軽車両は多くの種類に分類されます。以下は、日本の道路交通法で規定されている軽車両の代表的な7種類です。
1. 自転車
最も身近な軽車両で、ペダルを踏むことで車輪を回転させる乗り物です。歴史的には1810年代にドイツのK.ドライスが発明した「ドライジーネ」が最古とされています。道路交通法では「ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車」と定義されており、電動アシスト機能付きであっても出力制限を守っていれば軽車両に分類されます。一般的な「普通自転車」のほか、タンデム自転車、三輪自転車、四輪以上の自転車も存在します。
2. リヤカー
人力で引いたり、自転車の後ろにつないだりして荷物を運ぶ2輪の荷車です。以前は法的な定義が曖昧でしたが、2017年に警察庁が発表した資料で初めて明確に定義されました。具体的には「道路交通法第2条第1項第11号で定める軽車両のうち、乗車装置を備えておらず、物を積載して運ぶために用いる車であって、一定の大きさ以下の原動機を有する普通自動二輪車、原動機付自転車等によって牽引されることが想定されるもの」とされています。鉄製の車体と2輪のゴムタイヤで構成されているのが特徴です。
3. 人力車
人を乗せて人力で引く二輪車です。江戸時代からサービス業として発展し、特に観光地で今も見られます。自転車と同じく人が乗れる軽車両ですが、歩道や自転車道の通行制限に関しては自転車とは異なり、より厳しい規制が適用されます。サイズの大きなベビーカー(長さ120cm、幅70cm、高さ109cmを超えるもの)も「小児用の車」ではなく「人力車」とみなされることがあります。
4. 馬車
馬に引かせて、人や荷物を運ぶ車です。乗用馬車や荷馬車、駅馬車など多くの種類があり、車輪の数は2輪または4輪が基本です。引く馬は1頭だけでなく、2頭以上の場合もあります。幕末時代に日本に伝来して急速に広まりましたが、鉄道や自動車の普及によって衰退し、現在は観光馬車などでしか姿を見られなくなっています。
5. 荷車
荷物を運搬するための車で、一輪車や二輪車、大型の「大八車」(だいはちぐるま)が含まれます。一輪車は押して、二輪車は引いて動かします。手押しの台車や「猫車」(ねこぐるま)も荷車に分類され、相当程度の重量物を運搬できるのが特徴です。東京都では、荷台面積が1.65平米を超えるものを「大車」として分類し、積載重量制限が設けられています。
6. そり
地上を滑走させて人や物を運ぶ道具です。人力で引くほか、犬や馬などの動物に引かせることもあります。「馬そり」や「犬ぞり」、「牛そり」など、使役動物に牽引されるものも軽車両に含まれます。車輪のついた乗り物では進みづらい雪上や砂上などでも動きやすいという利点があります。
7. 山車(だし)
神社の祭礼のときに引く、人形や花を飾り付けた屋台です。「壇尻(だんじり)」や「山(やま)」、「屋台(やたい)」など、地域によってさまざまな呼び方があります。お祭りでよく見かける「神輿」は担ぐのに対し、山車は引くのが大きな違いです。
上記の7種類以外にも、軽車両に分類される乗り物があります。
牛車
牛に引かせて、人や荷物を運ぶ車です。馬車と同様の構造ですが、引く動物が牛である点が異なります。日本では昔、貴族の移動手段として使用されていました。
原動機を用いる軽車両
令和元年の道路交通法改正により、特定の条件を満たす電動式の小型車両も軽車両に分類されるようになりました。これは電動荷車、電動リヤカー、電動アシスト人力車などが該当します。条件としては、車長4.0m以下、車幅2.0m以下、高さ3.0m以下で、運転者が歩行しながら運転する方式、かつ運転者が車から離れた場合に原動機が停止するものとされています。
牛および馬
人が引いており、または騎乗しているもの。「象、きりんその他大きな動物をひいている者」は「車道を通行すべき行列」に該当します。
他の車両に牽引される被牽引車(トレーラー)
自動車または原動機付自転車に牽引されている場合は、牽引する自動車等の一部とされますが、単独に切り離されている状態では軽車両の扱いとなります。
道路運送車両法では、軽車両に対して厳密な寸法基準が定められています。この基準に基づいて、軽車両であるかどうかが判定されます。
人力によるもの(自転車も含む)
空車状態で、長さは4.0m以下、幅は2.0m以下、高さは3.0m以下です。
畜力によるもの
空車状態で、長さは12.0m以下、幅は2.5m以下、高さは3.5m以下です。馬車や牛車などの動物に引かせるタイプはこの基準が適用されます。
軽車両には、自動車や原動機付自転車と同様の交通ルールが適用されます。しかし、種類によって異なるルールが存在することは、あまり知られていません。
通行できる道路の制限
軽車両は基本的に、歩道ではなく車道を通行しなければなりません。ただし、普通自転車には例外が適用され、特定の条件下では歩道を通行することが認められています。例えば、12歳以下の子ども、高齢者、障害者が運転する場合、または車道の状況に照らして自転車の通行の安全を確保するため、歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合です。他の軽車両(普通自転車以外の自転車、人力車、荷車など)は、自動車と同様に歩道を通行できません。
