUSBポートによる複数デバイス同時充電、自動サンシェード装備などが標準装備されています。プッシュスタート、スマートエントリーシステムなど、最新の利便性機能も網羅されています。
トヨタ新型ミニバン マジェスティには、安全性能の最新実装が施されています。9個のSRSエアバッグに加え、車両安定制御システム（VSC）が装備されており、様々な走行状況での安全性を確保しています。トヨタセーフティセンスは、衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ（PCS）、レーンディパーチャーアラート（LDA）にステアリング制御機能を組み合わせたシステムです。
さらに高度な安全支援機能として、オートマチックハイビーム（AHB）、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール、ブラインドスポットモニター（BSM）、リヤクロストラフィックアラート（RCTA）、パノラミックビューモニター（PVM）などが装備されています。これらの統合的な安全システムにより、高級ミニバンとしてのセーフティスタンダードを実現しています。
トヨタ新型ミニバン マジェスティのパワートレーンは、2.8リッター直4クリーンディーゼルエンジン（1GD型）を採用しています。最高出力は120kW（163PS）を3,600rpmで発生し、最大トルク430Nm（実測値）を1,600-2,200rpmの広範な回転域で発揮します。トランスミッションは6速AT（マニュアルモード付き）で、縦置きエンジン・後輪駆動による安定した走行性能を実現しています。
サスペンションは前がストラット式で、後ろには新設計4リンク式コイルスプリングサスペンションを採用しており、大型バディでありながら乗り心地を優先した設計です。ボディ骨格にはリングフレーム構造を採用し、剛性と耐久性を高めています。ディーゼルエンジンによる低回転域での高トルク特性は、大型ボディの加速性能と燃料効率の両立を実現しており、タイのような熱帯気候での長距離走行に適した信頼性の高いパワートレーンとなっています。
トヨタ新型ミニバン マジェスティは3つのグレードで展開されています。エントリーグレード「STANDARD」は1,709,000バーツ（約590万円）、中堅グレード「PREMIUM」は1,899,000バーツ（約656万円）、最上位グレード「GRANDE」は2,199,000バーツ（約760万円）という価格帯です。全グレード共通で2.8リッター1GD型ディーゼルエンジンと6速ATの組み合わせです。
この価格戦略は、アルファードの約1311万円と比較して圧倒的にアクセシブルであり、高級ミニバンの需要層を吸収する狙いが明確です。月販目標台数は300台と設定され、タイのプレミアムバン市場での安定した需要を見込んでいます。グレード間の装備差は主に内装の質感向上や追加利便機能によるもので、全グレードで基本的な高級ミニバンとしての要件を満たしています。
参考情報：タイ市場のプレミアムバン需要について詳しく解説しているトヨタ・モーター・タイランドの公式発表資料
トヨタ・モーター・タイランド マジェスティ公式情報
