クロストレックのボディサイズは、全長4,480mm・全幅1,800mm・全高1,575mmとなっており、コンパクトSUVの標準的なサイズ帯に位置します。特に注目すべきは、前型スバルXVからほぼ同等のサイズ感が維持されている点です。最終型XV（4,485mm×1,800mm×1,555mm）との比較でも、全長で-5mm、全高で+20mmというわずかな変更に留まっており、既存ユーザーも新型への違和感が少ないよう配慮された設計となっています。
室内長1,930mmは、同じコンパクトSUV系のヤリスクロス（1,845mm）よりも約85mm長く、5人乗車時の後席足元スペースに余裕があります。一方で室内高は1,200mmと控えめですが、新開発シートの頭部揺れ抑制構造により、長時間運転でも疲労感が少ない工夫が施されています。
コンパクトSUVで最も比較されるのは、トヨタのヤリスクロスです。クロストレックのボディサイズはヤリスクロス（全長4,180～4,200mm×全幅1,765mm×全高1,580～1,590mm）と比較して、全長で約300mm長い特徴があります。この差は室内乗車スペースの余裕に直結し、とくに後席の快適性を高める要因となっています。
一方、全幅ではクロストレックが+35mm大きく、全高はほぼ同等（クロストレックはオプション非搭載時に1,550mmまで低下）です。重要なのは、両車とも立体駐車場に対応しやすい2.7m前後のホイールベース設計であり、都市部での取り回しやすさを損なわない配慮がなされている点です。
| 項目 | クロストレック | ヤリスクロス | 差分 |
|---|---|---|---|
| 全長 | 4,480mm | 4,180～4,200mm | +280～300mm |
| 全幅 | 1,800mm | 1,765mm | +35mm |
| 全高 | 1,575mm | 1,580～1,590mm | ほぼ同等 |
| 室内長 | 1,930mm | 1,845mm | +85mm |
| 荷室容量 | 315L | 390L | -75L |
ヤリスクロスは荷室容量でクロストレックを約75L上回り、ファミリーユースや積載性重視のユーザーに適しています。しかし、クロストレックの6:4分割リアシートフレキシビリティは、大型荷物への対応力で高く評価されており、実用面ではほぼ同等の実用性を実現しています。
トヨタのカローラクロスは、クロストレックよりもひと回り大きなプレミアムコンパクトSUVで、全長4,490mm・全幅1,825mm・全高1,620mmの寸法を持ちます。クロストレックと比較すると、全長で+10mm、全幅で+25mm、全高で+45mm大きく、よりワイドで背の高いシルエットが特徴です。
この全高1,620mmという数値は、立体駐車場の天井高が2.1m以下の機械式駐車場では対応困難なケースが増える高さです。一方、クロストレックの1,575mmなら、天井高2.2m程度の一般的な立体駐車場ではほぼ問題なく収納可能です。都市部での利便性を重視するユーザーにとって、このサイズ差は実務的な選択要因となり得ます。
カローラクロスの室内高は1,260mmと最も高く、圧迫感の少ない室内空間を実現しています。クロストレック（1,200mm）よりも60mm高いため、天井との距離を重視するユーザーはカローラクロスが適切な選択肢となるでしょう。
ホンダのヴェゼルは、クロストレックよりもコンパクトなボディサイズ（全長4,330mm×全幅1,790mm×全高1,580～1,590mm）を持つ一方で、室内長は2,010mmとクロストレックを上回る広さを実現しています。このサイズ効率の良さは、ホンダの「センタータンクレイアウト」による工夫の結果です。
クロストレックのホイールベース2,670mmに対し、ヴェゼルはより短いホイールベースを採用することで、小回り性能に優れています。最小回転半径はクロストレック5.4mに対し、ヴェゼルは同等もしくはやや小さい設定が多く、狭い路地や駐車場での取り回しやすさではヴェゼルが優位です。
一方、クロストレックのホイールベース2,670mmという数値は、走行時の操舵安定性と乗り心地のバランスに最適化された設計であり、高速道路での直進安定性や悪路走行時の安定感に優れています。小回り性と操舵安定性はトレードオフの関係にあり、用途に応じた選択が重要です。
クロストレックの荷室容量は315Lと、ヤリスクロスの390Lやカローラクロスの450L前後には及びませんが、実用的な積載性は高く評価されています。その理由は、6:4分割可倒式のリアシートと、開口部の広い荷室設計にあります。
フロントスポイラーを外せばマウンテンバイク2台、82Lスーツケース3個、ゴルフバッグ3個といった組み合わせた積載が可能です。リアドアの開口部下にあるサイドシル部分は踏み台として機能し、ルーフ上の荷物積み下ろしが容易な設計になっています。カーゴフック機能も搭載されており、荷崩れ防止にも配慮されています。
意外に知られていないのは、クロストレックに設定されるルーフレール（オプション）を活用した場合、さらに積載容量を拡張できる点です。ルーフキャリアを装着することで、アウトドアギアやキャンプ用品の大型荷物も対応可能になります。写真や映像に映った実際の活用例では、屋根上に積み上げた複数のボックスやテント類を見ることができ、その拡張性の高さが実証されています。
スバルXVからクロストレックへの名称変更（2022年フルモデルチェンジ）は、グローバル統一による変更ですが、ボディサイズはほぼ維持されました。しかし、内部の技術進化は大きく、「フルインナーフレーム構造」や「電動ブレーキブースター」の新採用により、走行性能と安全性は次元が異なります。
特筆すべき進化は、新型のe-BOXERハイブリッドシステムの採用です。2.0L水平対向4気筒エンジンとモーターの組み合わせにより、クロストレック本体のサイズは変わらないまま、より高いパワフル性能を獲得しました。燃費性能ではFFで16.4km/L、AWDで15.8km/Lを達成し、先代比で約10%の燃費向上が実現されています。
最小回転半径は先代同様5.4mですが、新世代ステレオカメラとスバル初の広角単眼カメラを搭載した「新世代アイサイト」により、同じサイズながら認識力と安全性能は大幅に向上しています。このように、クロストレックのサイズは取り回しやすさを優先しながら、技術開発により内部性能を着実に進化させる設計哲学が表現されているのです。
https://www.subaru.jp/crosstrek/grade-comparison/
https://www.car-byebuy.com/column/article/12816/
https://www.goo-net.com/magazine/contents/check-point/223411/
