全国軽自動車協会連合会や軽自動車検査協会に支払う検査手数料は、支払手数料の勘定科目で処理するのが一般的です。検査手数料は印紙代として支払われることが多く、令和5年1月1日以降は継続検査で1,800円(OSS申請の場合1,600円)となっています。
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この検査手数料は車検時に国または軽自動車検査協会に納める法定費用の一部であり、車検証の電子化対応に伴い2023年1月から手数料額が改定されました。軽自動車の場合、完成検査終了証の提出時には1,500円(OSS申請の場合)、保安基準適合証の提出時には1,400円(窓口申請の場合)の手数料がかかります。
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全国軽自動車協会連合会は軽自動車を製造販売する企業・団体による業界団体であり、軽自動車検査協会の業務に協力して検査手数料収納事務などを行っています。実際の検査手数料は軽自動車検査協会に納めますが、全軽自協の窓口でも手続きが可能です。
参考)全国軽自動車協会連合会 - Wikipedia
車検費用を仕訳する際には、検査手数料と租税公課を明確に区別することが重要です。検査手数料(印紙代)は支払手数料として処理しますが、自動車重量税や印紙税は租税公課の勘定科目を使用します。
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軽自動車の車検における法定費用の内訳は次のようになります。
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| 費用項目 | 金額(軽自動車) | 勘定科目 |
|---|---|---|
| 自動車重量税 | 6,600円~9,900円 | 租税公課 |
| 自賠責保険料 | 17,540円~19,730円 | 保険料 |
| 検査手数料(印紙代) | 1,400円~1,900円 | 支払手数料 |
租税公課は国や地方自治体に支払う税金や公的な課金の仕訳に使用する勘定科目です。自動車検査票に貼付する「自動車検査登録印紙」と「自動車検査証紙」は、どちらも法定費用として印紙税に該当しますが、検査手数料そのものとは性質が異なります。
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なお、自動車重量税を車両費に仕訳することも可能ですが、租税公課の方がより明確に税金であることがわかります。勘定科目の設定には厳密な決まりがないため、事業内容に合わせて柔軟に設定できます。
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軽自動車の車検費用を実際に仕訳する際の具体例を見ていきましょう。車検費用は複数の項目に分かれるため、費用の内容に応じて適切な勘定科目を選択することが必要です。
以下は軽自動車の継続検査(車検)を受けた場合の仕訳例です。
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仕訳例:軽自動車の車検費用 総額60,000円を現金で支払った場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 25,000円 | 現金 | 60,000円 |
| 租税公課 | 9,900円 | ||
| 保険料 | 19,730円 | ||
| 支払手数料 | 5,370円 |
この例では、車検基本料・点検料・整備費用を車両費、自動車重量税を租税公課、自賠責保険料を保険料、検査手数料と車検代行手数料を支払手数料として処理しています。
車検基本料や整備修理費用については、車両費の代わりに修繕費の勘定科目を使用することも可能です。車両費は車を維持管理するための費用全般を指し、ガソリン代や高速道路代も含まれます。一方、修繕費は固定資産の維持管理に必要な支出を指すため、車を固定資産として分類する場合は修繕費を使うとよいでしょう。
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車検代行手数料は消費税の課税対象となるため、税込経理方式または税抜経理方式に応じて適切に処理する必要があります。代行業者から適格請求書(インボイス)の発行を受けることも忘れないようにしましょう。
マネーフォワード:車検費用を経費にするときの仕訳に使える勘定科目は?
車検費用の詳細な仕訳方法と税込・税抜処理の具体例が掲載されています。
令和5年(2023年)1月1日から、軽自動車検査協会に支払う検査手数料の金額が改定されました。この改定は「道路運送車両法関係手数料令の一部を改正する政令」により実施され、車検証の電子化やキャッシュレス化といったデジタル化推進に伴う歳出増加に対応するためのものです。
参考)https://www.syaken-oss.jp/column/?id=1669085569-486821
改定による主な変更点は以下の通りです。
参考)https://www.nirin.co.jp/_ct/17589231
継続検査手数料の変更
この手数料改定は軽自動車だけでなく、小型二輪車や普通自動車にも適用されています。経理処理上は、改定後の金額で支払手数料を計上する必要があり、前年度との比較分析を行う際には手数料の増加要因として認識しておくことが重要です。
参考)https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/content/000276451.pdf
車検証の電子化により、今後は民間車検場での手続き短縮、スマートフォンでの車検満了通知、クレジットカードによる検査手数料の納付などが可能になります。キャッシュレス決済を利用した場合の仕訳では、貸方の勘定科目を「未払金」や「クレジットカード」などに変更して処理します。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-journal/vehicle-inspection-fee/
軽自動車検査協会:道路運送車両法関係手数料令の一部を改正する政令が閣議決定
手数料改定の公式発表と詳細な手数料額の一覧が確認できます。
全国軽自動車協会連合会や軽自動車検査協会への検査手数料を含む車検費用を経理処理する際には、いくつかの重要な注意点があります。
参考)車検費用を経費にするときの仕訳に使える勘定科目は?個人事業主…
適格請求書(インボイス)の受領
2023年10月からインボイス制度が開始されており、車検費用を経費計上する際には代行業者から適格請求書の発行を受ける必要があります。適格請求書がない場合、仕入税額控除が受けられない可能性があるため注意が必要です。
消費税の課税区分の判断
車検費用の中でも、課税対象となる項目と非課税の項目を正確に区別することが重要です。
| 費用項目 | 消費税区分 |
|---|---|
| 車検基本料・点検料 | 課税 |
| 部品交換費用 | 課税 |
| 車検代行手数料 | 課税 |
| 自動車重量税 | 非課税 |
| 自賠責保険料 | 非課税 |
| 検査手数料(印紙代) | 非課税 |
プライベート使用分の按分
個人事業主が事業とプライベートの両方で車を使用している場合、車検費用も按分処理が必要です。プライベートで使用した分は「事業主貸」の勘定科目で処理し、経費から差し引きます。事業使用割合を明確にするため、走行距離や使用日数による按分計算を記録しておくとよいでしょう。
領収書・明細書の保管
税務調査に備えて、車検費用の領収書や明細書は必ず保管してください。特に検査手数料の内訳が明記された書類は、勘定科目の適切性を証明する重要な資料となります。電子帳簿保存法に対応した電子保管も検討するとよいでしょう。
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車両の固定資産計上との関係
車両を固定資産として計上している場合、車検費用は資本的支出(固定資産の価値を高める支出)ではなく、修繕費(現状維持のための支出)として扱われます。そのため、車検費用を車両の取得価額に加算することはできません。
参考)車両購入時の仕訳方法とは?勘定科目と処理方法の基礎を学ぶ
全国軽自動車協会連合会は軽自動車検査協会とは別組織ですが、検査手数料収納事務や総合案内業務など、車検に関連する多様なサービスを提供しています。全国85か所に事務所・支所を持ち、軽自動車の流通確認や書類整備確認も行っているため、車検手続きの際には重要な役割を担っています。
参考)全軽自協について href="https://www.zenkeijikyo.or.jp/organization/about" target="_blank">https://www.zenkeijikyo.or.jp/organization/aboutamp;#8211; 一般社団法人 全国軽自動車…
全国軽自動車協会連合会:全軽自協について
全軽自協の事業内容と業務範囲について詳しい情報が掲載されています。