2025年2月25日にトヨタから発表された新型ピクシストラックの改良版は、国内の最新法規に対応することが最大の特徴です。具体的には、後退時における事故防止を目的とした「後退時車両直後確認装置」の装着が義務化されました。この装置は、バックカメラ、検知システム、またはミラーのいずれかの方式で対応が可能です。
新型ピクシストラックでは、クリアランスソナー(超音波センサーで距離を検知するシステム)のミュート警告表示をメーターに追加。ソナーミュート用スイッチは従来のラッチ式から、押している間だけONになるモーメンタリ式に変更されました。この変更により、操作者の意図しない常時ON状態を防ぎ、安全性が向上しています。
さらに重要な変更が側面衝突時の乗員保護強化です。トヨタは実際に重さ約2トンの台車を時速55km/hで車体側面に衝突させるテストを実施し、バーチャル人体モデル「THUMS」による傷害解析を行います。今回の改良では、センターピラーガーニッシュ(側面の内部柱を覆う装飾カバー)とアッパーサイドガーニッシュ(サイドビューデザイン)が追加され、側面衝突時の衝撃緩和性能が強化されました。これらは能登半島地震等の教訓を踏まえた安全基準の適用を反映しています。
新型ピクシストラックの価格改定は、2023年4月に発表された延期されていた改定が実行されたものです。原材料費の高騰、物流費の上昇、円安の影響により、グレードごとに6万500円から6万6,000円の値上げが実施されました。
改良後の新型ピクシストラックのラインアップは、スタンダード、スタンダード「農用スペシャル」、エクストラの3グレードとなっています。最廉価モデルは「スタンダード」の5速MT・FR駆動で1,028,500円からの設定です。「スタンダード農用スペシャル」は4WD専用で、5速MT車が1,188,000円、CVT車が1,265,000円。最上位の「エクストラ」はFR・4WD両駆動方式が選択でき、FR5速MT車が1,199,000円、4WD CVT車が最高の1,408,000円となっています。
重要な変更点として、従来設定されていた「スマートアシスト非装着車」が全グレードで廃止されました。これに伴い、スタンダードグレードに設定されていた「エアコンレス」オプションも同時に廃止されています。すべての新型ピクシストラックにスマートアシストが標準装備されることで、安全性の底上げが図られました。
新型ピクシストラックは、2021年12月の大幅改良で新採用されたエンジンとトランスミッション構成を継承しています。搭載エンジンは直列3気筒660cc「KF型」で、最高出力46馬力、最大トルク6.1kgmのスペックです。トランスミッションは5速マニュアルとFR車専用に新開発されたCVT(無段変速機)の2種類から選択可能。
CVTの特徴は、変速比幅を拡大することで、発進時はローギヤ化して力強い発進性能を実現する一方、駆動力が途切れない無段階変速によってスムーズな加速を実現しています。登坂時でも快適な運転が可能な設計となっており、軽トラックながら実用的な走行性能を備えています。
燃費性能については、WLTCモード測定値で5速MT車が15.6km/L、CVT車が16.5km/Lとなっています。前モデルがすべてのグレードで15.3km/Lであったのに対し、新開発CVTの採用により若干ながら改善されました。この燃費性能は、軽トラック市場では競争力のあるレベルです。
トヨタ軽トラ新型ピクシストラックの最大の特徴は、その優れた積載能力です。荷台フロア長が2,030mm確保されており、クラス最大級の積載スペースを実現しています。荷台寸法は長さ1,940mm×幅1,410mm×高さ285mmで、様々な荷物に対応可能な設計となっています。
実際の積載能力を示す具体例として、りんごコンテナ(640mm×320mm×320mm)なら48個、みかんコンテナ(522mm×365mm×309mm)なら54個、20L ポリタンクなら40個が積載可能です。さらに関西間の畳(1,905mm×955mm×60mm)も縦横置き両対応で運搬できるなど、農業や小売業など様々な業種のニーズに対応します。
荷台には25個のフック、大型ゲートハンドル、あゆみ板掛けテールゲート、格納式テールゲートチェーンが標準装備されています。さらに実用的なのが、LED大型荷台作業灯です。首振り機能付きで夜間の作業や積み下ろしに大変便利であり、エクストラとスタンダード農用スペシャルグレードには標準装備、スタンダードグレードにはメーカーオプションで設定されています。
軽トラック使用者にとって重要な防錆性能も、新型ピクシストラックの大きな特徴です。アッパーボディ表面積の100%に防錆鋼板(亜鉛メッキ鋼板)が使用されており、サビの発生を最初から抑え込む工夫がされています。
塗装プロセスも入念で、強力な防錆効果のあるカチオン電着塗装をベースとし、その上に中塗りと上塗りの3層構造となっています。この多層塗装により、塩害や融雪剤によるサビを効果的に防止。さらに樹脂製の前面パーツを採用することで、飛び石によるサビも発生しない設計です。
下回りのフレーム部分にも防錆鋼板が使用されており、泥道や雪道を多く走行する環境での使用に備えた強化がなされています。これらの標準的な防錆対策に加え、メーカーオプションでより強力な「ストロング防錆」仕様(荷台フルメッキ/厚メッキ加工)が27,500円で設定されており、過酷な使用環境での対応も可能です。
参考リンク:トヨタ公式ピクシストラック情報ページでは、詳細なスペック、カラーバリエーション、オプション設定などが確認できます。

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