クーラント液 色 混ぜるときの安全管理

クーラント液の色の違いは何を意味し、異なる色を混ぜると何が起きるのか。メーカー別の色選択と混合時のリスクについて、正しい知識を持つことで車のトラブルを避けられるのではないでしょうか。

クーラント液 色 混ぜる際の基礎知識

クーラント液のタイプ別色分類
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ロングライフクーラント(LLC)

赤・緑色で2年ごとの交換推奨。エチレングリコール主成分。トヨタ赤、日産・マツダは緑を使用

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スーパーロングライフクーラント(S-LLC)

青・ピンク色で7~10年の長寿命。プロピレングリコール主成分。最新車に採用される傾向

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色付けの実際の目的

液面確認、漏れ箇所の特定、冷却系統の錆診断に使用。視認性向上で安全性と点検効率が向上

クーラント液 色による分類と成分の違い

 

クーラント液の色には明確な理由があります。赤や緑のロングライフクーラント(LLC)と、青やピンクのスーパーロングライフクーラント(S-LLC)は、主成分となるエチレングリコールとプロピレングリコールが異なります。これらの違いは耐用年数と防錆剤の配合比にあり、S-LLCの方がより優れた防錆性と耐久性を備えています。

 

一般的にトヨタはピンク、日産・ホンダスズキスバル・三菱はスーパーLLC青、マツダは緑のクーラント液を採用しています。メーカーによって色が異なるのは、整備時に誤混合を防ぎ、車種ごとに適切な製品を使用するためです。

 

クーラント液 色を混ぜると起きる茶色への変色

異なる色のクーラント液を混ぜると、目に見える変化が起こります。赤と緑を混ぜたり、青とピンクを混ぜたりすると、濁った茶色や黒に近い色へ変色してしまいます。この変色は単なる色の変化ではなく、クーラント液本来の利点を大きく損なう問題です。

 

クーラント液が汚れているかどうかを目視で判断することが困難になり、冷却系統の故障を見落とす可能性が高まります。さらに、液漏れが発生した際、本来は鮮やかな色で漏れ位置を素早く特定できるはずが、濁った色では発見が遅れてしまいます。

 

クーラント液 色の同種混合は問題が少ない理由

同じタイプのクーラント液であれば混ぜても機械的な故障は起きません。赤と緑の同士、または青とピンク同士を混ぜても、冷却性能や防錆性能には実質的な悪影響がないとされています。ただし、色が変わってしまうため、整備の専門家でも見た目による診断ができなくなってしまいます。

 

だからこそ、同じタイプでも色が変わることを避けるため、車に指定されているクーラント液と同じ色を選ぶことが推奨されているのです。緊急時に色が異なるクーラント液を混ぜても走行自体には支障がありませんが、後に全て抜き出して交換する必要が生じる可能性があります。

 

異なるタイプ混合時のリスク:旧車への新タイプ投入の危険性

赤・緑系のクーラント液が指定されている旧車や古い車にスーパーロングライフクーラント(S-LLC)を使用すると、予期しないトラブルが発生することがあります。S-LLCはロングライフクーラントより浸透性が高いため、劣化したゴムシールや冷却水ホースの接合部からにじみや漏れが生じてしまいます。

 

このリスクは旧車ユーザーが新しいクーラント液に交換する際に特に注意が必要です。高性能=すべての車に対応という認識は間違いで、車の年式と冷却系統の部材に合わせた選択が重要です。逆に新しいS-LLC指定車に赤・緑系を入れることは問題が少ないため、判断基準を正確に理解することが安全な整備につながります。

 

クーラント液 色選びと適切な補充方法

クーラント液の補充は単に色を合わせるだけではなく、濃度管理も含めた正確な作業です。購入したクーラント液が希釈済みタイプであれば、リザーバータンクに直接注ぐことができます。一方、濃縮タイプの場合は水で希釈してから使用する必要があります。

 

ここで重要なのが、水道水を使用してはいけないという点です。水は凍結時に約10%膨張し、ホースやタンク、ウォーターポンプなどの重要部品を破壊する可能性があります。また、水は防錆剤を含まないため、金属部品の内部錆を招き、ラジエーター詰まりやウォーターポンプの早期摩耗の原因となります。希釈にはメーカー指定の純水または蒸留水を使用することが必須です。

 

クーラント液 色の視認性と整備診断への活用

クーラント液の色は、単なる識別手段以上の役割を持っています。旧車や長期放置車の冷却系統が錆びている場合、クーラント液が暗い褐色に変色することが知られています。この変色が見られたら、冷却系統内部の劣化が進行している警告信号となります。また、油分が浮いている、不透明で濁っているなどの外観も、エンジン内部のトラブルを示唆する重要な情報です。

 

これらの診断情報を正確に読み取るためには、元の色のクーラント液を保つことが前提条件となります。色を混ぜて変えてしまうと、この診断機能が失われ、深刻な問題を見逃すリスクが高まります。定期的なクーラント液の色と状態確認は、予防整備の基本です。

 

参考:クーラント液についての詳細情報
CARTUNEマガジン「クーラントの色には意味がある?」
参考:クーラント液・冷却水の交換と補充方法
チューリッヒ「クーラント液・冷却水(エンジン)の交換・補充」

 

 


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