オートブレーキホールドは、ブレーキペダルを踏んで停止した後にペダルから足を離しても停止状態を維持する便利な機能です。信号待ちや渋滞中にブレーキを踏み続ける必要がなくなり、右足の疲労を大幅に軽減できます。しかし国産車の多くは、エンジンを始動するたびに毎回スイッチを押してこの機能をONにしなければならず、これが意外と面倒に感じるドライバーも少なくありません。
そこで注目されているのが「メモリー機能」です。この機能は一度オートブレーキホールドをONに設定すると、エンジンを切ってもその設定が記憶され、次回のエンジン始動時に自動的に機能が有効になるというものです。VWゴルフなどの輸入車では早くから搭載されており、国産車でもホンダ・ヴェゼルや一部の日産車の新型モデルで採用が進んでいます。
メモリー機能がない車種では、エンジンをかけるたびに運転席周辺にあるブレーキホールドスイッチを押す必要があります。この操作を忘れてしまうと、停止時にブレーキホールドが作動せず、意図しない挙動につながる可能性もあるため、安全性の観点からもメモリー機能の重要性が指摘されています。

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オートブレーキホールド機能は、電動パーキングブレーキシステムと連携して動作します。運転席周辺にあるスイッチを押して機能をONにすると、ブレーキペダルを踏んで停止した際に横滑り防止ユニット(VDC、ESC)がブレーキ液圧を保持し、ペダルから足を離しても車が停止したままの状態を維持します。
発進する際はアクセルペダルを踏むだけで自動的にブレーキが解除されるため、特別な操作は不要です。メーター内のインジケーターで作動状況が確認でき、ブレーキ力が保持されている時は通常白色のインジケーターが緑色に変化します。車種によっては停止状態が3分を超えると電動パーキングブレーキに自動的に切り替わる仕様もあります。
電動パーキングブレーキは電気モーターを使ってブレーキをかける装置で、従来の手引き式サイドブレーキや足踏み式パーキングブレーキに代わって近年普及が進んでいます。このシステムがあることで、オートブレーキホールド機能が実現可能となっており、軽自動車から高級車まで幅広い車種に搭載されるようになりました。
メモリー機能の搭載状況はメーカーや車種によって大きく異なります。輸入車では標準的な機能として早くから採用されてきましたが、国産車では搭載車種がまだ限られているのが現状です。
メモリー機能搭載車種
| メーカー | 代表車種 | 特徴 |
|---|---|---|
| フォルクスワーゲン | ゴルフ | 一度ONにすればエンジンOFF後も設定維持 |
| ホンダ | ヴェゼル(2021年~) | 国産車で早期にメモリー機能を搭載 |
| ホンダ | ステップワゴン(2022年~) | 車両標準装備として自動ON機能あり |
| 日産 | キックス(2022年7月~) | マイナーチェンジ後にメモリー機能追加 |
| メルセデスベンツ | Cクラス | スイッチなしでブレーキ強踏みで自動作動 |
一方、最新の先進運転支援機能を多数搭載するトヨタの新型ノア&ヴォクシーでさえ、メモリー機能は「大人の事情」により搭載されていないという状況です。このため、毎回エンジン始動時にスイッチをONにする必要があり、これを面倒に感じるユーザーも多いようです。
ホンダ車では2020年以降の新型モデルで徐々にメモリー機能の搭載が進んでおり、フィット、N-BOX(2023年以降)、シビック、CR-V、アコードなどで対応が進んでいます。日産車も2022年のマイナーチェンジ以降、メモリー機能を標準装備する車種が増えてきました。
メモリー機能が搭載されていない車種でも、後付けキットを使用することでメモリー機能を追加できる場合があります。複数のメーカーから専用キットが販売されており、カプラーオンで取り付けられる製品も登場しています。
後付けキットの主な機能は以下の通りです。
ホンダ用のオートブレーキホールドキットは、CR-V、N-BOX、N-ONE、N-WGN、アコード、インサイト、シビック、ステップワゴン、フィット、レジェンドなど多くの車種に対応しています。価格は製品によって異なりますが、1万円台から3万円程度で購入できるものが多く、DIYでの取り付けも可能な設計になっています。
