ターボチャージャーは、排気ガスの運動エネルギーを利用する過給機です。主要な構成要素は、排気ガス側のタービン部、吸入空気側のコンプレッサー部、そして両者を結ぶシャフトで構成されています。
参考)新卒採用で知っておくべき自動車用語:ターボチャージャーとは
エンジンから排出される高温高圧の排気ガス(700℃以上)がタービンホイールを回転させ、同軸上のコンプレッサーホイールも連動回転します。この仕組みにより、自動車用では最高20万rpm以上という超高速回転を実現し、大量の空気を圧縮してエンジンに送り込むことが可能になります。
参考)ターボチャージャー - Wikipedia
本来は廃棄される排気エネルギーを有効活用するため、機械式過給機に比べて効率が高い点が最大の特徴です。しかし、排気ガスの量に依存するため、エンジン回転数が低い状況では十分な過給効果を得られないという特性があります。
スーパーチャージャーは、エンジンのクランクシャフトの動力を直接利用する過給機です。駆動ベルトを介してコンプレッサーを回転させ、空気を圧縮してエンジンに送り込みます。
最大の利点は、エンジン回転数に直結した即座のレスポンスです。低回転域からも効果的な過給が可能で、アクセルを踏んだ瞬間からパワーを発揮します。また、ターボチャージャーより少ないパーツ数で構成されるため、軽量でコンパクトな設計が可能です。
参考)スーパーチャージャーの仕組み2選|特徴6選と車種を詳しく紹介…
ノッキング(異常燃焼)が起きにくい特性もあり、エンジンの耐久性面で優れています。停車からの加速や市街地走行など、エンジン回転数が低い領域での使用が多い場合には、ターボチャージャーよりも適している場合が多いです。
現代のターボチャージャーには、様々な技術的バリエーションが存在します。ツインスクロールターボは、排気通路を2つに分けることで他気筒からの排気エネルギー干渉を低減し、低回転域でのレスポンス向上を実現しています。
参考)ツインスクロールターボ - Wikipedia
可変ジオメトリーターボは、タービン周辺の流路を可変制御することで、幅広い回転域での効率的な過給を可能にしています。ツインターボシステムでは、小型と大型のターボを組み合わせ、低回転から高回転まで連続的なパワー供給を実現します。
参考)ターボの数え方:シングル/ツイン/トリプルにシーケンシャル……
さらに進歩した技術として、電動ターボやモーターアシスト付きターボなど、電動化技術と組み合わせた次世代過給システムの開発も進んでいます。これらの技術により、従来のターボラグ問題の解決と燃費性能の向上が図られています。
項目 | ターボチャージャー | スーパーチャージャー |
---|---|---|
動力源 | 排気ガス | エンジン動力 |
燃費 | 優秀(排気エネルギー活用) | やや劣る(動力損失有) |
レスポンス | 回転数依存(ラグ有) | 即座に反応 |
コスト | 比較的安価 | 高価 |
メンテナンス | 高温環境で複雑 | 比較的簡単 |
ターボチャージャーの主要なメリットは、燃費性能の向上と高回転域での強力なパワーです。排気エネルギーを再利用するため、燃費向上に貢献し、自動車税も安くなります。しかし、ターボラグ(遅れ)や高温による部品への負荷が課題となります。
スーパーチャージャーは低回転域からの力強いトルクと優れたレスポンスが特徴です。街中での停車・発進が多い使用環境では威力を発揮しますが、エンジン動力を消費するため燃費面では不利になります。また、製造・メンテナンスコストが高い傾向があります。
現在の軽自動車市場では、ホンダN-BOXカスタム、日産ルークス、スズキスペーシアカスタムなど、多くのスーパーハイトワゴンがターボエンジンを採用しています。これらの車種では、車重の重さを補うためにターボが効果的に機能します。
普通車ではトヨタクラウンの2.4Lターボハイブリッド仕様が注目されており、デュアル・ブーストハイブリッドシステムによる力強い加速性能を実現しています。また、ダイハツタントは標準モデルにもターボ車が設定され、コスト重視のユーザーには魅力的な選択肢となっています。
参考)意外と知らない「ターボ車」とは?メリット・デメリット、おすす…
スポーツカー分野では、ホンダS660が軽自動車規格ながら専用ターボチャージャーを採用し、優れた走行性能を発揮しています。多くの現代車でダウンサイジングターボが採用され、小排気量でも十分なパワーと燃費性能を両立しています。
参考)【2024年】スポーツカーおすすめ・人気ランキング一覧30選…