重量車燃費基準2025と車両選び最新動向

2025年度に強化される重量車の燃費基準は、トラック・バス利用者にどのような影響を与えるのでしょうか。省エネ法に基づく新基準の詳細から、燃費測定方法、電気自動車等の評価まで、最新の情報をわかりやすく解説します。重量車を選ぶ際のポイントも押さえておきたいですが、あなたはこの新基準に対応できていますか?

重量車燃費基準2025の概要

重量車燃費基準2025のポイント
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基準強化率

トラック等は約13.4%、バスは約14.3%の基準強化が実施されます

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測定方法

JH25モード法により、より実態に近い燃費値を測定します

電動車評価

電気自動車等の導入評価制度により、環境対応車の普及を促進します

重量車燃費基準2025の目標値と強化内容

国土交通省と経済産業省は、2025年度を目標年度とする重量車の新たな燃費基準を策定しました。この基準は、省エネ法に基づくトップランナー制度により、車両総重量3.5トン超のトラック・バス等を対象としています。トラック等の燃費基準値は7.63km/Lとなり、2015年度基準と比較して約13.4%の基準強化が図られています。バスについては6.52km/Lで、約14.3%の基準強化となっています。
参考)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/3_shiryou1.pdf

この基準強化の背景には、運輸部門のエネルギー消費量における重量車の割合が依然として大きく、更なる省エネルギー化が求められている状況があります。2015年度燃費基準は全社が達成していましたが、地球温暖化対策の推進とエネルギー効率の向上を目的として、より厳しい基準が設定されました。
参考)国交省 トラック、バス等の燃費基準が強化されます ~2025…

車種区分 2025年度基準値(JH25モード) 2015年度基準との比較
トラック等・トラクタ 7.63km/L 約13.4%の基準強化
路線バス等・一般バス等 6.52km/L 約14.3%の基準強化

なお、2025年度燃費基準の対象範囲は、ディーゼル車ハイブリッド車含む)となっており、電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車は普及台数が少ないため、当初は燃費規制の対象外とされていました。
参考)https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/jidosha_handan/pdf/2024_010_01.pdf

重量車燃費基準に関わるトップランナー制度の仕組み

トップランナー制度は、現在商品化されている自動車のうち最も燃費性能が優れている自動車をベースに、技術開発の将来の見通し等を踏まえて策定した基準です。この制度により、自動車の製造事業者等(自動車メーカー及び輸入事業者)は、目標年度以降、区分毎の自動車の平均燃費値を燃費基準値以上にするよう、燃費性能を向上することが求められています。
参考)【日本】経済産業省と国土交通省、トラック・バス等の2025年…

重量車の場合、重量区分別に基準値が設定されており、各重量区分での加重調和平均燃費が基準値を達成することが求められています。重量車は重量区分によって用途が異なることを踏まえ、重量区分毎に燃費改善を促すため、達成判定の特例としてハーフクレジット制度が設けられています。これにより、達成区分における超過達成分の合計の半分を、未達成区分の未達成分と相殺できる仕組みとなっています。​
省エネ法では、自動車ユーザーが燃費に優れた自動車を選択できるよう、燃費値に関する表示事項を定めており、自動車の燃費値がそれぞれの商品カタログに表示されています。これにより、消費者は購入時に燃費性能を比較検討することが可能です。
参考)環境:自動車の燃費基準について - 国土交通省

トップランナー基準の策定プロセスでは、経済産業省及び国土交通省が設置した燃費規制に関する有識者会議において検討が行われ、パブリックコメントを実施した上で最終的な基準が決定されます。
参考)302 Found

JH25モード法による重量車燃費の測定方法

2025年度燃費基準では、新しい試験方法である「JH25モード法」が導入されました。これは従来の「JH15モード法」に代わるもので、より実態に近い車両の燃費値を測定することを目的としています。
参考)重量車に新しい燃費測定方法を導入へ…走行実態を反映するJH2…

JH25モード法の主な変更点は以下の通りです。まず、車両の空気抵抗やタイヤのころがり抵抗について、従来の試験法では固定値を用いていましたが、新しい試験法では実測値を用いて燃費値を算出するようになりました。これにより、実際の車両特性がより正確に反映されます。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001395752.pdf

