初代フォーチュナー(AN50/AN60型)は2004年から2015年にかけて販売された、トヨタが新興国市場に投入した初の高級SUVです。フロントマスク以外は初代ハリアーに似たデザインを採用しながら、ボディ下部のボックスフレーム構造により、ハイラックスと同等の走破性能を実現しました。2008年8月には最初のフェイスリフトが実施され、フロントグリルやヘッドライトが刷新されています。
2011年7月には2度目のマイナーチェンジが実施され、タイで新型が発表されました。この進化の過程で、フォーチュナーはトヨタの新興国戦略の中核モデルとして確立されていきました。エンジンラインナップも地域によって異なり、日本向けの2.7Lガソリン、V型6気筒の4.0Lガソリン、2.5Lおよび3.0Lのコモンレール・ターボディーゼルが用意されました。
初代の魅力は何といっても、価格の安さと信頼性の高さです。ランドクルーザーやプラドに並ぶオフロード性能を持ちながら、より手頃な価格帯に設定されたことで、新興国ユーザーに広く受け入れられました。
2015年にオーストラリアとタイで発表された2代目フォーチュナー(AN150/AN160型)は、キーン・ルックデザインを採用し、モダンな外観へと進化しました。細めのヘッドライトはカローラにも使われたデザイン言語が共通し、全体的に洗練された印象を与えています。
現行モデルのパワートレインは、2.4Lおよび2.8Lの2種類のディーゼルエンジン、並びに2.7Lおよび4.0LのデュアルVVT-i ガソリンエンジンのラインナップを展開。特に2.8Lディーゼルターボは最高出力177PS、最大トルク450N・mを発揮し、現行型ランドクルーザープラドと同じエンジンを共有しています。
2020年には大幅改良が施されました。この改良により、先進運転支援システム(ADAS)や車両安定制御システムなど、現代的な安全技術が搭載されました。内装もハイレベルで、ブラック基調の落ち着いた色使いながら、3列目でもゆったり座ることができる広いキャビンを実現しています。3列目シートを倒すと、広いラゲッジスペースを確保できることも、ファミリー層から支持されているポイントです。
フォーチュナーの最大の特徴は、その優れたオフロード走破性能です。ハイラックスと共通のシャシーを採用することで、パートタイム4WDシステムにローレンジが装備されており、最低地上高は279mmと非常に高く設定されています。実は水深700mmの川を渡ることも可能な、本格的なオフロード性能を持っているのです。
後輪駆動をベースに、モード変更で前輪にも駆動力を伝える仕組みになっており、舗装路でも高い安定感を実現。さらに悪路走行時はリアデフロックを活用することで、トラクションが一つのタイヤに集中する場面でも前に進む能力を持っています。最大牽引重量が3,000kgを誇ることも、商用や重い荷物の運搬ユースケースで活躍する理由になっています。
ボディ下部には装甲が施されており、ダメージを受けやすい重要部品を保護。複雑な悪路でサスペンションがしなやかに動く設計により、ユーザーから「堅牢かつ有能」と評価されています。
2026年内のワールドプレミアが予想される次期フォーチュナーは、デザイン面で大きな進化が見込まれています。縦スラットが多数入った大型グリルと、全幅LEDデイタイムランニングライト、スリムなヘッドライトを融合させたフロントエンドが予想されており、BMW『X7』を彷彿とさせるモダンで高級感のあるルックスになると言われています。
特に注目されるのは、エンジンラインナップへのマイルドハイブリッド技術の導入です。既存の2.4Lターボガソリンユニットに加え、新しい1GD-FTV 2.8Lディーゼルエンジンに48Vバッテリー、小型電気モーター、統合スタータージェネレーターを組み合わせたシステムの採用が予想されています。この革新的な技術により、燃費が現行比で約10%向上すると予測されており、より経済的で環境性能の高いSUVへと進化する見込みです。
次期型のプラットフォームは現行のIMVを継承し、ハイラックスとの共用を続けるものと見られています。側面には力強いキャラクターラインや、ボディをえぐる窪みが特徴的で、後部にはスポーティなルーフスポイラーと全幅LEDストリップライトに接続されるテールライトが装備される予想です。
多くの自動車愛好家が疑問に感じるのが、なぜフォーチュナーが日本で正式販売されないのかという点です。理由の一つは、日本市場にすでにハリアーやランドクルーザープラドといった、堅牢性と高級感を兼ね備えたSUVラインナップが存在することです。フォーチュナーは基本的に新興国ユーザーのニーズに特化した設計であり、日本市場の厳しい排ガス規制や装備基準に適合させるコストと、販売ボリュームのバランスが見合わないと判断されているのです。
さらに、ハイラックスとプラットフォームを共有する設計は、商用性を重視した作りのため、日本の都市部でのユーザーニーズとの距離があります。ただし、日本の自動車愛好家の間では、その堅牢性と実用性への評価は高く、並行輸入車の流通も見られています。
独自の視点として注目すべき点は、トヨタが新興国市場で確立したフォーチュナーのポジションが、実は日本市場では必ずしも必要ではないということです。日本ユーザーはハリアーの高級性やプラドのオフロード性能、あるいはRAV4のバランスの良さなど、より明確に層分けされたSUVを求めています。フォーチュナーはこれらの中間に位置する独特のポジションを持っており、日本市場での明確な立場が定まりにくいという経営判断がなされていると考えられます。
フォーチュナーが新興国で長年にわたり支持されている理由は、優れたコストパフォーマンスにあります。ハイラックスやプラドの堅牢性に匹敵するオフロード性能と、7人乗りの広い室内空間を両立しながら、プラドよりも手頃な価格帯に設定されているからです。
信頼性の面でも、ディーゼルエンジンを搭載したモデルは10万kmを超える走行距離でも問題なく走行するユーザー事例が多数報告されています。これはトヨタの信頼性文化と、シンプルかつ堅牢な設計哲学に基づいています。商用車としての実績も豊富で、タクシーやレンタカー業界での採用例も多く見られ、その耐久性が実証されています。
さらに、アフターサービスの充実も大きなポイントです。タイやインドネシア、インドなどの販売地域では、トヨタのディーラーネットワークが構築されており、部品供給や修理サービスが容易に受けられる環境が整っています。
参考:フォーチュナーの世界的な販売実績についてはWikipediaの車種年表に詳しく記載されています。
トヨタ・フォーチュナー - Wikipedia
参考:次期フォーチュナーの最新情報と予想デザインについてはResponse.jpに掲載されています。
日本発売も期待! トヨタの7人乗り高級SUV『フォーチュナー』

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