軽自動車市場の変化が、コペンGRの生産終了を余儀なくしています。現在の軽自動車は燃費性能や安全装備の進化で高価格化が進み、スポーツモデルの採算性が低下しました。特にオープンスポーツカーは需要層が限定され、電動化への対応コストもコペンのような小規模生産車には大きな負担となります。加えて、2030年排出ガス規制への対応も現行の3気筒ターボエンジンではコスト的に困難となってきました。
軽自動車全体の衰退ではなく、スポーツ志向の車種そのものが市場から減少している傾向が強いです。S660やスポーツモデルの廃止が相次ぎ、メーカーもSUVやハイトワゴンといった実用性重視の車種開発にシフトしています。コペンGRはこうした産業構造の変化の中で、採算ラインを維持できなくなったと考えられます。
コペンGRに搭載される3気筒DOHCターボエンジンは、総排気量658ccながら最高出力64PS、最大トルク92N・mを発生します。KF型エンジンに採用された直列3気筒構造と、IC付きターボチャージャーにより、軽自動車とは思えない力強い加速を実現しています。EFI電子制御燃料噴射とDVVT(可変バルブタイミング機構)により、低回転域からトルク特性を最適化。
トランスミッションは5速MT(マニュアル)と7速スーパーアクティブシフト付CVTの2種類が用意されており、特にマニュアルミッション仕様はスポーツ走行の楽しみを最大限引き出せます。燃料消費率はWLTCモード基準で18.6km/L(MT)、19.2km/L(CVT)と、ターボスポーツながら実用的な燃費性能を保有。レギュラーガソリン仕様で維持費の負担も相対的に低く抑えられています。
コペンGRの最大の特徴は、軽自動車で唯一採用されている電動開閉式ルーフ「アクティブトップ」です。開閉スイッチを操作するだけで約20秒でフルオープン状態へ自動展開でき、ルーフは車両後部に格納されます。この機構により、ボタン一つでオープンエアの爽快感を手軽に味わえるという、スポーツカーの走行性と日常利便性を両立させました。
安全装置として車速センサーとサイドブレーキセンサーを監視しており、走行中のルーフ開閉は物理的に不可能な設計になっています。ルーフ開閉時のボディ剛性低下を補うため、フロント・センターブレースの補強により高剛性を維持。世界的に見ても、軽規格でアクティブトップを実現した例は非常に稀であり、この技術こそが他のオープンカーにない付加価値を生み出していました。
コペンGRスポーツの走行性能は、TOYOTA GAZOO Racingの協力のもとで開発されたモータースポーツのノウハウを反映しています。ボディ補強では、フロントブレースとセンターブレースの追加配置によってステアリング応答性を向上。ハンドル操作に対する反応性が飛躍的に改善され、正確で気持ちの良いハンドリングが実現されました。
空力性能の向上も特筆すべき点で、フロント・リヤバンパーの専用形状設計により、高速域でのダウンフォースを効果的に生成。フロントバンパーに設けた通気孔とアンダースパッツにより、低速から高速まで全域で操縦安定性を強化しています。サスペンションはKYB製の専用チューニング品を採用し、マクファーソン・ストラット式フロントと、トーションビーム式リヤの組み合わせにより、フラットな車体姿勢を維持。5速MT仕様にはスーパーLSD(リミテッドスリップデフ)も装備され、コーナリング性能と直進安定性のバランスが極めて高い水準で調和しています。
ダイハツは現行コペン生産終了の発表と同時に、「再びコペンを世の中に送り出せるよう、様々なスタディを続けております」とコメント。2025年10月のジャパンモビリティショー2025では、次期コペンの開発車両「K-Open」が公開され、驚くべき仕様の方向性が明かされました。
最大の変更点は駆動方式の転換です。現行モデルはFF(前輪駆動)ですが、次期モデルはFR(後輪駆動)での開発が進められており、軽規格を維持したままプラットフォームを新開発する予定です。エンジンはハイゼット系の既存KF型3気筒ターボとハイゼット系5速MTの流用により、コスト効率を図る方針。このFR化により、スポーツカーの理想的な重量配分を軽規格で初めて実現し、カプチーノやS660に次ぐ真のFRスポーツカー系統への進化を遂行します。軽量化と低重心化を追求する開発姿勢から、現行モデルより確実に運動性能が向上することが期待されており、軽自動車スポーツの完全な再定義が進行中です。
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