展示車をそのまま公道に乗って帰ると、最大30万円の罰金になることがあります。
2026年のカスタムカーシーンを語るうえで外せないのが、毎年1月に幕張メッセで開催される「東京オートサロン(TAS)2026」です。1983年に「東京エキサイティングカーショー」としてスタートし、2026年で44回目を迎えたこのイベントは、アメリカの「SEMA」、ドイツの「エッセンモーターショー」と並ぶ"世界3大カスタムカーショー"のひとつに数えられています。つまり世界が注目する日本発の自動車文化の祭典です。
2026年の来場者数は3日間合計で27万2,383人。前年比で5.4%増となり、コロナ禍以降では最多を記録しました。各日の内訳は、初日(1月9日・金曜)が7万3,027人、2日目(1月10日・土曜)が10万5,034人、3日目(1月11日・日曜)が9万4,322人です。土曜日が最も混雑するということですね。
出展規模も圧巻です。出展社数389社・出展車両台数856台が幕張メッセの全エリア(国際展示場+イベントホール+屋外展示場)を埋め尽くしました。856台といえば、甲子園球場のグラウンド面積(約13,000㎡)をほぼ車で埋めるイメージです。広大なスペースに個性豊かなカスタムカーが所狭しと並ぶ光景は、まさに圧倒的。
チケット料金は一般入場券が平日(1月9日)4,000円、土日(1月10・11日)3,000円(税込)でした。早朝から並ぶファンも多く、特に土曜の朝は入場まで30分以上かかることも珍しくありません。事前にオンラインでチケットを購入しておくのが基本です。
2026年は国内外の自動車メーカーも積極的に出展しました。トヨタ・日産・ホンダ・マツダ・ダイハツ・スズキ・スバルといった国内大手に加え、BYDなどの海外EVメーカーも存在感を示しています。メーカー出展が増えたことで、ショップ主体だった従来のイメージから「メーカーとチューナーが共演する祭典」へと進化しています。これは使えそうです。
入場後の再入場は当日限り可能です。一度外出して昼食をとり、戻ってくるプランも取れます。なお、チケットの代わりに名刺での入場はできないため、必ず入場券を事前に用意しておきましょう。
東京オートサロン公式サイト:イベント概要・歴史について(東京オートサロン)
2026年の東京オートサロンで最もざわついたトレンドのひとつが「カーボン全盛」です。意外ですね。カーボンファイバーといえば、もともとはF1カーなどのレーシングマシンに使われる素材で、超軽量・高剛性が特長です。それが今や、ファッションパーツとして富裕層カーに大量装着されるようになりました。
極めつきの一台が、BOND GROUP&LAGER CORPORATIONが手がけたロールスロイス カリナンIIで、カーボンパーツの装着総額は約3,000万円。カーボンだけでポルシェが1台買える計算です。バンパーからフェンダー、サイドシル、ホイール、ブレーキキャリパーまで、見える部分をほぼカーボンで覆うスタイルが来場者の度肝を抜きました。本物のカーボンが"見せるパーツ"として市民権を得たということですね。
もうひとつの注目トレンドが「EVカスタム」の台頭です。BYD、VWの「ID. GTI Concept(日本初公開)」など、海外EVメーカーも積極的に参加。ホンダは新型インサイト(バッテリーEV)を展示し、電動化とカスタム文化の融合というテーマが色濃く打ち出されました。これまで「内燃機関(エンジン)をいじる文化」だったカスタムシーンに、EVが加わることで楽しみ方が変わりつつあります。
さらに、2026年の出展トレンドを整理すると以下のような傾向が読み取れます。
2026年の大阪オートメッセ(インテックス大阪、2月13〜15日)でも600台超のカスタムカーが集結し、インドネシア最大のカスタムカーショー「IMX」も初参加。アジア全体でのカスタム文化の盛り上がりが感じられました。
カスタムカーショーを訪れると、信じられないほど格好いい車が並んでいます。しかし、ここで絶対に知っておきたい重要事項があります。展示車の中には「公道走行不可」のショーカーが相当数存在するという事実です。これが知らないと損する、というより知らないと刑事罰になり得る情報です。
2026年の東京オートサロンでも、自動車技術総合機構(NALTEC)が現地で保安基準不適合車両に対して直接指導・啓発活動を実施しました。NALTECは展示会場内を巡回し、公道走行を前提としているにもかかわらず保安基準に適合しない改造が施されている車両を確認した場合、出展者に対して直接指導を行うと明言しています。
保安基準に違反した不正改造車を公道で走らせると、道路運送車両法違反として6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。さらに車検切れ・自賠責保険切れの状態で走行した場合は違反点数12点が加算され、免許停止90日(前歴0の場合)となる可能性もあります。罰則は重いですね。
