スズキの予防安全技術である「デュアルカメラブレーキサポート」と「デュアルセンサーブレーキサポート」は、どちらも衝突の危険を検知して自動ブレーキをかけるシステムですが、センサー方式と機能面で大きな違いがあります。デュアルカメラブレーキサポートは軽自動車初のステレオカメラ方式を採用し、人間の目のように左右2つのカメラで距離を測定します。一方のデュアルセンサーブレーキサポートは、ドイツのコンチネンタル社が開発した単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを組み合わせた方式を採用しています。
参考)スズキの先進安全性能を徹底チェック
両システムの基本的な作動速度域は約5~100km/hと同じですが、対歩行者の場合はデュアルカメラが約5~30km/h、デュアルセンサーが約5~60km/hとなっており、デュアルセンサーの方が広い速度域で歩行者を検知できます。また、衝突回避可能な速度差も、デュアルカメラが対車両約50km/h未満・対歩行者約30km/h未満であるのに対し、デュアルセンサーはより広い範囲をカバーしています。
参考)https://www.goo-net.com/newcar/lp/safety/aeb/

超熱反 フロント ガラス エブリイ DA17W DA17V 熱反射/ブルーボカシ 衝突防止 デュアル カメラ ブレーキサポート コートテクト
デュアルカメラブレーキサポートは、ルームミラー前方に設置された2つのカメラを使用したステレオカメラ方式を採用しています。このシステムのカメラは、日立オートモーティブシステムズ製であり、スバルの「アイサイト」と同じサプライヤーから供給されています。ステレオカメラは左右2つのカメラの視差から対象物との距離や形状を立体的に捉えることができ、人間の目に近い自然な立体視が可能という特徴があります。
参考)【スズキ】2つのカメラで監視「デュアルカメラブレーキサポート…
システムが衝突のおそれがあると判断すると、まず音やメーター表示でドライバーに警告を発します。さらに衝突の危険が高まると自動で弱いブレーキをかけて危険を知らせ、この段階でブレーキペダルを踏むとブレーキ力を最大限にアシストします。そして回避操作がない場合は自動的に強いブレーキをかけて衝突を回避または被害を軽減します。
参考)よくわかる!SUZUKI Safety Support スズ…
JNCAPの予防安全アセスメントでは、デュアルカメラブレーキサポートを搭載したスペーシアが45.8点を獲得し、満点の46点に0.2点差まで迫る高評価を得ました。この僅差は、停車車両への時速50kmでの自動ブレーキ試験と、時速60kmでの衝突予測警報後の急ブレーキ試験でわずかな減点があったためです。ステレオカメラ方式は高精度な距離測定が可能ですが、悪天候や視界不良時には像を結びにくく、性能が低下する可能性があります。
参考)https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1508/17/news013.html
デュアルセンサーブレーキサポートは、単眼カメラと赤外線レーザーレーダーという2種類のセンサーを組み合わせたシステムです。単眼カメラは対象物の種類を識別し、赤外線レーザーレーダーは距離を正確に測定する役割を分担しています。この組み合わせは、トヨタの「Toyota Safety Sense C」と同様の仕組みとなっています。
参考)https://www.nasva.go.jp/mamoru/pdf/asv/caution/148.pdf
作動プロセスは、システムが衝突のおそれを判断すると音やメーター表示で警告を発し、この段階でブレーキペダルを踏むとブレーキ力をアシストします。そして衝突の可能性が高まると自動で緊急ブレーキをかけるという、トヨタと同様のプロセスを採用しています。デュアルカメラブレーキサポートと比べると、弱いブレーキの段階が省略されたシンプルな制御となっています。
デュアルセンサーブレーキサポートの大きな利点は、デュアルカメラには搭載されていない追加機能が豊富に用意されている点です。具体的には、後退時ブレーキサポート、ハイビームアシスト、標識認識機能などが含まれており、より包括的な安全運転支援を提供します。ただし、赤外線レーザーはミリ波レーダーと比較すると天候の影響を受けやすいという特性があります。
参考)スズキ SUZUKI Safety Support 搭載車ま…
