ヘッドライトを塗装してブラックアウトにカスタムすると、次の車検で車検NGになって20万円超の出費になります。
グランマックストラックは、ダイハツが2020年9月に日本国内向けに投入した小型商用トラックです。インドネシアの生産拠点「アストラ・ダイハツ・モーター(ADM)」で製造され、トヨタ「タウンエーストラック」やマツダ「ボンゴトラック」のOEM元としても知られています。つまり、グランマックストラックにカスタムパーツを選ぶ際、タウンエーストラック向けとして流通しているパーツが流用できるケースがあります。これは意外と知られていない事実です。
エンジンは1.5L(1496cc)の3SZ-VE型ガソリンエンジンを搭載し、最高出力は97ps、最大トルクは134N・m。トランスミッションは4AT(オートマ)と5MT(マニュアル)が選べます。荷台の最大積載量は2WDモデルが800kg、4WDモデルが750kgとなっており、軽トラックよりも約100〜150kg多く積めるのがポイントです。全長は4,295mm、全幅は1,675mmとコンパクトな寸法に収まっており、最小回転半径は4.9mと取り回しも良好です。
純正タイヤサイズは前後ともに175/80R14で、ホイールはリム径14インチ、オフセット+50mm、リム幅5J、PCD114.3mmの5穴という仕様です。このPCDと穴数は普通乗用車と同じ規格なので、選べるアフターマーケットホイールの選択肢は軽トラックよりも豊富です。カスタムの自由度という点では、これが大きなアドバンテージになります。
商用車区分のため、車検は1年ごと。乗用車の2年車検に比べるとカスタムが車検適合かどうかをチェックする機会が多いため、「車検対応かどうか」の確認をカスタムの出発点にするのが基本です。
外装カスタムで最も人気があり、見た目への効果が大きいのはホイール交換です。純正は14インチスチールホイールのため、アルミホイールに交換するだけで一気に印象が引き締まります。前述の通りPCD114.3mmの5穴という仕様は、一般的なアルミホイールとの互換性が高い規格です。選択肢が豊富なのはうれしいところです。
ただし、ホイールを選ぶ際には「JWL-T」(軽合金製ホイールのトラック用規格)の刻印が入った商品を選ぶ必要があります。乗用車向けの「JWL」規格のみのホイールは、積載用途の商用トラックには使用できません。車検時に指摘されると、その場で不合格になります。たとえば社外のかっこいいアルミホイールに「JWL」の刻印しかなければ、グランマックストラックでは使えない場合があります。JWL-T対応品かを必ず確認してから購入しましょう。
インチアップをする際は、タイヤ外径をほぼ変えないことが大前提です。ホイールサイズ変更シミュレーションによると、標準の14インチから15インチへのインチアップ時にオフセットが純正の+50mmから大きく外れると、ボディへのタイヤ干渉や車体からのはみ出しが起こります。たとえばオフセット+35mmで7J幅のホイールを選んだ場合、フロントのBT値(タイヤの出っ張り量)がプラスになり、車検非対応となります。数字を見てもわかりにくい場合は、ホイール販売店のスタッフに「グランマックストラック(S413P)で車検に通るか」と確認するのが最短ルートです。
フロントグリルのカスタムも外装ドレスアップの定番です。グランマックスは実質的にタウンエースと同じ外装パーツを持つため、タウンエーストラック向けのグリルメッシュや社外グリルが流用できる場合があります。純正グリルをブラック塗装してアクセントにするだけでも印象は大きく変わります。LEDのポジションランプやデイライトを追加するカスタムも人気が高く、1万円前後からできる手軽な外装変更として知られています。
商用トラックは機能優先のため、内装は質素なつくりになっています。グランマックストラックも例外ではなく、シートはビニールレザー素材で長距離走行では疲れやすいという声があります。そこで最初に手をつけたいのがシートカバー交換です。
グランマックストラック専用設計のシートカバーは、Clazzioをはじめいくつかのメーカーから販売されています。「車種別専用設計」を選ぶことで縫い目がズレず、エアバッグの動作を妨げないよう設計されているため安心感があります。価格はメーカーや素材によって異なりますが、1万円台前半〜3万円程度が相場です。これは費用対効果が高いカスタムです。
ステアリング(ハンドル)の交換も内装カスタムの定番ですが、純正のステアリングにはスマートアシストのスイッチが組み込まれているモデルがあります。安易に社外ステアリングに交換すると、衝突軽減ブレーキや車線維持支援のスイッチが使えなくなる可能性があります。つまり、機能を維持したまま見た目を変えたい場合は、ステアリングカバーを装着する方法が現実的です。
インテリアパネルの交換も人気のドレスアップです。ダッシュボード周りのパネルをカーボン調やピアノブラック調のデコレーションパネルに変えるだけで、室内の雰囲気がグッと高まります。BM JAPANなどが販売しているグランマックスカーゴ(タウンエースと共通の内装)向けのインテリアパネル3ピースセットは、3,000〜5,000円程度で入手でき、工具なしで貼るだけで装着できるものも多いです。手軽に変化を楽しめますね。
フロアマットも意外と見落とされがちな内装カスタムアイテムです。純正マットは薄手で汚れが目立ちやすいため、トラック用の厚手ラバーマットや専用フロアマットに変えると仕事後の清掃が楽になります。機能面とドレスアップを同時に満たせる実用的なカスタムです。
参考:グランマックストラックに適合するシートカバーや内装パーツのラインナップ(BM JAPAN)
BM JAPAN 楽天市場店 ダイハツ グランマックス対応パーツ一覧(楽天市場)
