ローターとは|ブレーキ構造と役割、交換時期の判断

自動車の安全を支えるローターについて、ブレーキシステムでの役割から交換時期まで詳しく解説します。車の異音や不具合に悩んでいませんか?

ローターとは

ローターの重要な役割
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ブレーキローターの仕組み

車輪と一緒に回転する円盤状の部品で、ブレーキパッドに挟み込まれることで摩擦が発生し制動力を生む

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ロータリーエンジンのローター

おむすび型の回転子が回転運動で動力を得るエンジン機構の核となる部品

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モーターのローター

電気エネルギーを機械エネルギーに変換する回転部分

自動車におけるローターとは、タービンやモーターの中央部にあり、自身の軸を回転軸として回転する部品のことです。特に自動車の安全性に直結する重要な部品として、ブレーキシステムで使用される「ブレーキローター」が広く知られています。ブレーキローターは、ディスクブレーキの主要部品として車輪とともに回転する円盤状の金属部品です。
参考)https://www.goo-net.com/knowledge/05586/

ブレーキローターの基本的な役割は、ブレーキパッドとの組み合わせによって摩擦力を発生させ、走行する車を減速または停止させることです。走行中、ブレーキローターはホイールボルトによってホイールと車軸に固定されており、タイヤと一緒に回転しています。運転者がブレーキペダルを踏み込むと、ブレーキパッドがブレーキローターを両面から強い力で挟み込み、このときに発生する摩擦抵抗を利用して車を減速または停止させる仕組みです。
参考)ブレーキローター

また、ロータリーエンジンにおけるローターは、熱エネルギーをそのまま回転動力として出力する際に、燃料ガスの膨張力を回転力に変えるという働きを持ちます。おむすび型の形状をしたローターが、まゆ型のハウジング内を偏心しながら回転し、その動きで動力を生み出します。
参考)ロータリーエンジンの仕組み|特徴や再度注目されている理由を紹…

ブレーキローターの構造と種類

 

ブレーキローターには主に2つの種類があり、構造の違いによってそれぞれ性能や特徴が異なります。一つ目は「ソリッドディスク」で、1枚の板状の構造を持つディスクです。シンプルな構造のため製造コストが安く、軽自動車やコンパクトカーなどによく採用されています。しかし、放熱性が低いため、ブレーキの多用によってフェード現象が起こりやすいというデメリットがあります。
参考)ブレーキローターとは|役割や種類、交換目安などを網羅的に解説…

二つ目は「ベンチレーテッドディスク」で、2枚のローターを隙間をあけて重ね、その隙間に多数のフィンを設けることで強度を保ちながら空気を通し、冷却するタイプのブレーキローターです。ディスク間の隙間を空気が通ることで、ソリッドディスクよりも放熱性に優れています。そのため、スポーツカーやSUVなど、高い制動力が求められる車種に多く採用されています。ただし、ソリッドディスクに比べて製造コストが高価になるという側面もあります。
参考)クルマの基礎知識:ソリッドディスクとは? - クルマの大辞典

ブレーキローターの材質は、鉄・ステンレス・アルミニウム・炭素繊維強化炭素複合材料などが使用されます。走行中、ディスクローターとブレーキパッドが擦れる抵抗がブレーキ力になり、そのとき回転する力は熱に変換されます。ディスクローターのほとんどが空気中にさらされているため、熱を発散させやすいという特徴があります。
参考)ブレーキローター - Wikipedia

ブレーキローターの交換時期と判断基準

ブレーキローターの交換時期は、走行距離やブレーキの使い方によって変わります。一般的には10万キロに達したら、交換するのが1つの目安です。日本車の多くはローターではなくパッドを削って制動力を得るため、ローターの寿命は長く、交換時期は約10万kmが目安ですが、欧州車の場合ディスクとローター両方を削って制動するためローターの寿命が短くなります。
参考)ブレーキローターの寿命を知るポイント | 交換費用や摩耗限界…

ブレーキローターの寿命が近づいている具体的なサインとして、厚みが新品の状態から1.5~2mm減ったときは必ず交換が必要です。ローターの厚みが減るとブレーキの効きが悪くなったり、ブレーキがかかりにくくなったりして危険です。一般的なローターの交換時期は、前輪は2mm、後輪は1〜1.5mm減ったときがおすすめで、ローターの厚みは2~3mmが限度のため、その厚みになる前に交換すると安心できます。​
また、スリットの溝がなくなる前に交換をすれば、運転精度は落ちにくいため早めの交換が大切です。ブレーキローターには使用限度値が設定されており、各ブレーキローターの側部に刻印された記号により識別できますが、専門的な知識に基づいた正しい判断ができる整備工場にマイカーの点検を依頼することが重要です。​

