トヨタが2017年に発売したジャパンタクシーは、約20年ぶりの新型タクシー専用車です。2020年の東京オリンピックに向けて開発され、「次の日本に、いらっしゃいませ。」がキャッチコピー。ロンドンのタクシーをモチーフにしながら日本らしさを取り入れたデザインが特徴で、都市部を中心に多くのタクシー会社に導入されています。個人でも購入することは法律上可能であり、トヨタのディーラーを通じて購入できます。
2025年6月の一部改良時点で、標準グレードの「和」(なごみ)は345万5,100円、上級グレードの「匠」(たくみ)は368万600円という価格設定。シエンタをベースに、タクシー業界からのフィードバックが反映された設計となっており、耐久性と快適性を両立しています。
トヨタモビリティ東京の調査によると、自家用としてのジャパンタクシー購入実績は「ほんの数例」程度。完全なプライベート利用ではなく、ショーカー要素を含めた購入例が報告されています。
ジャパンタクシーが搭載するLPG-ハイブリッドシステムは、単なるコスト削減以上の実用的メリットを備えています。最大の利点は燃料代の安さです。LPガスはガソリンに特別な税金が課されるのに対し、LPガスには同様の優遇税制がなく、価格で大幅に下回ります。走行距離が長い用途ほどコスト効果が顕著になり、タクシーのような高走行使用では顕著な差が生まれます。
環境面でのメリットも注目に値します。二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の排出量がガソリンや軽油の車よりも大幅に少なく、排気ガスが黒くならないため、環境への配慮が強い企業や個人に好まれています。さらに、LPガスはエンジンオイルを汚しにくいため、オイル交換周期が長くなり、メンテナンスコストも削減できます。
また、LPガスの盗難防止効果も見逃せません。ガソリンスタンドで盗んだLPガスを一般車に給油することはできないため、燃料の盗難リスクが極めて低いという利点があります。LPガスの価格変動もガソリンよりも穏やかで、長期的な燃料コストの予測がしやすくなるメリットがあります。
自家用でジャパンタクシーを購入する際、最大かつ最も致命的な課題はLPガススタンドの充実度不足です。東京都内であれば複数のLPガススタンドが存在しますが、地方部では大幅に数が減少します。通常のガソリンスタンドでは給油できないため、燃料補給のたびに限定された場所への立ち寄りが必須になります。
さらに重要な課題として、一部のLPガススタンドは「事業用タクシー車両のみ」という制限を設けており、自家用でのジャパンタクシー購入者は利用できない可能性があることです。販売店の実体験によれば、個人客からの問い合わせの多くは、この燃料供給問題を説明した段階で購入検討を断念するといいます。燃料補給可能なスタンドと不可のスタンドが混在するため、事前の詳細な調査が不可欠です。
燃料効率の面でも注意が必要です。LPガスは一般的なハイブリッド車や軽自動車と比べると燃費が劣り、WLTCモード16.5km/Lというスペックは、最新の軽自動車の20km/L超と比較すると見劣りします。加えて、LPガスボンベの定期メンテナンスコストが発生し、交換や整備には専門知識が必要になります。
ジャパンタクシーの自家用購入時に発生する維持費を正確に把握することは、購入判断の重要な要素です。自動車税は5人乗り乗用車として登録されるため、排気量に基づいた標準的な税率が適用されます。自動車重量税も普通乗用車と同じ体系で計算され、特別な優遇措置はありません。
自賠責保険は通常の乗用車と同じ区分で、3年契約の場合の保険料は変わりません。任意保険では、タクシー仕様という特殊性から保険会社によって対応が異なり、事前の確認が必須です。一部の保険会社は「自家用普通乗用車」として扱い、他社は「特殊車両」として扱うため、加入前に複数社への問い合わせが賢明です。
燃料代は前述のLPガスの安さが活かされ、同等の走行距離のガソリン車と比較すると年間15~20万円程度の削減が見込めます。ただし、新しいスタンドへの立ち寄りやスタンド外での給油対応といった手間が増加することも、実質的な「コスト」として計算する必要があります。
ジャパンタクシーの自家用購入時に見落とされやすいのが、売却時の再販価値です。タクシー業界ではスタンダード化しつつありますが、自家用市場では極めてニッチな存在です。LPガス燃料という制限要因があるため、購入希望者の母数が限定的で、中古車市場における流動性は非常に低くなっています。
通常の乗用車であれば、5~7年の保有期間で購入価格の40~50%程度のリセールバリューが期待できますが、ジャパンタクシーの場合はそれ以下になる可能性が高いです。中古車販売サイトでのジャパンタクシー掲載数は極めて限定的であり、価格交渉の余地も少ないことが特徴です。
タクシー運転手の定年退職者など、LPガス供給体系に精通した限定的な購買層が主な需要源になるため、一般ユーザーが購入した場合、売却時に大幅な値下がりに直面する可能性が高いです。5年後のリセールバリューが50%台に留まる可能性も想定し、実質的な購入コストを見積もる際には、この要因を組み込むべきです。
トヨタ公式サイト:ジャパンタクシーの価格・グレード詳細情報
ベストカーウェブ:ジャパンタクシーの実用車としての評価と仕様解説

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