通行帯の指定
軽車両は、車両通行帯の設けられた道路では最も左の車両通行帯(第一通行帯)を通行しなければなりません。路線バス等優先通行帯やその他の専用通行帯がある場合においても、全ての軽車両は最も左の車両通行帯を通行することになります。
二段階右折の義務
軽車両が交差点を右折する場合、原動機付自転車のように条件付きではなく、常に二段階右折をしなければなりません。これは「あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行する」と道路交通法第34条第3項に規定されています。この厳しい規定は、軽車両の走行速度が相対的に遅いため、交差点内での長時間滞在を避けるために設けられたものと考えられます。
並進の禁止
軽車両は並進してはならないと規定されています。ただし、追越しなど一時的な並進は例外として認められています。
「軽車両を除く」の標識
「車両通行止め」や「車両進入禁止」といった標識が設置されている場合でも、「軽車両を除く」という補助標識が付されていれば、軽車両はその道路を通行することが認められています。これは軽車両の走行速度や走行性が一般的な自動車より低いことに鑑みた措置です。逆に「自転車以外の軽車両通行止め」という標識であれば、自転車のみの通行が認められます。
軽車両には積載重量についても厳密な規制が設けられており、車両の種類ごとに上限が定められています。これは軽車両の安定性と他の交通との安全性を確保するための規制です。
馬車・牛車の積載重量
4輪の馬車・牛車は重量2,000kg以下、2輪の馬車・牛車は1,500kg以下と定められています。
大車の積載重量
荷台の面積が1.65平米以上の荷車(「大車」)の積載重量は750kg以下です。
その他の荷車の積載重量
馬車・牛車および大車以外の荷車は450kg以下の積載制限が設けられています。
自転車による牽引制限
軽車両でリヤカーを牽引する場合のリヤカーの重量は120kg以下に制限されています。荷台等のある自転車の場合、積載重量は30kg以下とされています。
寸法上の制限
積載物に関しては、重量制限だけでなく寸法制限も設けられています。例えば、荷台等のある自転車の場合、長さは荷台等の長さに0.3mを加えたもの以下、幅は荷台等の幅に0.3mを加えたもの以下、高さは積載した状態で2.0m以下とされています。牛馬車や大車の場合はさらに寸法が大きく設定されており、長さに0.6mを加えたもの以下となっています。
軽車両が夜間に安全に走行するために、灯火や安全装備に関する規制が設けられています。これらの基準を満たさないと交通違反となります。
自転車の灯火基準
自転車には、白色又は淡黄色の前照灯が必要です。光度は前方10mの距離にある障害物を確認できる程度の明るさが求められています。尾灯は赤色で、夜間に後方100mの距離から点灯を容易に確認できる光度にあるものとされています。
反射器材の選択肢
尾灯の代わりに、赤色又は橙色で、夜間に後方100mの距離から前照灯の反射光が容易に確認できる反射器材を備えることでも基準を満たすことができます。後面の幅が0.5メートル以上の自転車・軽車両にあっては、両側にそれぞれ1個以上(計2個以上)備えることが義務付けられています。
荷車・人力車・馬車の灯火
荷車、人力車、そり、牛車、馬車なども、夜間は灯火や反射器材類が必要とされています。ただし、牛および馬(人が引いており、または騎乗しているもの)は夜間でも灯火は不要です。
制動装置(ブレーキ)
自転車に該当する軽車両は、制動装置(ブレーキ)と警音器(ベル)を備えなければなりません。乗用馬車、乗用牛車、乗用馬そり、乗用三輪自転車、乗用のリヤカーなども、適当なブレーキを備えなければならないと規定されています。
軽車両に分類されないもの、つまり歩行者として扱われるものが存在することも知っておく必要があります。これらは一見すると軽車両に似ていますが、法的には異なる分類です。
車いと歩行補助用具
身体障害者用の車いす、シニアカー、高齢者向けの歩行補助車(シルバーカー)は軽車両ではなく、歩行者扱いとされています。四輪歩行器や歩行器も同様です。
乳幼児用の車
一般的な構造の乳母車、ベビーカー、大型乳母車(お散歩カー)、避難車は小児用の車として分類され、軽車両ではなく歩行者扱いです。ただし、6歳未満の子どもが乗車し、特定の大きさ(車輪がおおむね16インチ以下)を満たす自転車は例外的に軽車両扱いとなります。
ショッピングカートとキャリーカート
ショッピングカートや買い物以外の空港などにおける手荷物用のキャリーカート、トロリーバッグ、トロリーケースは軽車両ではなく、歩行者扱いとされています。
遊具扱いのもの
ローラースケート、一輪車、スケートボード、キックスケーター(キックボード)は軽車両ではなく、遊具として扱われています。これらを「交通のひんぱんな道路」で使用すると、交通法76条4項3号に基づき5万円の罰金に処される可能性があります。
軽車両の定義と交通ルールの詳細 - ソンポ直営サイト
軽車両の種類とルール解説 - カーナリズム
道路交通法 - 電子政府の総合窓口
充実した情報を確認しました。記事の構成とタイトル、そして各セクションの情報について十分に把握できました。それでは、指示に従って記事を作成します。