トヨタの新型ランドクルーザーFJは、2025年10月21日に東京オートサロン前のワールドプレミアで公式発表されました。公式から正式にアナウンスされた発売日は「2026年年央頃」であり、これは従来予定していた2025年秋の販売開始から半年以上の遅延を意味します。当初2025年秋に発売予定だったものが、認証試験における不正行為の発覚により、スケジュールが後ろ倒しされた経緯があります。
しかし市場からの反響は極めて大きく、スズキの「ジムニーノマド」といった強力なライバル商品の登場動向を踏まえると、トヨタとしても可能な限り早期投入を目指さざるを得ない状況が浮かび上がります。複数の自動車情報誌の分析によれば、公式発表の「年央」より少し早い2026年春から初夏にかけての登場も十分あり得るとされており、実際の市場投入時期には幅が生じる可能性があります。
新型FJクルーザーはプロトタイプの段階で、2.7リットル直列4気筒ガソリンエンジン（2TR-FE型）を搭載することが確認されました。このエンジンはランドクルーザー250でも実績があり、最高出力163ps、最大トルク246Nmのスペックを発揮します。トランスミッションには6速AT（Super ECT）が組み合わされ、確かな駆動力を実現しています。
駆動方式はパートタイム4WDシステムを採用し、リアデフロックを備えることで悪路走行時の信頼性を確保。ランドクルーザー伝統のラダーフレーム構造も踏襲される見込みで、小型化されながらも本格的なオフロード走破性を実現しています。将来的には2.8リットル直列4気筒クリーンディーゼルエンジン（1GD-FTV型）やBEVモデルの追加も検討されているとの情報ですが、当初の販売開始時点ではガソリンモデルからのスタートが濃厚です。
新型FJクルーザーのボディサイズは全長4575mm、全幅1855mm、全高1960mm、ホイールベース2750mm（いずれも公式発表値）という寸法で設定されました。ランドクルーザー250（全長4925mm、全幅1980mm）よりも一回り小さく、カローラクロス（全長4490mm）よりは大きめという、SUV市場において上手くポジショニングされた選定といえます。最小回転半径5.5mという数値が示すように、日本の狭い道路での取り回しにも配慮した設計が施されています。
室内は基本5人乗りの設定が予想されており、旧型FJクルーザーとの連続性が確保される見込みです。しかし上級グレードではランドクルーザー250と同じく7人乗り仕様の設定も可能な可能性があり、顧客ニーズに応じた多段階の展開が期待できます。視認性を優先した大型ウインドウ設計や大型サイドミラー、大型タイヤハウスなどオフローダー的な機能性が重視された内装構成になるでしょう。
新型FJクルーザーの予想販売価格は380～480万円程度と予測されています。ランドクルーザー250（520～735万円）や旧型FJクルーザー当時の新車価格（324～349万円、インフレ調整後）と比較すると、ランドクルーザーシリーズのエントリーモデルとしての適正な位置付けが確認できます。
競合他車との価格比較では、カローラクロス（218～345万円）とRAV4（293～563万円）の中間帯に相当し、ハイラックス（407～477万円）に接近した価格設定と予想されます。ランドクルーザー250と同じ2.7リットルエンジンを採用し、ハイラックスと共通のラダーフレーム構造を搭載しながら、100万円以上低い価格帯で提供されることは、本格的なオフロード性能を求める層にとって割安感をもたらす要因となるでしょう。
新型FJクルーザーの販売開始時には、ランドクルーザー250やランドクルーザー70の前例から推測して、事前申し込みによる抽選販売体制が採用される可能性が高いとされています。販売台数が限定されるため、初期段階では既存のトヨタ顧客が優先的に参加できる傾向が予想されます。しかし新規客でも、複数のトヨタ販売店に購入意思を伝えたり、ディーラー推奨の購入方法（残価設定ローン、下取り車込みなど）を選択することで、抽選参加の可能性が高まるでしょう。
