雪道や泥道などで複数の車が通った後にできた道を「わだち」といいます。特に冬の雪道では、車のタイヤが圧雪してできた車輪の跡がわだちとなり、道路上に長く続くのが特徴です。一見すると単なるタイヤの跡のように見えますが、気温や交通量によって状態が大きく変わり、ドライバーに大きな影響を与える存在です。
北陸地方整備局の情報によると、基本的にはわだちに沿って走った方が車は安定するとされています。これはわだちにより横方向の滑りを抑えられるからです。しかし、この単純な安定性の裏には、想像以上に複雑な危険性が隠れているのです。わだちができた理由を理解することが、雪道運転の第一歩となります。
わだちは朝と昼、昼と夜の気温変化によって刻一刻と変化します。昼間はシャーベット状で走りやすいわだちも、夜間の急速な温度低下によって凍りつき、危険なアイスバーン状態に変わってしまうことがあります。JAFの事故事例では、対向車とのすれ違い時にわだちの両側にできた凍りついた雪の塊に乗り上げて、スタッドレスタイヤでも前輪が滑り出した事案が報告されています。
わだちは気温や交通量によって状態が変化するため、雪道運転で注意するべき種類を理解することが重要です。雪道運転で注意するべきわだちの種類は大きく3つに分類されます。
圧雪されたわだちは、タイヤが踏み固めた雪が凍結せずに残っている状態です。比較的走りやすいですが、積雪が増えるとハンドルが取られやすいのが特徴で、新しく積もった雪によってわだちの境界が不明瞭になると、車の進行方向が不安定になる可能性があります。
氷化したわだちは、何度も車が通ることで圧縮され、雪が氷状になった状態を指します。非常に滑りやすくブレーキが効きにくい状態であり、スリップ事故の危険性が最も高いわだちの種類です。わだちの雪が磨かれてアイスバーン状態になると、制動距離が大幅に長くなり、ハンドル操作も効きにくくなります。
深く削れたわだちは、大型車両などが通った影響で、深く掘られた状態を指します。わだちから抜け出しにくく、タイヤが溝に深くはまると、急にハンドルをとられることになります。車高が低い車は底を擦る可能性もあり、雪道運転におけるわだちの中でも特に注意が必要です。
雪道運転でわだちの上を走ることは危険が多いと思われがちですが、実は状況によっては走行を助ける側面もあります。わだちのメリットを理解することで、より安全な運転が可能になります。
わだちの最大のメリットは、圧雪された道を走れて安定しやすいということです。わだちの中は何台もの車が通ったことで圧雪され、ある程度踏み固められています。これにより、新しい雪道の部分よりもタイヤが密着しやすく、安定して走行できる傾向があります。
次に、走行ラインが明確になることでスムーズな走行が実現します。すでにできたタイヤの跡に沿って走ることで、無駄な抵抗が減り、余計なハンドル操作を減らせます。これにより、ドライバーの疲労軽減にもつながります。
最後に、新雪に比べタイヤが埋まりにくいという利点があります。新雪の深い道を走るとタイヤが雪に埋まりスタックしやすいですが、わだちを走れば抵抗がなくスムーズに進めることが多いのです。北陸地方整備局の情報では、わだちに沿って走る際は、ハンドルをあまりしっかりにぎらず少し遊びを持たせてにぎると、車が自然にわだちの中を走ってくれるとアドバイスしています。
雪道運転でわだちから脱出する際には、慎重で正確な操作が求められます。わだちから脱出する時は、ゆっくりとハンドルを切りながら、徐々にわだちを抜けることが安全な脱出につながります。
わだちから抜ける際に無理にハンドルを切ると、スリップやスピンの原因になる危険があります。深いわだちは車高が低い車にとってリスクが大きいため、避けるのが無難です。無理に抜け出そうとしてアクセルを強く踏み込むと、タイヤが空転してスタック状態に陥りやすくなるため注意が必要です。
凍結しているわだちの場合は特に注意が必要です。わだちがツルツルに凍結している場合、ブレーキやハンドル操作が効きにくくなります。凍結しているわだちを見つけたら極力走行を避けるか、スピードを十分に落として慎重に運転するようにしましょう。
実際には、わだちの両側にできた凍りついた雪の塊によってハンドルを取られ、対向車との衝突寸前まで行った事例も報告されています。ハンドルが取られた場合は、慌てて回し過ぎず、ブレーキ力が回復するまで待つことが重要です。
雪道のわだちは季節の進行とともに、また時間帯によって状態が大きく変化します。これを理解することが、雪道運転の安全性を高める上で不可欠です。
冬の初期段階では、わだちはまだ浅く、比較的安定した走行が可能です。しかし、本格的な冬が進むにつれて、複数回の雪解けと再凍結を繰り返すことで、わだちは深く削れていき、その状態も複雑になります。
時間帯による変化も顕著です。日中の気温が上がる昼間はシャーベット状で走りやすいわだちも、夕刻から夜間にかけて急速に気温が低下すると、わだち自体が凍りつきアイスバーン化します。これは気象条件によって予測が難しく、ドライバーの予想以上に急速に起こることもあります。
地理的な条件も影響します。直射日光が当たりにくい側道や山間部のわだちは、昼間でも凍結している可能性が高いため、注意が必要です。同じ道路でも場所によってわだちの状態が異なることを常に意識することが、雪道運転の重要なポイントとなります。
北陸地方整備局では、わだちのある道での運転について、専門的なガイダンスを提供しています。わだちにより横方向の滑りを抑えられるメリットと、ハンドルがとられる危険性のバランスを理解することが安全運転につながります。 https://www.hrr.mlit.go.jp/chokoku/99/125/127/159/ JAFの事故事例では、「凍った轍でハンドルが取られる」という実体験が報告されており、速度を抑えていてもわだちの凸凹で車の進路が乱される危険があることが実証されています。これらの実例から学ぶことで、より実践的な安全運転スキルが身につきます。 https://jafmate.jp/safety/drive_nearmiss_20230209.html
検索結果をもとに、タイトルとカテゴリ、記事構成を作成します。
