ホンダが2020年2月に発売した現行4代目フィットは、すでに4年以上の販売期間を経ており、2026年での5代目フルモデルチェンジが有力視されています。ホンダのフィットは2001年6月の初代発売以来、コンパクトカー市場で圧倒的な地位を確立してきた主力モデルです。初代と2代目は6年4ヶ月でフルモデルチェンジを実施し、2代目から3代目のフルモデルチェンジは5年11ヶ月、3代目から4代目は6年5ヶ月という平均6年周期でのフルモデルチェンジが通例となっています。
このサイクルに従えば、2020年2月発売の現行4代目フィットは、2026年がフルモデルチェンジの最適な時期といえるでしょう。その間、現行モデルは2022年10月に大規模なマイナーチェンジを実施し、デザイン変更やパワートレインの改良を含む商品力向上を図ってきました。さらに2023年12月には特別仕様車「BLACK STYLE」が登場し、2024年9月には全グレード共通装備の充実や各グレード専用装備の追加など、段階的な改良が続けられています。
このような継続的な改善を通じて、ホンダは新型フィット5へのバトンタッチに向けた準備を着実に進めている状況です。
新型フィット5のエクステリアデザインは、現行モデルの「心地よさ」「親しみやすさ」といったコンセプトを継承しながらも、よりアグレッシブで質感の高い方向へ進化することが予想されています。最新の自動車デザイントレンドとして、単なる機能性だけでなく見た目の力強さや洗練性が重視される傾向にあり、新型フィット5もこの流れを汲むとみられます。
フロントマスクのデザインは、現行モデルの柔和な表情から一転し、ワイド感を強調したバンパーデザインやシャープでスリムな形状のLEDヘッドライトが採用される見込みです。これにより、フロントビューは低重心で安定感のある、より精悍でスポーティーな印象へと変貌することが考えられます。サイドビューやリアビューも、ボディパネルの抑揚やキャラクターラインの処理によって躍動感や上質感が表現されることが期待されます。
ボディサイズは5ナンバーサイズを維持しながら、全長・ホイールベースが若干拡大される予想です。これにより、軽自動車との差別化を図るとともに、室内空間の拡大と走行安定性の向上を両立させることになるでしょう。ホンダの巧みなパッケージング技術が活かされ、制約条件の中での最大限のスペース効率が追求されます。
スポーティーなRS（スポーツ）やアクティブなライフスタイル向けのCROSSTAR（クロスオーバー）といった人気グレードは、新型フィット5でも継続設定される可能性が高いとされています。これらのモデルには、それぞれ専用のエアロパーツや足回り、内外装の加飾が施されることで、標準モデルとは異なる個性を演出し、多様化するユーザーの嗜好に応えることになるでしょう。
新型フィット5のインテリアは、エクステリアデザインの進化と歩調を合わせ、よりモダンで機能的な空間へと生まれ変わることが期待されます。ホンダはフィットにおいて前方視界の良さや開放感のある室内空間を重視してきましたが、新型ではこれらの美点を維持しつつ、先進装備の導入によって快適性と利便性を飛躍的に向上させることを目指しています。
その中心となるのが、大幅に進化するインフォテインメントシステムです。ダッシュボード中央には、現行モデルよりも大型化された11.4インチクラスのディスプレイが搭載される可能性が高いとみられています。この大型ディスプレイは、ナビゲーション画面の見やすさはもちろん、各種情報の表示や操作性を格段に向上させるでしょう。
さらに注目すべきは最新のAIアシスタント機能の搭載です。「OK、ホンダ」といった呼びかけに応じ、エアコンの温度調整やオーディオの選曲、ナビゲーションの目的地設定などを音声で操作できるようになることで、ドライバーは運転に集中したまま、安全かつ直感的に様々な機能を利用できるようになります。装備面では、メーターパネルのフルデジタル化や電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能の採用も予想されます。
内装材の質感向上も見逃せないポイントです。シート表皮やドアトリム、ダッシュボードなどに、より手触りの良いソフトパッドや上質な加飾パネルが用いられることで、クラスを超えたプレミアムな空間が演出される可能性があります。
安全性能は、現代のクルマ選びにおいて最も重要な要素の一つです。ホンダの先進安全運転支援システム「ホンダセンシング」の最新バージョンが、新型フィット5では全グレードに標準装備される見込みです。
搭載が予想される最新のホンダセンシングには、衝突被害軽減ブレーキ（CMBS）や誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、標識認識機能といった基本的な安全機能が、センサーやカメラの性能向上により、検知精度や作動範囲がさらに進化することが期待されます。
渋滞時の運転負荷を軽減する「トラフィックジャムアシスト（渋滞運転支援機能）」の搭載も予想されており、この機能は渋滞時に先行車に追従して走行し、停車、発進を自動で行うため、ドライバーの疲労を大幅に軽減します。死角になりやすい車両後方の安全確認をサポートする「ブラインドスポットインフォメーション」と「後退出庫サポート」の機能強化も見込まれています。
さらに、夜間の視界確保に貢献する「アダプティブドライビングビーム」の採用も期待されます。この機能は、ハイビームを維持したまま先行車や対向車の部分だけを遮光する機能で、より広い範囲を明るく照らしながら、他車への眩惑を防ぎます。その他にも、アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる急加速を抑制する「急アクセル抑制機能」や、駐車時などに車両周囲の障害物を検知する「パーキングセンサーシステム」なども搭載され、日常の運転シーンにおける「ヒヤリ」を減らすことに貢献します。
