自転車は軽車両に分類されますが、自動車や原動機付自転車と異なり、道路交通法施行令には特定の最高速度が規定されていません。これは自転車が人力で動く乗り物であり、車体が軽く、事故時の被害が他の乗り物よりも相対的に少ないと判断されたからです。道路交通法第22条第1項では「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」と規定されており、自転車もこの「車両」に含まれます。しかし、施行令に自転車の最高速度が明記されていないため、標識がない一般道では理論的には速度制限がないという解釈になっています。
この法的な空白が生まれた背景には、自転車の普及当時の一般的な走行速度が時速20km前後だったことが関係しています。当時は自転車で時速40km以上の速度を出すことが稀だったため、特別な規制が必要ないと判断されたのです。しかし現在、ロードバイクやクロスバイクなどの高性能自転車が普及し、時速40km以上で走行することが珍しくなくなったため、この法制度の矛盾が顕在化しています。
自転車で公道を走行する際、最も重要なのは道路標識による速度制限です。警視庁が2018年3月に公式Twitterで発表した見解によると、「自転車が出せる速度は、道路標識等で指定されている場合はその速度」となります。つまり、時速50kmの標識が掲示されている道路では、その速度まで出してよいということになります。この点で自転車は自動車と同じ扱いを受けており、原付のように30km制限という固定的な法定速度に縛られません。
標識で指定された最高速度を超えて走行した場合、赤切符で検挙される可能性があり、速度違反として最高6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。特に生活道路や学校周辺で時速20~30kmと低く設定されている区間では、ロードバイクのように気軽に時速30~40kmが出てしまう自転車にとって注意が必要です。標識がない場所でも、その道路を通行できる最も速い車両(通常は自動車の時速60km)を基準に考えることが、実務上は妥当だとされています。
自転車で速度違反をした場合の罰則は、道路交通法違反として厳しく定められています。速度超過による違反は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金、安全運転義務違反の場合は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金という規定があります。赤切符での検挙となるため、簡易裁判所ではなく通常の刑事裁判の対象になる可能性もあります。加えて、事故を起こした場合には民事上の損害賠償請求も受けることになり、実際に過去にはマウンテンバイクの事故で9521万円の損害賠償が命じられた事例も存在します。
安全運転の義務についても、道路交通法第70条で明確に規定されており、「ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と定められています。標識がない場合でも、この安全運転義務に違反すれば違反の対象となるのです。
標識がない一般道における自転車の法定速度は存在しませんが、警視庁の見解では「道路標識等がない場合は速度制限はありませんが、速度の出し過ぎは危険。道路環境に応じて、適切な速度で走りましょう」とされています。このガイドラインは法的な最低限度であり、実務上はさらに厳しい基準が適用されます。保険業界が想定する自転車の「常識的な速度」は時速20km程度とされており、これを大きく超える速度で走行していた場合、万が一事故を起こした際に過失相殺で不利な判定を受けたり、保険金が減額される、あるいは支払われないケースもあります。
特に歩行者との衝突事故では、自転車側の速度が20km/h以上の場合、過失割合が大きく増加する傾向があります。実際に下り坂で時速20~30km程度で走行していた自転車が女性と正面衝突した事故では、相手が意識不明の重体となり、加害者に9521万円もの損害賠償が命じられました。この事例からも分かるように、法的に許可された速度と、実際の安全性、そして保険補償の観点から安全だと見なされる速度には大きなギャップが存在するのです。
自転車事故の増加に伴い、法定速度の導入を検討する声も上がっていますが、現在のところ法制度の大きな変更は行われていません。ロードバイクや電動アシスト自転車の普及により、自転車の性能が大幅に向上しているにもかかわらず、法律はそれに対応できていない状況が続いています。電動アシスト自転車は補助動力により時速20km程度までは動力が働きますが、その制限についても議論の途上にあります。
現実的には、自転車利用者は道路標識に厳密に従うことはもちろん、標識がない場所でも安全運転義務を意識し、その時々の道路環境に応じた適切な速度で走行することが求められます。交差点周辺では十分な速度低下、住宅地での走行は時速15~20km程度の低速走行、そして他の交通参加者との共存を心がけた慎重な運転が、自転車の制限速度を補う重要な実行段階となっているのです。
参考資料:法定速度がない理由と現在の法解釈について
「自転車」に法定速度がないのはなぜ? 時速30km制限の「50ccバイク」より速く走っても違法じゃないってホント? | くるまのニュース
警視庁の公式見解と実務的な速度制限について
自転車は100km/hで走っても合法? 原付よりはるかに速く走ってもOKなワケ | TRAFFIC NEWS

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