新型スカイラインV38型は日産の中期経営計画「The Arc」の核として開発が進められており、2025年から2026年の間に登場予定です。正式なアナウンスは出ていませんが、報道各社の動向と日産の経営戦略から以下のスケジュールが有力視されています。
2025年春〜初夏にティザー公開が予想され、2025年秋（ジャパンモビリティショー等での発表が濃厚）の正式発表を経て、2025年末〜2026年初頭の発売、2026年春以降の納車開始という段階的な流れが想定されています。これまでのスカイラインと異なり、新プラットフォーム、新制御システムの採用により、予測に幅が生じる可能性があります。
従来のセダンフォルムから大きく変わり、クロスオーバースタイルへの転換が予想されています。インフィニティのEVコンセプト「Vision Qe」の意匠を踏襲した設計により、ロー＆ワイドなプロポーションと滑らかなファストバック形状が特徴です。
フロント周りは横一文字の彫刻的LEDランプで「光の彫刻」を表現し、コンセプトカー「IMs」に類似した次世代的デザインに。リア側はダックテール気味の短いオーバーハングで、空力性能と情緒的な魅力を両立させています。従来の丸型4灯テールランプはプリンシプルを保ちながらも、モダンな解釈での進化が期待されており、多層パール系やマット調の新色採用も濃厚です。
インテリアはデジタルプレミアム化が進められ、12.3インチ級のデュアルディスプレイ（湾曲設計でメーター＋センター統合）が搭載予定です。ハプティクス対応タッチパネルにより、物理ボタンを極限まで排したスマートなキャビンが実現。Amazon Alexaとの音声制御連携により、ナビゲーション・音楽・エアコン操作がシームレス化されます。
従来の「操縦席」から「デジタルに調律されたパーソナルサロン」へと進化したコンセプトで、乗り込んだ瞬間に空気が柔らかくなり、呼吸がゆっくりになるような居住体験を提供。新しいスカイラインの内装設計は、単なる機能性を超えた「感覚の質」に主眼を置いています。
最も注目される安全機能は「プロパイロット3.0」の搭載予定です。この次世代運転支援システムは高速道路でのハンズオフドライブを条件付きで実現し、ナビゲーション連動による合流・カーブ減速の自動支援が可能に。さらにスマートフォンアプリを活用した自動駐車機能も備わります。
360°センシングシステムにより全方位安全監視を実現し、インテリジェントエマージェンシーブレーキ、アクティブレーンコントロール、ドライバー状態検知（眠気・集中力検知）、後方自動ブレーキ・周囲接近警告など、多層的な安全防御が用意されます。これらの先進運転支援システムは「ドライバーを信じながら支える」という理念に貫かれており、単なる自動運転ではなく、人とクルマの信頼関係を構築するシステムとして機能します。
次期スカイラインのパワートレインはEV主体での展開が予想されており、e-POWERハイブリッドが並行ラインナップされる可能性も残されています。EVモデルは複数のバッテリー容量（65kWh・90kWh想定）から選択可能で、最大出力は290kW（約394ps）、最大トルクは560Nm〜600Nmに達するスポーツセダン水準の性能を実現。
0-100km/h加速は5秒前後の瞬発力を発揮し、EVならではのターボラグなしの「シームレスな加速」が特徴です。航続距離はWLTCモード換算で500〜610km、e-POWER仕様の実燃費は18〜21km/L前後と予想されており、電動化された新時代のスカイラインが「長く走れる走りの喜び」を両立する設計になっていることが明かされます。このパワートレイン進化は、スカイラインが環境対応と走行性能を調和させた世代交代を遂行することを示しています。
新型V38の想定価格帯は、ベースモデル（EV・65kWh・2WD）で約600万円〜、e-POWER中間モデルが約680万円前後、プレミアム内装＋大容量バッテリー仕様が740〜790万円、NISMOモデル（仮称400R後継）が800〜900万円超という層構成が予想されています。これは現行のフェアレディZ RZ34 NISMO（約920万円）と同等レベルの価格帯であり、4ドアセダンとしては高機能セグメントへの進出を意味します。
競合車としてはトヨタ・クラウン、レクサスIS、テスラ・モデル3、BMW i4が挙げられます。クラウンはSUV特化で大衆層向け、ISはこれからの電動化対応、モデル3は加速性能で突出、i4は欧州プレミアム水準という分散状況にあり、スカイラインV38が「感覚に寄り添う速さ」を体現できれば、新しいポジショニングの優位性を獲得できる可能性があります。
■ 新型スカイラインの想定価格帯
スカイラインV38型の登場は、単なるモデルチェンジではなく、日産の経営戦略そのものを反映した象徴的な出来事です。中期経営計画「The Arc」で掲げられた「ファミリー開発コンセプト」により、新型スカイライン、グローバルCセグメントSUV、インフィニティ・コンパクトSUVが共同開発される予定。
この戦略は、プラットフォーム共有による開発効率化と、独立したブランド個性の両立を目指すものであり、日産がグローバル市場での競争力を再構築する過程を示しています。さらに、現行V37型（2013年デビュー）が12年目を迎えているタイミングでの登場は、EVへの業界全体のシフトとパーソナルカーの再定義という時代背景を背負っています。
V38スカイラインが「名前を守り抜いた存在」として、電動化時代に「走る歓びの本質」を問い直す存在になるかどうかが、今後の日産ブランド価値を左右する要となるのです。