購入予定者が留意すべき点として、納期の遅延リスクが挙げられます。ランドクルーザー250は1～2年、ランドクルーザー300は2～4年以上の納期待ちが発生している実績から、新型FJクルーザーでも同様の状況が生じる恐れがあります。中古車市場での価格高騰リスクも考慮し、長期的な購買計画を立てることが推奨されます。
参考リンク：新型FJクルーザーの最新スペックと開発情報について、トヨタ公式ウェブサイトでは段階的に詳細情報が公開されます。
トヨタ公式ウェブサイト（新型ランドクルーザーFJ情報コーナー）
新型FJクルーザーのエクステリアデザインは、2021年12月に公開されたコンセプトカー「コンパクトクルーザーEV」がベースとなっており、直線基調でレトロながらも現代的な印象を兼ね備える設計が採用されました。前面のヘッドライト設計はランドクルーザー250を小型化した方向性が有力とされており、角目と丸目（半円形）の選択肢が提供される可能性があります。
サイドビューではランドクルーザー40系を彷彿とさせるスクエアで機能的なデザインが意図されており、視認性を優先した大型ウインドウと大型サイドミラーの採用により、街中での乗りやすさと悪路での安全性を両立しています。バックドアは垂直形状のハッチバック式が採用され、積載性能と利便性が確保されるでしょう。無骨さとレトロ感、そしておしゃれさという三つの要素を統合したデザイン哲学が貫かれています。
新型FJクルーザーにはランドクルーザー伝統のラダーフレーム構造（はしご状の骨格）が採用される見込みです。このフレーム設計は従来のモノコック構造（フレームの代わりに外板で車体全体を支える構造）と比較して、曲げや捻り応力に対する強度が優れており、岩場や倒木などの障害物を乗り越える際に下回りへの衝撃に耐える能力に勝ります。
ラダーフレーム構造により、新型FJクルーザーは過酷なオフロード環境下でも構造的な損傷を最小限に抑えながら走行継続できるという信頼性が実現されます。海外販売されるハイラックスと共通のフレーム採用が予想されており、グローバル規模での耐久性検証を経た設計が導入されることになるでしょう。ただし同時に、ラダーフレーム構造は生産効率やコスト面、車体重量の増加に伴う燃費悪化といったデメリットも内包しており、これが販売価格や維持費に影響を及ぼす可能性があります。
新型FJクルーザーには、トヨタが現行車種に標準装備している最先端の安全装備が導入される見込みです。具体的には、Toyota Safety Senseとして以下の機能が組み込まれる可能性があります。
プリクラッシュセーフティは歩行者・自転車検知機能を備え、衝突危険時に自動ブレーキで対応します。レーントレーシングアシスト（LTA）は車線維持支援により、高速走行時の運転負荷を軽減します。ブラインドスポットモニター（BSM）は死角警告で車線変更時の安全性を向上させ、リヤクロストラフィックアラート（RCTA）は後退時の危険を警告します。さらにコネクティッドナビの採用でオンライン情報をリアルタイム表示でき、音声認識機能によりワイパーやエアコンなどの操作が可能になるでしょう。
これらの装備により、新型FJクルーザーは悪路走行性能と日常的な安全性を高次元で両立させることができます。
新型FJクルーザーのコンパクトながら上背が高い設計は、車中泊やキャンプでの使用を想定した実用性に配慮したものです。全高1960mmという寸法は室内の開放感を生み出し、背の高い荷物の積載も容易になります。ハッチバック式のバックドアと直線的な車体デザインにより、荷室空間の効率的な活用が実現され、テント設営用具やキャンプ道具の搭載に優れています。
視認性と取り回しの良さという特性は、都市部での日常運用とアウトドア活動の両立を促進します。最小回転半径5.5mという数値は、駅前のコインパーキングや商業施設での駐車操作を容易にし、同時にオフロード走行時には小回りが必要な場面での対応力も確保されます。ランドクルーザーシリーズの中でも最もバランス感に優れたモデルとして、ファミリーユースから本格的なアドベンチャー活動まで幅広い層の需要に対応する構想が認識できます。
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