クラウンクーペ旧車の魅力と歴史を徹底解説

クラウンクーペはトヨタが展開した希少な2ドアハードトップの歴史的モデルです。ピラーレス設計とオペラウィンドウを特徴とするこの旧車の魅力、スペック、現在の相場価格について、なぜ今も多くのマニアに愛され続けているのでしょうか?

クラウンクーペ 旧車について

クラウンクーペの特徴
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ピラーレスハードトップ設計

クラウンクーペは1967年の3代目から1979年の6代目まで、計13年間にわたって展開された貴重な2ドアハードトップです。厳密にはクーペではなく「2ドアハードトップ」と称されており、サイドウィンドウに枠がなく、ボディサイドに柱(ピラー)がない設計が最大の特徴です。

オペラウィンドウの優雅さ

6代目クラウンクーペの特筆すべき機能として、Cピラーに開けられた「オペラウィンドウ」が挙げられます。この小型の四角い窓はリアクォーターウィンドウ部分に設置され、後席の視認性を確保しながら豪華な雰囲気を醸し出す独特のデザイン要素となっています。

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フラッグシップのステータス

クラウンはトヨタを代表するフラッグシップモデルであり、当時「いつかはクラウン」というキャッチコピーが象徴するように、日本の高級車の代名詞でした。その中でも2ドアハードトップは、豪華さとスポーティさを兼ね備えた最上級の存在として位置づけられていました。

クラウンクーペ旧車の発展経歴

 

クラウンクーペの歴史は1968年秋に3代目クラウン(MS50系)に2ドアハードトップ(MS51)が追加設定されたことに始まります。当初のグレード展開は、セダンのオーナーデラックスに相当するハードトップ(標準モデル)と、前輪ディスクブレーキやタコメーターを備えた高性能版のSLの二段階でした。搭載エンジンは直列6気筒のSOHC 2リッター仕様で、標準モデルはシングルキャブレターで最高出力105PS、SLはSUツインキャブで125PSを発生。変速機は4段フロアMTと3段フロアATが用意されました。

 

1969年のマイナーチェンジでは、フロントエンドのデザイン変更に加えて115PSを発生するストロンバーグツインキャブユニットを搭載し、パワーステアリングを標準装備とするトップグレード「スーパーデラックス」が追加されました。わずか3年4か月というこのモデルサイクルでも、クラウンの人気は揺るがず、オーナードライバー層を中心に需要を確保しました。

 

その後、4代目、5代目と世代を重ねながらハードトップラインは継続されました。特に注目されるのは、1979年の6代目クラウン(MS60系)です。四角いボディラインが特徴のこのモデルでは、直線基調の堂々とした外装に加えて、先進的なデザイン処理が随所に見られました。しかし6代目を最後に、1983年の7代目(S120系)ではハードトップラインが廃止され、クラウンクーペは歴史に幕を閉じることになります。

 

クラウンクーペ旧車のスペックと仕様

初代の3代目クラウンクーペが搭載していたのは直列6気筒のM型エンジンで、排気量は2リッター。上級グレードのSLではSUツインキャブレターが装着され、最高出力は125PS(5800rpm)、最大トルクは16.5kgm(3800rpm)となっていました。ノーマルエンジンと比較して20PS/0.5kgmの出力向上を実現し、セダンの「クラウンS」と共通のエンジンスペックでした。トランスミッションは4速MTと「トヨグライド」と呼ばれる3速ATの選択が可能でした。

 

ボディサイズは4ドアセダンをベースに全長を55mm短縮した設計で、伸びやかな2ドアクーペフォルムを実現していました。内装はクラウンの名に恥じない豪華な仕上がりが特徴で、上級グレードのシートには肌触りの良いファブリックが採用され、パワーウインドウも標準装備。インパネには油圧計を組み込んだタコメーターを備え、高級感を演出していました。

 

当時の価格帯は、3代目クラウンクーペの標準モデルで約120万円程度、SLグレードで約150万円程度と、セダンに比べてプレミアムな価格設定が行われていました。これは豪華性と限定感の両立を狙ったトヨタの戦略的価格設定であり、購買層を厳選する効果を持っていました。

 

クラウンクーペ旧車の希少性と流通状況

クラウンクーペが市場に占める割合は、セダンと比較して極めて限定的でした。販売台数ベースでは、全クラウン販売の5%未満に留まっていたと推定されます。この低い販売比率が今日の希少性につながっており、旧車市場での価値を大きく高めるファクターとなっています。

 

