リーフスプリングを社外品に換えると、1cmも車高が変わらなくても車検アウトになります。
リーフスプリングとは、長さの異なる鋼製の板バネを複数枚重ねたサスペンション機構のことです。重い荷物への耐久性が高く、ハイエースや軽トラック(ダイハツ ハイゼットトラック、スズキ キャリイなど)の商用車に今も広く採用されています。
ローダウンの方法は、大きく分けて2種類あります。まずダウンブロック(ローダウンブロック)を挟む方法は、リーフスプリングとアクスルハウジングの間に専用ブロックを設置して車高を下げるものです。もう一つが社外製ダウンリーフに交換する方法で、純正より反り(クセ)が少ない板バネに丸ごと換えることで車高を落とします。
作業手順の概要は以下のとおりです。
ローダウンに向いているのは、振動や衝撃の影響を受けにくい積載物を扱う車両です。新聞紙や段ボール類など、精密機器ではないものを運ぶ軽トラやバン系商用車なら乗り心地への影響も比較的許容しやすいといえます。
リーフスプリングは1,000kg前後の荷物に耐えられる設計なので、空荷だと固くてゴツゴツ感が強くなります。これが基本です。逆に言えば、荷物を積めば積むほど乗り心地が安定するという、一般乗用車とは真逆の特性があります。意外ですね。
リーフスプリングのローダウン手順・修理方法・メリットを詳しく解説(55truck.com)
ここが最も誤解されやすいポイントです。コイルスプリングやショックアブソーバーは国土交通省の通達で「指定部品」に分類されています。指定部品であれば、車高変化が4cm以内、または取り付け方法が固定的取付方法(ボルト・ナットなど)であれば構造等変更検査なしで車検を通過できます。
ところがリーフスプリングはこの「指定部品」から除外されています。つまり指定外部品です。
指定外部品の場合、たとえ車高が1mmしか変わらなくても、純正品以外に交換した時点で「改造自動車審査」という別手続きが義務化されています。つまり4cmルールが通用しないということですね。
具体的には以下の2ステップが必要になります。
ダウンブロック(ブロックを挟む方式)も注意が必要です。ブロック単体は指定外部品で、4cm未満の変化なら継続検査で通ることが多いですが、4cm以上になれば構造等変更検査が必須です。一方、リーフスプリング本体を社外品に換える場合は変化量に関係なく改造自動車審査から始まります。これが条件です。
また、社外リーフに同梱されている「強度検討書」は補足資料に過ぎず、それだけでは審査通過になりません。改造自動車審査に必要な「改造通知書」を正規に取得することが必要です。強度検討書だけを提出しても公認車検を受験できないという事実は、多くのユーザーが見落としています。痛いですね。
4cm以上の車高変化でも車検合格できる条件を詳細解説(cl-link.com)
合法的にリーフスプリングをローダウン仕様に換えて車検を通過するには、正しい手順を踏む必要があります。流れを整理すると以下のとおりです。
| ステップ | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| ① | 改造自動車審査の事前申請 | 部品交換より前 |
| ② | 審査通過後にリーフスプリングを交換 | 審査OKを得てから |
| ③ | 車高変化が4cm以上なら構造等変更検査を受ける | 部品交換後・車検当日 |
| ④ | 車検証の「型式」欄に「改」が記載される | 構造変更検査の完了後 |
改造自動車審査では、メーカー発行の諸元資料、写真、強度計算書(改造通知書)などを提出します。これは車検当日とは別の日に予約を取って行う審査であり、書類に不備があればやり直しになります。審査に時間と手間がかかるため、事前申請済みの書類(改造通知書)が付属している社外リーフを選ぶことが、時間短縮の大きなコツです。
構造変更後には車検証の型式欄に「改」の文字が入ります。これは足回りの構造を変更した正規の証明であり、次の車検時にも提示が必要になります。なお、構造変更の時点で車検の有効期間がリセットされます。残り8か月の車検があっても、構造変更を行った日から新たに車検期間が始まる仕組みです。残存期間分の費用が無駄になることも珍しくないため、車検満了に合わせてカスタムを計画するのが原則です。