足回りのカスタムはドレスアップ効果が最も高い反面、最も注意を要するジャンルでもあります。ここを誤ると車検NGや積載性の大幅低下につながります。慎重に確認が必要です。
グランマックストラック向けのローダウンサスペンションとして代表的なのが、ESPELIRのスーパーダウンサスです。グランマックスカーゴ(S413V)向けに設定があり、フロント50〜55mm、リア50〜55mmのダウン量が可能とされています。トラックモデル(S413P)と共通のフロントサスペンション形式が採用されているため、流用できるパーツがある場合があります。ただし、乗り心地やリーフスプリングへの影響を考慮すると、トラックはカーゴモデルよりも注意が必要です。
道路運送車両の保安基準では、最低地上高は9cm以上を確保しなければなりません。ローダウン後に9cm未満になると保安基準違反となり車検不合格です。サスペンション交換後は必ず最低地上高を実測して確認しましょう。また、商用トラックはリアにリーフスプリングを採用しているケースが多く、車高調を取り付けにくい構造です。そのためローダウンを検討する際は、リーフスプリングのダウンキットや換装を専門ショップと相談しながら進めることを推奨します。
積載を伴う仕事で使うトラックにローダウンを施すと、荷物を積んだ際にさらに車高が落ち込む点も計算に入れる必要があります。空車状態で9cmギリギリにした場合、800kgの荷物を積んだ状態では9cmを下回ることがあります。保安基準の最低地上高は走行状態(積載状態)での測定であることを覚えておけばOKです。
参考:ダウンサスの最低地上高に関する保安基準について
ダウンサスとは。取り付けや工賃、乗り心地。メリット・デメリット(チューリッヒ保険)
グランマックストラックは商用車区分のため、1年ごとに車検を受ける義務があります。これはカスタムした状態が毎年チェックされることを意味します。乗用車の2年に1度よりも厳しいサイクルといえます。
車検で引っかかりやすいカスタムのトップはヘッドライト・テールランプの塗装です。ヘッドライトをブラックアウト塗装するカスタムは見た目のインパクトが大きく人気ですが、塗膜が光量を落とすため保安基準違反となる場合があります。また、塗装がなかなかきれいに剥がせないために車検前に純正品に戻そうとしても、グランマックスは廃車が海外に輸出されてしまうため中古部品が市場に出回りにくく、純正ヘッドライトの中古品を探してもなかなか見つからないという深刻な問題が起きます。最終的に新品のヘッドライトを購入するはめになると、数万円の出費が確定します。
車検対応と表示されているマフラーでも、経年劣化によって音量が基準値を超えると車検不合格になります。これはあまり知られていない事実で、整備工場では「車検対応品なのになぜ?」という相談が実際に届くそうです。マフラーは消耗品と認識したうえで、定期的な音量チェックが必要です。
JWL-T刻印のないホイールは商用トラックには装着不可という点は前述の通りですが、輸入品のアルミホイールには本来の規格と異なる偽刻印が入っているものも流通しているため注意が必要です。認証マークの信頼性が確認できないホイールは使用しないのが賢明です。ホイールは信頼できる国内メーカー品か、正規輸入品を選ぶのが原則です。
また、2024年1月にグランマックストラック(S403P・S413P)はバッテリー固定具の不良でリコールが届け出られました。対象はS403Pが令和2年9月11日〜令和5年12月19日生産分、S413Pが令和2年9月21日〜令和5年12月19日生産分です。カスタム目的で中古を購入する場合は、このリコール対応が完了しているかを必ず確認してください。リコール未対応のまま乗り続けることは安全上のリスクになります。
参考:グランマックストラックのリコール情報(国土交通省)
国土交通省 リコール情報:ダイハツ グランマックストラック バッテリー固定不良(国土交通省公式)
カスタムで見た目や快適性を高めることに注力するあまり、本来の目的である「積む・運ぶ」機能を損なってしまうケースがあります。グランマックストラックはカスタムを楽しむ前に、商用トラックとしての特性をしっかり理解しておく必要があります。
最大積載量を超えた過積載は、発覚した場合に道路交通法違反として罰則が適用されます。最大積載量を超えると1kgでも過積載であり、許容範囲はゼロです。さらに過積載状態での走行はローダウン車ではリアのリーフスプリングに過大な負荷がかかり、異常なたわみや底付きが起こる恐れがあります。見た目のために無理にローダウンした車両で過積載運搬をすると、走行安全性が大幅に低下します。
荷台への幌(ほろ)を張るカスタムも人気ですが、幌の高さが保安基準の車高制限(3.8m以内)を超えないか、また幌の強度・固定方法が保安基準に適合しているかを確認する必要があります。幌の取り付け後に車検を受けて不適合と言われると、全撤去か大幅な作り直しになるため費用が膨らみます。車検対応の確認を先に行うのが基本です。
LED作業灯の追加は、グランマックストラックの荷台カスタムとして実用性が高い選択肢です。夜間の荷積み・荷降ろし作業が格段に楽になります。ただし、消費電力の大きい電装品を追加する際はオルタネーター(発電機)の容量に注意が必要です。グランマックスは海外生産モデルであるためオルタネーターの構造が特殊で、アンペアアップ品の設定がない品番のものも存在します。大型の冷凍設備や強力な作業灯を複数追加する場合は、事前に整備工場やカーショップで発電容量の確認を取ることが必要条件です。
これらの注意点を押さえたうえでカスタムを進めれば、仕事の実用性を落とさずに自分好みのグランマックストラックを作り上げることができます。外装・内装・足回り・電装系と段階的にカスタムプランを立て、車検のたびに適合確認をするサイクルを守れば、長く楽しめるカスタムライフになります。
参考:商用トラックカスタムの車検適合・保安基準について詳しく解説