特に6代目クラウンクーペ(MS60系)は、発売から40年以上が経過した現在、状態の良いモデルは市場ではほとんど見かけません。理由としては、①最初から販売台数が少ないこと、②経年劣化による廃車処分の進行、③懸念される修理費用から放置・放棄されたオーナー車の存在が挙げられます。

 

中古車市場における流通量は年に数台程度に限定されており、大手オークションサイトやディーラーを通じた取引は稀です。主流は旧車専門店やマニア向けの直取引であり、価格交渉の余地を含む個別対応が一般的です。このため、相場形成が難しく、出品される車両ごとに大きな価格差が生じる傾向にあります。

 

クラウンクーペ旧車の現在の相場価格

クラウンクーペの現在の買取相場・査定価格は、年式と状態により大きく変動します。一般的なトヨタ クラウン全体の買取相場で見ると、2005年式で5万円以下から15年落ちの2010年式で12~115万円、さらに20年落ちの2005年式では5~25万円程度とされています。しかし、クラウンクーペのような2ドアハードトップは希少性プレミアムが加算されるため、同年式のセダンと比較して20~50%程度高い価格が見込めます。

 

6代目クラウンクーペ(1979~1983年)の場合、状態が悪いもので50~80万円、良好な状態で150~250万円、レストア済みの高品質モデルで300~450万円程度が目安です。特に完全なオリジナル状態で走行距離が少ないモデルは、希少性評価により400万円を超える価格が提示されることもあります。

 

相場を左右する要因としては、①ボディカラー(メタリックシルバーなどの人気色は高評価)、②内装のレザーシート保存状態、③エンジン本体の整備履歴、④修復歴の有無が重要です。特にクラウンクーペは2ドアハードトップのため、横転時の安全性懸念から修復歴ありの車両は大幅な減価対象となります。

 

クラウンクーペ旧車が廃止された背景と後継モデル

クラウンクーペが1983年を最後に廃止された理由は、市場構造の大きな変化にありました。1980年にはトヨタの新型スポーツカー「レパード」が発売され、2ドアのスペシャルティカーの地位をこちらに委譲する形となったのです。さらに同じく1983年には、既に初代「ソアラ」が発売されており、高級2ドアクーペのカテゴリーはソアラによって完全に統合されることになります。

 

競合メーカーの日産セドリック/グロリアについても同様で、1979年のフルモデルチェンジでセドリック/グロリアの2ドアクーペは廃止となり、2ドアのスペシャルティカー機能は新型「レパード」へ引き継がれました。業界全体で、市場規模の小さい2ドアハードトップを廃止し、より規模の大きいセダンとスポーツカーへの集約化が進行していた時代背景があります。

 

この時期は、バブル経済へ向かう日本で、豪華性よりも実用性とステータスを兼ね備えたセダンへの需要がシフトしていった過程でもありました。クラウンクーペは高級感と限定性を象徴するモデルでしたが、市場全体の効率化と製品ラインナップの絞り込みの中で、歴史の舞台から退場することになったのです。

 

クラウンクーペ旧車の復活可能性と今後の評価

昨今の旧車市場ブームにおいて、クラウンクーペへの関心は再び高まりつつあります。理由としては、①手頃な価格帯での購入が可能であること、②オリジナリティの高い日本の高級クーペモデルであること、③メンテナンスパーツの供給が比較的容易であることが挙げられます。しかし完全な新モデル復活の可能性は低いと見られています。

 

現在のトヨタは、プレミアム層向けの2ドアクーペをレクサスのLCモデルで展開しており、通常のクラウンラインアップにおいて2ドアハードトップの復活計画はありません。むしろ旧車マニアやコレクターの間での評価向上が進み、保存価値を高めるシナリオが最も現実的と言えるでしょう。

 

一部の自動車評論家からは、クラウンクーペのようなピラーレス2ドアハードトップの美学を現代の安全基準と融合させた新型モデルへの提案がなされていますが、商業規模と採算性の課題により実現の見通しは立っていません。むしろ既存のクラウンクーペモデルを適切に保全・修復し、旧車資産として次世代へ継承することが、トヨタとしても望ましい方針と考えられています。

 

参考情報:クラウンの歴史と現在の評価について詳しく知りたい場合
「トヨタ「クラウン」にクーペがあった!? かつてクーペモデルの歴史」
クラウンクーペ旧車の詳細スペック比較と査定参考情報
「カーセンサー:クラウンクーペ中古車情報」
参考情報:懐かしい日本の2ドアハードトップについての詳細解説
「GAZOO連載:懐かしい日本の2ドアハードトップ」

 

 


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