次に、試験で用いる「都市内走行」と「都市間走行」の走行比率について、新しい試験法では走行実態の調査結果を反映した比率に変更されました。また、エンジン試験時の測定点数(トルクと回転数に応じた燃費の測定条件)を追加することで、より詳細な燃費特性の把握が可能となっています。​
さらに、積載・乗車比率についても見直しが行われ、実際の使用状況に即した条件で測定が行われるようになりました。これらの変更により、カタログ燃費値と実際の使用時の燃費とのギャップが縮小し、ユーザーにとってより参考になる情報が提供されるようになっています。​
JH25モード法は、ディーゼルエンジンを搭載する車両総重量3.5トン超のトラック・トラクタ・バスが対象となっており、2022年1月初旬から施行されています。​

重量車燃費基準における電気自動車等の評価制度

2025年度燃費基準では、電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車といった電動車両の導入評価制度が検討されています。これは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた電動化の推進と、重量車全体としての省エネを着実に進めるための施策です。​
電気自動車等の取扱いについては、まず電費等の測定方法を確立させ、その後、製造事業者等における電気自動車等導入への取組を燃費基準の達成判定において評価する仕組みが導入される予定です。具体的には、EV、PHEV、FCVの3種全てを評価対象とし、JH25モード法が適用された車両についてはディーゼル燃費相当値への換算を行うこととされています。​
政府目標としては、商用車について8トン以下の小型車は2030年までに新車販売で電動車20~30%を目指しており、8トン超の大型車については2020年代に5,000台の先行導入を目標としています。また、改正省エネ法における荷主制度では、2030年度における使用トラックのうち非化石エネルギー自動車の台数割合の指標を5%としています。​
電気自動車等のディーゼル燃費相当値については、JH25モード法が適用されたEV・PHEVは換算式を用いて算出し、JH25モード法が適用されていないEVやFCVについては、各重量区分の目標基準値の2倍の数値を固定値として採用する案が検討されています。これにより、電動車両の普及を促進しながら、内燃機関車の燃費改善に向けた取組も継続して推進する体制が整備されています。​

重量車燃費基準達成のための車両選択とコスト削減効果

重量車燃費基準2025に対応した車両を選択することで、事業者は複数のメリットを享受できます。まず、燃費性能の向上により燃料コストの削減が実現できます。例えば、小型トラック枠のGVW(車両総重量)3.5トン超~7.5トン車では、従来の10.83~8.12km/Lから13.45~9.91km/Lへと燃費基準が引き上げられており、これに対応した車両を導入することで長期的な運用コストの削減が期待できます。
参考)2025年までにトラックのモデルチェンジが集中する!? 新た…

また、燃費基準を達成した車両はエコカー減税の対象となる可能性があります。電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車などの環境性能が優れた車両は、取得時及び初回継続車検時の自動車重量税が免税となる制度が2026年4月末まで継続されています。
参考)エコカー減税(自動車重量税)

車両選択の際には、カタログに表示されているJH25モード燃費値を確認することが重要です。この値は実測の空気抵抗やタイヤのころがり抵抗、実際の走行実態を反映した比率で算出されているため、従来のJH15モード値よりも実際の使用状況に近い燃費を示しています。​
さらに、電気自動車やプラグインハイブリッド車などの次世代車両の導入を検討することで、将来的な環境規制への対応や企業のCSR活動の一環として評価される可能性があります。改正省エネ法では特定輸送事業者・特定荷主に対して非化石エネルギー自動車導入に向けた中長期計画の提出が義務化されており、積極的な電動車導入が推奨されています。​
事業用トラックやバスを保有する企業にとって、2025年度燃費基準に適合した車両への更新は、短期的なコスト増加を伴う可能性がありますが、長期的には燃料費削減、税制優遇、環境対応企業としての評価向上など、多面的なメリットをもたらします。​
国土交通省の自動車燃費基準に関する公式ページでは、最新の燃費基準や関係法令の詳細情報を確認できます
日本自動車工業会の自動車燃費ページでは、燃費基準の推移や業界の取り組みについて詳しく解説されています