200系ハイエースのリーフスプリング交換と構造変更の実体験レポート(ameblo.jp)
書類手続きが整っていても、車両が保安基準を満たしていなければ車検は通りません。ローダウン後に特に厳しくチェックされるのは以下の項目です。
① 最低地上高9cm以上の確保
道路運送車両の保安基準により、車両の最低地上高は9cm(ホイールベース3,000mm未満の場合)以上が必要です。ローダウンするほどこの数値に近づくため、空車状態での計測が重要になります。ハイエースで4インチ(約10cm)以上のローダウンはほぼ確実に基準割れになります。4インチ以上は問題ありません、ではなく、4インチ以上は問題になる可能性が高いということですね。
② 光軸(ヘッドライトの照射方向)の確認
ローダウンによって車体後部が下がると、ヘッドライトの照射軸が上向きにずれます。これが対向車の目に入ることを防ぐため、光軸は車検の検査項目です。ハイエース系の多くにはオートレベライザー(車高センサー付きの自動光軸補正装置)が搭載されていますが、ローダウン量に対応していないケースがあります。
この対策としてレベリングアジャスターという補正部品があり、ダウン量に応じたセンサーリンクの位置変更で光軸を正常な角度に戻せます。価格は数千円程度と安価ですが、これをつけないと車検で落とされます。これは使えそうです。
③ タイヤとボディの干渉チェック
ローダウンするとタイヤとタイヤハウスの隙間が縮まります。フルステアを切ったときにタイヤがハウスに接触していれば不合格です。特にハイエース系の2.8Lディーゼルモデルでは、タイヤハウス内のレゾネーター(吸気消音パーツ)がタイヤに接触してエンジンへのダメージにつながることもあります。
④ 最大積載量の維持
軽トラックのリーフを逆組みや枚数を減らす方法でローダウンした場合、最大積載量(例:350kg)の維持が保証されなくなります。積載量の保証が取れない状態は保安基準違反であり、車検は通りません。
ハイエース構造変更で確認すべき保安基準のチェックポイントを解説(toushinjidousha.com)
ローダウンのコストを事前に把握しておくことは、カスタム計画の失敗を防ぐうえで重要です。費用は主に次の要素で構成されます。
| 費用項目 | 目安金額 | 備考 |
|---|---|---|
| ローダウンブロック(部品代) | 約2万円 | メーカーにより異なる |
| 社外ダウンリーフ(部品代) | 3〜8万円程度 | 書類付きの製品を選ぶと安心 |
| バンプストッパー類 | 約2.5万円 | 突き上げ防止に必須 |
| レベリングアジャスター等 | 数千円〜1万円程度 | 光軸調整に必要 |
| 施工工賃(2〜3インチ) | 約2.2〜2.75万円 | 施工店による |
| 構造変更費用+車検代 | 約9万円(大阪基準) | 地域・車種により差あり |
2インチ以上のローダウンでは、総費用の合計が約16万円前後になるケースが多いです。一方、1.5インチまでのブロック挿入にとどめれば、構造変更・車検代が不要になるケースもあり、7万円前後で収まることもあります。ただし、これはブロック使用でかつ車高変化が4cm未満の場合に限った話です。
覚えておきたい重要なポイントがあります。構造変更検査は「車検を伴う変更」です。車検の残期間が何か月残っていても、構造変更を受けた時点で有効期間がリセットされます。残期間分の車検費用が実質的に二重払いになります。これを避けるには、車検満了時期に合わせてローダウン作業を行うことが条件です。
なお、構造変更検査の手数料自体は普通自動車で2,100円程度・軽自動車で1,800円程度です。費用の大部分は車検代(法定費用+整備費)が占めます。
費用をできるだけ抑えるなら、「事前申請済みの改造通知書が付属している社外ダウンリーフ」を選ぶのが賢明です。書類の取得を自分で行う場合、書類作成費用として2万5,000円前後かかるケースもあります。書類込みの製品選びが節約につながります。これが結論です。
ハイエースのローダウン費用の詳細な内訳と構造変更について(crs9000.com)