パッドなしのリアピラーバーは、車検でNGになることがあります。
ハッチバックやミニバン、軽自動車は「リアの開口部が広い」という構造上の弱点を抱えています。車の後部にあるハッチゲートやバックドアが開口するぶん、その周囲の骨格が薄くなり、コーナリングや段差通過のたびにボディがわずかにねじれます。
このねじれを「ボディのヨレ」と呼びます。ヨレが起きるとサスペンションが正確に路面を捉えにくくなるため、ハンドリングが曖昧になったり、カーブの途中でリアがふらつく感覚が出たりします。
リアピラーバーは、Cピラー(またはDピラー)の左右をバーで連結することで、この開口部の変形を物理的に抑えるパーツです。たとえて言えば、箱の両サイドを押さえる「補強板」のような役割です。
補強が入ることで起きる変化は、主に次の3点です。
- コーナリング時の安定感向上:リアのボディがねじれにくくなるため、カーブで後輪がしっかりと路面を蹴る感覚が出ます。
- 直進安定性の向上:高速道路でのレーンチェンジや長距離走行でのふらつきが軽減されます。
- 車内のきしみ音・ビビリ音の低減:ボディのヨレが減る分、立体駐車場や段差でよく起きる「軋み音」が消えることがある。
特に効果が出やすいのは、エブリイ・N-BOX・ハスラー・アルトワークス・スイフトスポーツ・ヴェルファイア・ヴォクシーといった、リア開口部の大きな車種です。逆に、セダンやクーペはトランクがキャビンと独立しているためリア剛性がもともと高く、体感しにくい場合があります。これが基本です。
みんカラのユーザーレビューでは「コーナーを曲がる時のロールが軽減された」「立体駐車場での軋み音が全くしなくなった」「軽自動車でボディ剛性が弱かったため、安定感が出た気がする」といった声が多数寄せられています。
ラルグス(LARGUS)の調整式リアピラーバーは直径Φ32mmのアルミ製バーを採用しており、一般的な市販品より径が太い設計で剛性と軽量性を両立させています。シートベルト固定部のボルトに共締めするだけで装着できる仕様で、DIY初心者でも取り組みやすい構造です。
リアピラーバーの製品情報・適合車種については以下が参考になります。
ラルグス公式サイト(調整式リアピラーバーの効果・対応車種一覧)。
https://www.largus.co.jp/product/pillarbar.html
「うちの車に本当に効果があるのか?」という疑問は当然です。リアピラーバーの効果を実感しやすい人には、ある共通したパターンがあります。
走行距離が5万kmを超えたあたりから、ボディのヨレは少しずつ増えていきます。新車時には気にならなかった軋み音が、数年後に出始めるケースは珍しくありません。これはボディ剛性の「経年変化」が原因のひとつです。つまり経年劣化した車ほど、リアピラーバーの効果が出やすいということです。
特に効果を実感しやすいシチュエーションをまとめると、次のようになります。
- 高速道路での合流・車線変更:ハンドルを少し切るだけでリアがピタッと安定する感覚が出る
- ワインディングロードの連続コーナー:カーブごとにフラつく感覚が改善される
- 立体駐車場の急カーブ下り:ボディをねじりながら下る動作で、装着前後の差が最も出やすい場面のひとつ
- 荷物を多く積んだ状態での走行:重心が後方に移ると開口部への負荷が増えるため、エブリイなどの商用バン系で特に有効
逆に「効果がない」と感じる人の多くは、すでにボディ剛性が高いスポーツカー・セダン系、あるいは日常の駐車場往復のみしか運転しない方です。意外ですね。
日常の街乗りだけでも、コーナーリングに荷重が乗る場面はあるため、「違いがわかる人・わからない人」が出るのは車種と走行スタイル次第です。車種が合えば、1万円以下のパーツで体感が得られることもあるため、コストパフォーマンスは非常に高いカスタムといえます。
補強効果を最大限に引き出したいなら、リアピラーバーとフロントのストラットタワーバーの両方を入れると、車体全体のバランスが整うとされています。みんカラのユーザーからは「タワーバーより変化を体感できた」という声も見られます。補強の組み合わせが条件です。
リアピラーバーはドリルなどの穴あけ工具が不要なケースがほとんどです。必要な工具はラチェットレンチ(14mmソケット)と内張りはがし程度。作業時間は慣れれば30分前後が目安です。
基本的な取り付け手順は以下の流れになります。
1. リアのシートベルト上部のカバーを外す:内張りはがしなどで軽くこじると、2点の爪で止まったカバーが外れます。
2. 14mmボルトを外す:シートベルトのアンカーを固定している太めのボルトです。ラチェットで外します。
3. ピラーバーのブラケット(ステー)をセット:ステーとシートベルトの間に付属のカラー(スペーサー)を挟み込みます。