問題はそれだけにとどまりません。過去のカスタムカーショーのデータを見ると、展示車1,553台中23件に保安基準不適合箇所(窓ガラスへの貼付物、タイヤのはみ出しなど)が確認された記録があります。割合にすると約1.5%ですが、中には前回の指摘を受けながら改善しなかった出展者もいました。つまり「有名ショーだから全部合法」は通用しないということですね。
「公道走行不可」の展示車には、見やすい場所に「公道走行不可」の表示が義務付けられています。会場で気に入った車を見つけたときは、まずその表示を確認することが大切です。展示だけで走らせることを前提としていない「ショーカー」である場合は、カスタム内容を参考にするにとどめ、自分の車に似た改造をする際は必ず専門整備士に保安基準への適合確認を依頼してください。
不安な場合は、オートサロンの公式出展規定を事前に読んでおくことで、どの車両がどういう前提で展示されているか理解が深まります。会場での「これ公道走れるの?」という疑問への答えとして活用できます。
「公道は走れませんよ!」改造車に直接指導実施へ(くるまのニュース・2026年1月)
会場に入ってから「しまった!」とならないために、事前に知っておきたい攻略情報を整理します。これは現地を最大限楽しみたい人に直接役立つ知識です。
まず移動手段ですが、東京オートサロン(幕張メッセ)へのアクセスは、JR海浜幕張駅から徒歩約5分です。土日は最寄り駅も混雑するため、電車での来場が現実的です。車で来場した場合、会場周辺の有料駐車場は1日1,500〜2,500円程度かかります。注意が必要なのは、カスタムカーで来場するファンも多く、駐車場が"もうひとつの展示スペース"と化している点です。愛車を披露したい気持ちは理解できますが、駐車場での違法改造車の乗り入れにも目が光っていることは覚えておきましょう。
次に、時間配分の鉄則を知っておくと便利です。幕張メッセの全エリアをじっくり見て回るには、最低でも4〜5時間は必要です。お昼の11〜13時ごろが最も混雑するピーク帯です。開場直後(9〜10時台)か、15時以降の夕方に入場すると比較的スムーズに見学できます。また、屋外ではラリーカーのデモランやレーシングマシンの走行披露が行われ、これが非常に人気です。デモランの時間はSNSや公式サイトで事前確認しておくのが原則です。
来場前に準備しておきたい3つのことをまとめます。
グッズ販売コーナーや、ライブステージ(人気アーティストが出演)、日本レースクイーン大賞の授賞式なども見どころのひとつです。家族連れや初来場者にとっても楽しめるコンテンツが豊富で、「車好きだけのマニアックなイベント」という先入観は捨てていいでしょう。つまり初心者も十分に楽しめます。
大阪オートメッセ2026を訪れる場合はインテックス大阪が会場で、アクセスはニュートラム「トレードセンター前」駅から徒歩約5分です。毎年20万人以上が来場する関西最大のカスタムカーイベントで、東京オートサロンとはまた違う雰囲気の「ほんまもん」なカスタム文化が体験できます。
カスタムカーショーで受けたインスピレーションをもとに、自分の愛車もカスタムしてみたいと思う人は少なくありません。ただし、ショーで見た改造をそのままやろうとすると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。ここが独自視点の話になります。
まず大前提として、車の改造自体は違法ではありません。道路運送車両法で定める「保安基準」に適合していれば、合法的に改造を楽しめます。ただし改造の程度が大きい場合には「構造等変更検査」が必要で、申請なしに改造すると不正改造車扱いになります。
知らずにやりがちな「うっかり違反改造」の代表例は以下のとおりです。
カスタムパーツを購入する際は、パッケージや説明書に「保安基準適合品」「公認品」と記載されているかを確認することが判断の第一歩です。不明な場合は、地域の認証整備工場または「NALTEC(自動車技術総合機構)」の公式サイトで保安基準の最新内容を確認する方法があります。
また、改造後に車検を通す際は、改造の内容によって「記載変更」や「構造等変更検査」の手続きが追加で必要になる場合があります。車検を依頼する整備工場に事前相談するだけで、多くのトラブルは未然に防げます。事前相談が条件です。
カスタムカーショーで感じた「こういう車に乗りたい」という熱量を、安全・合法の範囲でかたちにすることが、長く楽しめるカーライフの秘訣です。会場で仕入れたトレンドを"参考"にしながら、自分の予算・用途・車検対応を考慮したカスタムプランを専門家と一緒に練ると、失敗が大幅に減ります。
車の改造は法律違反ではない!初心者向けカスタマイズと注意点を解説(NEXTAGE)