日産車向けには、シフト連動でパーキングブレーキも自動化できる高機能なキットも販売されています。これらのキットは完全カプラーオンで取り付けができるため、純正配線を切断したり加工したりする必要がなく、車検時などに純正状態に戻すことも容易です。
ホンダ車向けオートブレーキホールドキットの詳細情報と適合車種一覧
メモリー機能には明確なメリットがある一方で、注意すべき点も存在します。利用を検討する際は両面を理解しておくことが重要です。
メリット
国産車の多くはエンジンを切るとブレーキホールド機能がOFFになるため、毎回スイッチを押す必要があります。特に毎日通勤で渋滞路を走る場合や、信号の多い市街地を頻繁に運転するドライバーにとって、この煩わしさは無視できないものです。メモリー機能があれば、一度設定すれば以降は何も考えずに機能を使い続けられます。
デメリットと注意点
一部の専門家は、メモリー機能がない方が安全だという意見もあります。毎回スイッチを押すことで機能の作動を意識でき、万が一機能が作動しなかった場合でもすぐに気づけるという考え方です。しかし実際には、常に機能がONになっている方が押し忘れによる事故を防げるという反論もあり、意見が分かれています。
メルセデスベンツのように、スイッチ自体を廃止してブレーキペダルを強く踏み込むと自動的にブレーキホールドが作動する仕組みを採用している車種もあります。これならスイッチの押し忘れという問題自体が発生しないため、理想的な解決策と言えるかもしれません。
メモリー機能の有無にかかわらず、オートブレーキホールド機能を安全かつ効果的に使うためのポイントを押さえておきましょう。
まず基本的な使用手順として、エンジン始動後にブレーキホールドスイッチをONにし、メーター内のインジケーターで有効になっていることを確認します。メモリー機能搭載車の場合はこの操作が不要ですが、初回は必ず作動状況を確認しましょう。通常通りブレーキを踏んで停車すると、システムが作動してブレーキ力が保持されます。
効果的な活用シーン
注意が必要なのは、アクセルペダルに足が触れるとブレーキホールドが解除されてしまう点です。駐車場のチケットを取る際など、身を乗り出す動作をする時は、シフトレバーを「P」レンジに入れておくとより安全です。「D」レンジのままだと、意図せずアクセルを踏んでしまい車が動き出す危険性があります。
また、ブレーキホールドが作動しない条件も把握しておく必要があります。ブレーキペダルの踏み込みが弱い場合や、シートベルトを外したりドアを開けたりすると機能が解除される車種もあります。メーター内のインジケーターを必ず確認し、ブレーキペダルから足を離す前に作動状況をチェックする習慣をつけましょう。
マニュアルトランスミッション車では、オートブレーキホールドが特に有効です。坂道発進でクラッチ操作に集中でき、車が後退する心配がないため、MT車の運転に慣れていない方でも安心して発進できます。クラッチを繋ごうとした瞬間に自動的にブレーキホールドが解除される仕組みになっています。
なぜ国産車の多くでメモリー機能が搭載されていないのか、その背景には技術的な理由と設計思想の違いがあります。
設定をメモリに維持すること自体は技術的に可能ですが、駐車中に外部ノイズや電圧低下などでデータが破損すれば、意図せず解除になる可能性があります。設定したつもりでいつの間にか解除になり、次に乗ったときに動作しないと故障だという不要なクレームにつながるリスクがあるのです。
限られた容量のEEPROMに書き込むほど重要なデータでもなく、データ領域も勿体ないという考え方もあります。このようなデータ専用のEEPROMを追加すれば余計な回路が増え、信頼性やコストに響くため、メーカーとしては慎重にならざるを得ません。
一方で、輸入車メーカーは「毎回スイッチを押さなければならない不便さ」を重視し、データ破損のリスクよりも利便性を優先する設計思想を採用しています。VWやメルセデスベンツなどでは、メモリー機能を標準装備することでユーザー体験を向上させることに成功しています。
日本のメーカーも徐々にこの流れに追随しており、2020年以降の新型モデルではメモリー機能を搭載する車種が増えてきました。今後は国産車でもメモリー機能が標準的な装備になっていく可能性が高いと言えるでしょう。メーカーによる「大人の事情」も次第に解消され、より多くのドライバーが快適なオートブレーキホールド機能を享受できる時代が近づいています。
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