ブレーキローターの不具合症状と対処

ブレーキローターに不具合が発生すると、いくつかの明確な症状が現れます。代表的な症状として、ブレーキ時のハンドルの振動、脈動するブレーキペダル、キーキー音やギシギシ音、ブレーキパッドの摩耗が不均一、ブレーキ性能の低下などが挙げられます。これらの兆候が見られた場合は、直ちにブレーキの点検を行う必要があります。
参考)ブレーキローターが歪む原因

ブレーキから異音が聞こえる、ブレーキをかけるとキーキー音がなるという症状が現れたときには、ブレーキのディスクローターに異常が発生している可能性が高いです。そのまま走行を続けてしまうと、ブレーキが正常に動作せず、命にも関わるトラブルが発生する場合があるので、早急な対処が必要です。
参考)https://www.goobike.com/magazine/maintenance/maintenance/536/

ローターの歪みを防ぐためには、予防メンテナンスが鍵となります。可能な限り急ブレーキは避け、新しいパッドとローターの適切な馴染ませ手順に従い、車種に合わせて設計された高品質のローターを使用することが重要です。また、ホイールラグのトルクが適切であることを確認し、キャリパーの固着や漏れがないか定期的に点検し、急ブレーキをかけた後はブレーキを冷ますことも大切です。​

ブレーキローターのメンテナンス方法

ブレーキローターを長持ちさせるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。まず駐車の際、長期間駐車する場合は水洗いをしてから駐車することが推奨されます。特に凍結防止剤、泥などは洗い流し、駐車は雨露の当たらない場所が望ましいです。海岸地域では、潮風は禁物で、潮風が当たる側のローターが錆びてしまうケースがよく報告されています。
参考)ローターの塩害とメンテナンス その2|ブレーキ雑学講座|サポ…

水洗いについては、洗車時に同時に行うと好都合です。ホイールの外から水を掛け、ローターの凍結防止剤、泥などを洗い流します。ローター表面に付着した薄い皮膜は防錆作用がありますので、金属ブラシなどでむやみに削り取らないほうが良いでしょう。ただし、高圧洗浄機を使う場合はキャリパの摺動部(ブーツ部)には直接水をかけないよう注意が必要で、水が摺動部に入ると錆を生じ、ブレーキの作動不良に繋がるおそれがあります。​
ディスクブレーキのメンテナンスでは、洗浄して砂を落とすことで摩耗を防ぐことができます。また、ローターをこまめに洗浄することでパッドへの油分の付着を抑え、不要なパッド交換の発生を防ぐことも可能です。音鳴りがする場合は油分が付いている可能性が高く、パッドへの付着がひどくなる前になるべく早く洗浄を行うことが推奨されます。
参考)ディスクブレーキのメンテナンス方法~ディスクブレーキローター…

ロータリーエンジンのローターの特性

ロータリーエンジンのローターは、ブレーキローターとは全く異なる役割を持つ重要な部品です。ロータリーエンジンは、おむすび型ローターがまゆ型のハウジング内を偏心しながら回転し、その動きで動力を生み出すエンジンです。ハウジングとローターの間にできる3つの部屋(作動室)が吸気・圧縮・燃焼・排気の役割を連続して担います。
参考)ロータリーエンジンとは? 仕組みやメリット・デメリット、マツ…

ローターは自転するとともに公転もしており、頂点の3カ所はいずれも回転している最中、常にシリンダー壁面と接していることがポイントです。このことで燃焼室の密閉が保たれ、3つの部屋それぞれで吸気、圧縮、燃焼(膨張)、排気のサイクルを繰り返すことができます。ローターの回転は中心にあるエキセントリックシャフトを通して駆動系へと伝達され、一般的なレシプロエンジンとは構成部品が全く異なります。​
ロータリーエンジンにはピストンとクランクシャフトをつなぐコネクティングロッドや、複雑なバルブ開閉機構がありません。また、レシプロのように往復運動を回転運動に換えるのではなく、もともと回転運動であることが様々なメリットをもたらします。ロータリーエンジン搭載車は、2012年6月「RX-8」で生産が終了しましたが、2023年には発電用エンジンとして「MX-30 Rotary-EV」にも採用されています。​
参考リンク(ブレーキローターの基本情報と役割について)。
ブレーキローターとは|役割や種類、交換目安などを網羅的に解説 - グーネット
参考リンク(ブレーキローターの交換時期と判断基準について)。
ブレーキローターの寿命を知るポイント|交換費用や摩耗の目安 - KRANZ
参考リンク(ロータリーエンジンの仕組みと構造について)。
ロータリーエンジンとは? 仕組みやメリット・デメリット、マツダの歴史 - カーセンサー

 

 


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