2023年から登場したデュアルセンサーブレーキサポートII(DSBS II)は、従来のデュアルセンサーブレーキサポートから大幅に進化した最新システムです。最も大きな変更点は、赤外線レーザーレーダーからミリ波レーダーへの変更で、単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせになりました。ミリ波レーダーは天候に左右されにくく、遠距離の検知が可能という特徴があります。
参考)※11【ご質問調査室】いろいろあるけどブレーキサポートって何…
DSBS IIでは、フロントとリヤバンパーに追加された超音波センサーにより、従来のコーナーセンサー機能だけでなく、衝突回避や被害軽減機能が強化されました。さらに、交差点での右左折時に対向車や横断歩行者・自転車を検知する「交差点衝突回避支援(右左折)」機能が追加されています。側方から接近する車両や自動二輪車を検知する「交差点衝突回避支援(出会頭車両)」機能も新たに搭載されました。
検知可能な対象も拡大され、従来の車両と歩行者に加えて、自動二輪車と自転車も昼間に検知できるようになりました。作動速度域も大幅に拡大され、対車両・自動二輪車では約5~180km/hまで、対歩行者・自転車では約5~80km/hまでとなり、高速走行時の安全性が向上しています。駐車時などの低速走行やクリープ走行時にも障害物を検知してサポートする「低速時ブレーキサポート(前進・後退)」機能も追加され、より幅広いシーンでの安全性が確保されています。
デュアルカメラブレーキサポートは、ハスラー、イグニス、ソリオなどの車種に搭載されています。特にハスラーの上級グレードには標準装備されており、軽自動車として初めてステレオカメラ方式を採用したスペーシアもこのシステムを搭載していました。これらの車種は、ステレオカメラによる高精度な距離測定を活かした安全性能を特徴としています。
参考)ハスラーには自動ブレーキが備わっている?安全技術について徹底…
一方、デュアルセンサーブレーキサポートは、アルト、ワゴンR、スペーシア、ジムニー、スイフトなど、スズキの幅広い車種に採用されています。特に2023年以降にモデルチェンジした車種では、デュアルセンサーブレーキサポートIIが採用され始めており、スペーシアもこの最新システムに移行しています。ワゴンRスティングレー、スペーシア(カスタムとギア含む)、ラパン、エブリイワゴンは全グレードがサポカーSワイドに適合しており、最高レベルの安全装備を提供しています。
参考)スペーシアの安全性能について知りたい!「デュアルセンサーブレ…
なお、バレーノとSX4 S-CROSSの2車種のみ、ミリ波レーダーを使用した「レーダーブレーキサポートII」を採用していますが、作動速度域が約5~30km/hと低速に限られ、検知対象も車両のみとなるなど、性能面では他のシステムに劣ります。現在のスズキの主流は、デュアルセンサーブレーキサポートIIへと移行しつつあり、より高性能で多機能なシステムが標準化されています。
デュアルカメラブレーキサポートは、ステレオカメラによる高精度な距離測定が特徴で、人間の目に近い立体視が可能です。JNCAPの評価でも高得点を獲得しており、基本的な衝突被害軽減性能では信頼性の高いシステムといえます。ただし、機能面ではデュアルセンサーと比べると、標識認識機能やハイビームアシストなどの追加装備が少なく、悪天候時の性能低下の可能性も考慮する必要があります。
参考)ステレオカメラとは?仕組みや使い方の代表例・おすすめ製品を分…
デュアルセンサーブレーキサポート、特に最新のDSBS IIは、より広い速度域での作動と豊富な機能が魅力です。ミリ波レーダーを採用したDSBS IIは天候の影響を受けにくく、交差点での衝突回避支援機能など、実際の運転シーンで役立つ先進機能が充実しています。対歩行者の検知速度域も約5~80km/hと広く、市街地走行での安全性が高まります。
購入を検討する際は、自身の運転環境や必要な機能を考慮することが重要です。高速道路を頻繁に利用する方や、交差点の多い市街地を走行することが多い方には、DSBS IIを搭載した最新モデルがおすすめです。一方で、基本的な衝突被害軽減機能を重視し、シンプルな操作性を求める方には、デュアルカメラブレーキサポート搭載車も十分な選択肢となります。いずれのシステムも、約5~100km/hという実用的な速度域で作動し、サポカーSワイドの要件を満たす高い安全性能を備えています。
スズキ公式サイトの安全技術解説ページでは、各システムの詳細な仕様や作動条件、搭載車種の最新情報が確認できます。
国土交通省・自動車事故対策機構(NASVA)のデュアルセンサーブレーキサポート解説資料では、システムの制限事項や注意点について詳しく説明されています。

車用サンシェード 車中泊 盗難防止 zeosマルチサンシェード ブラックスペック ・エブリイワゴン【DA17W】デュアルカメラブレーキサポート搭載車 8枚セット