4. 仮締め後、反対側も同様に取り付ける:左右とも仮締め状態にしてから、バーの長さを調整します。
5. ターンバックル式の場合はバー本体を回して張りを調整:ガタが出ないゼロ状態か、ごく軽く張った状態が理想です。
6. 本締めして完了:ロックナットを締めてバーが動かないことを確認します。
注意点が1点あります。取り付け後にシートベルトが動かなくなることがあります。カラーがベルトを挟み込んでしまう場合があるためで、ベルトが正常に引き出せることをかならず確認してから走行してください。
また、取り外し時のことも考えて、ボルトのサイズや締め付けトルクをメモしておくと安心です。エブリイなど車種によっては付属ボルトが短い場合もあり、長めのボルトに交換する対応が必要になることがあります。
スズキ・エブリイへの取り付け手順は以下の記事に詳しく記載されています。
モーターファン「エブリイDIY講座・リアピラーバー取り付け」(実際の手順写真付き)。
「リアピラーバーを付けると車検に通らない」という話を聞いたことがある方は多いでしょう。これは車種・取り付け状態によって正誤が変わります。結論は「パッドなし・むき出しはNGになりやすい」です。
道路運送車両の保安基準では、乗員が接触した際に危険な突起物が車内にあってはならないとされています。金属製のバーがむき出しのまま後部座席付近に装着されていると、急ブレーキや衝突時に頭部や腕をぶつけるリスクが生じるとして、不適合と判断されるケースがあります。
実際にみんカラのユーザー記録には、「車検の見積もりでリアピラーバーがNG判定だった」という報告が複数見られます。対処法として多くのユーザーが実施しているのが、ウレタン製の衝撃吸収パッド(ピラーバーパッド)の装着です。
パッドはホームセンターで入手できる汎用ウレタンスポンジを巻きつける方法でも対応できます。ただしラルグスなどの専用パッドは車検対応を意識した形状・素材で設計されているため、確実性を求めるなら専用品を選ぶほうが安心です。
また、ピラーバーの取り付け方法そのものも確認が必要です。ボルト締めが甘い・固定がガタつく状態は、安全上の問題として車検で指摘されることがあります。完全に固定されていることが条件です。
ディーラーで車検を受ける場合は、社外パーツの装着について事前に相談しておくことを強く推奨します。純正部品以外の装着が保証範囲に影響する場合もあるためです。
ピラーバーと車検の関係・保安基準の詳細については以下が参考になります。
「ピラーバーは車検に通る?保安基準と合否のポイント」(なるほど the car)。
https://www.naruhodothecar.com/shaken/pillarbar.html
リアピラーバーには明確なメリットがある一方、知っておくべきデメリットもあります。一般的な記事ではあまり触れられていない注意点も含めて整理します。
まず代表的なデメリットは荷室スペースの減少です。ストレートタイプは荷室を横断する形で設置されるため、長い荷物が積みにくくなります。特にエブリイなどの商用バンで頻繁に荷物を積む用途では、ルーフに沿ったスクエアタイプ(ルーフアーチタイプ)を選ぶと干渉が少なく実用的です。
次に「ボディ剛性を高めすぎる」ことへのリスクがあります。これが意外と知られていません。ボディは適度にしなることで路面の凹凸を吸収する機能を持っています。もともと剛性の高い車に剛性アップパーツを追加しすぎると、路面からの突き上げが直接乗員に伝わり、乗り心地が悪化する場合があります。強すぎる補強は逆効果ということです。
また、後部座席の乗降性が下がるケースもあります。ストレートタイプのバーが後部ドアの開口部に張り出す位置にあると、乗り降りの際に足をひっかけることがあります。乗員が多い車ではスクエアタイプまたはルーフアーチタイプを選ぶのが現実的です。
補強の取り付け時にシートベルトのアンカーボルトを扱うという点も見落とせません。シートベルトは安全装置のなかで最も重要なパーツのひとつです。締め付けトルクが不足していたり、カラーのセット位置を誤ると、ベルトの引き出しが阻害されます。作業後は必ずシートベルトが正常に作動するかを確認する手順が必須です。
これらのデメリットをふまえたうえで製品選びをするなら、車種専用設計品(適合車種として型式が明記されているもの)を選ぶのが基本です。汎用品は価格が安い反面、フィット感の調整に手間がかかる場合があります。カワイ製作所・ラルグス・スピーゲルのいずれも多くの車種専用品を展開しているため、まず自分の車の型式で適合確認をするところから始めましょう。

viz リアピラーバー輸入車 Volkswagen(フォルクスワーゲン) Golf2(ゴルフ2) VIZ-AA1080-A0000-1