新型フィット5の心臓部となるパワートレインは、走行性能と環境性能の両面で大きな進化を遂げることが予想されます。現行モデルは2022年のマイナーチェンジで、ガソリン車のエンジンを従来の1.3Lから1.5Lへと変更し、動力性能を向上させましたが、新型フィット5ではさらに改良された最新世代のエンジンが搭載される見込みです。
ガソリンモデルには、現行の1.5L直列4気筒エンジンをベースに、さらなる効率化と出力向上が図られたユニットが採用されると考えられます。予想されるスペックとしては、最高出力が現行の118psから125ps程度へ、最大トルクは14.5kgmを維持しつつ、より扱いやすい特性にチューニングされる可能性があります。これにより、日常的な市街地走行でのスムーズさや、高速道路での追い越し加速など、様々なシーンで余裕のある走りを実現するでしょう。
一方、ハイブリッドモデルには、進化した2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」が搭載されます。エンジン出力が現行の106psから110psへ、モーター出力は現行の123psから135psへと、それぞれパワーアップする可能性があります。このe:HEVシステムの進化は、単にパワフルになるだけでなく、燃費性能や静粛性の向上にも貢献します。
駆動方式は、現行モデル同様にFF（前輪駆動）を基本とし、雪道など滑りやすい路面での安定性を高める4WDも設定される見込みです。
新型フィット5の開発において、ホンダが重要視しているポイントの一つが、走行性能の向上と優れた燃費性能の両立です。現行モデルのガソリン車は、2022年のマイナーチェンジでエンジン排気量が1.3Lから1.5Lに拡大された際、WLTCモード燃費がFF車で20.4km/Lから18.7km/Lへと若干低下しました。これは動力性能向上とのトレードオフでしたが、新型フィット5では、エンジンの効率改善や車体の軽量化などにより、走行性能を高めつつも燃費性能を改善することを目指していると考えられます。
目標とされるWLTCモード燃費は、1.5Lガソリン車のFFモデルで19.0km/L程度と予想されており、現行モデルからのわずかな改善が見込まれます。一方、ハイブリッドモデル（e:HEV）においては、燃費性能の向上がより顕著になる可能性があります。進化したe:HEVシステムは、モーターの出力向上による力強い走りを実現しながらも、エネルギー回生効率の向上や、モーターのみで走行できる領域（EV走行領域）の拡大によって、さらなる低燃費化が図られる見込みです。
現行e:HEVモデルのFF車のWLTCモード燃費は30.2km/Lですが、新型フィット5ではこれを上回り、32.5km/L程度まで向上することが期待されています。これは、コンパクトカークラスにおいてもトップレベルの燃費性能であり、環境意識の高いユーザーにとって大きな魅力となるでしょう。
フルモデルチェンジによって大幅な進化を遂げる新型フィット5ですが、多くのユーザーにとって気になるのが車両価格です。最新のパワートレインや進化したインフォテインメントシステム、充実した安全装備「ホンダセンシング」の標準装備化などを考慮すると、現行モデルからの価格上昇は避けられないと予想されます。
しかし、フィットはホンダにとって販売の柱となる重要な量販コンパクトカーです。そのため、大幅な価格アップによって競争力を失うことは避けたいはずです。エントリーグレードの価格設定は、ライバル車種との比較や、初めてクルマを購入する層へのアピールも考慮し、戦略的に抑えられる可能性があります。
最もベーシックなガソリンモデルで180万円程度からのスタートとなるのではないかと見られています。現行モデルの価格帯（2025年4月時点）を参考にすると、ガソリン車の「BASIC」が約172万円から、ハイブリッド車の「e:HEV BASIC」が約214万円からとなっています。最上位グレードの「e:HEV LUXE」4WDモデルでは約285万円です。新型フィット5では、全体的に価格帯が上昇し、装備の充実した上位グレードや人気のRS、CROSSTARといったモデルでは、300万円に迫る、あるいはそれを超える価格設定になる可能性も考えられます。
幅広いニーズに応える価格ラインナップが用意されることで、多くのユーザーに選択肢を提供することになるでしょう。
近年、軽自動車、特にN-BOXなどの軽トールワゴンの人気が高まっています。その一方で、ホンダのコンパクトカー「フィット」は、軽自動車とのポジショニングをより明確にする必要があります。新型フィット5がボディサイズを拡大することは、フリード（2024年フルモデルチェンジで全長4310mmへと大型化）との棲み分けをより明確にすると同時に、軽自動車との差別化を図る上でも重要な意味を持ちます。
軽自動車の手軽さも魅力ですが、新型フィット5は普通車コンパクトカーならではの「広さ」「走行安定性」「質感」といった付加価値を強調することで、独自のポジションを確立し、幅広いユーザー層にその魅力をアピールしていく戦略が見て取れます。
5ナンバーサイズという制約の中で最大限のスペース効率と走行性能を追求する、ホンダの巧みなパッケージング技術が新型フィット5にも活かされることで、軽自動車では得られない走行安定性と室内の質感が実現されるでしょう。これにより、人生のさまざまなステージにおいて、ユーザーのライフスタイルに寄り添うコンパクトカーとしての地位を確保することができるのです。
ホンダ新型フィット5に関する詳細情報や開発状況、予想スペック、グレード構成についての参考情報が掲載されています。
ホンダフィットの歴代モデルチェンジとマイナーチェンジの歴史、現行4代目モデルの詳細スペックと装備内容が記載されています。
リサーチが完了しました。記事を作成します。
