新型パジェロが2026年に復活する背景には、複合的な理由が存在します。まず、三菱自動車は国内市場における販売力強化を図っており、フラッグシップモデルとしての絶対的な「顔」となる車が不在でした。かつてその役割を担っていたパジェロを復活させることで、ブランドイメージ全体を再び高め、販売活性化を狙っているのです。
現在のSUV市場を見ると、トヨタのランドクルーザーシリーズが受注停止を繰り返し、スズキのジムニーノマドも発売直後からバックオーダーを抱えるなど、本格的なオフロード性能を持つSUVへの需要は確実に高まっています。この活況な市場に、三菱が誇る四駆技術の象徴であるパジェロを再投入することは、極めて自然な戦略と言えます。
さらに、NHKの報道で指摘されているアメリカの関税問題も重要です。国際的な貿易情勢の変化が、三菱自動車全体の生産・販売戦略に見直しを迫り、その結果としてパジェロ復活の計画が前進したという側面があります。三菱の新中期経営計画「Challenge 2025」では、今後5年間で全16車種（うち電動車9車種）を投入する計画が発表されており、パジェロ復活はこの戦略の一環として位置づけられています。
海外で捉えられたスパイショットから判明した新型パジェロのエクステリアデザインは、近年のデザイントレンドをしっかりと取り入れた、力強くマッシブな箱型ボディへと進化を遂げています。フロントフェイスには、三菱のデザインコンセプト「ダイナミックシールド」をさらに進化させた、水平基調のワイドなグリルが特徴です。
その両脇には新型デリカD:5やXFORCEとも共通性を感じさせる、垂直に積み重ねられたLEDデイタイムランニングライトが配置され、圧倒的な存在感を放っています。大胆なスキッドプレートも相まって、まさに王者の風格を表現しています。
サイドビューは、歴代パジェロのDNAを感じさせつつも、非常にクリーンで力強い面構成となっています。スクエアなホイールアーチや直線的なキャラクターラインが、本格オフローダーらしいタフネスを表現しています。予想される全長は4,930mmから5,100mm程度と見られており、より存在感のあるフォルムへと進化します。
リアデザインも印象的です。垂直に切り立ったバックドアや、左右が連結されたデザインのLEDテールライトは、モダンで洗練された雰囲気を醸し出しています。全体として、トヨタのランドクルーザーを強く意識した直線的で骨太なデザインでありながら、三菱らしい先進性やシャープさも融合させた、非常に魅力的なスタイリングになりそうです。
新型パジェロのパワートレイン構成は、ユーザーの多様なニーズに応えるため、複数の選択肢が用意される予定です。ベースとなるのは、新型トライトンにも搭載されている2.4Lクリーンディーゼルターボエンジン（4N16型）です。力強いトルクと優れた燃費性能を両立した、信頼性の高いユニットとなっています。
最大の目玉として期待されているのが、三菱が世界に誇る「PHEV（プラグインハイブリッド）」モデルの存在です。アウトランダーPHEVで培った先進の電動化技術と、伝統の4WD技術を組み合わせることで、圧倒的な静粛性、モーターによる滑らかで力強い走り、優れた環境性能、そして緻密な駆動力制御による更なる悪路走破性の向上をすべて手に入れることができます。
予想される仕様としては、直列4気筒2.4Lエンジンに加え、フロントモーターは116ps、リアモーターは136psの出力を備えることが想定されています。20kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、EV走行での最高速度は135km/h程度。PHEVモデルの燃費はWLTCモードで約15.5km/Lと見込まれており、本格SUVながら優れた環境性能を実現します。
このPHEVシステムは、ライバルのランドクルーザーにはない、新型パジェロだけの強力な武器となるはずです。電気モーターは、エンジンに比べてアクセル操作に対する応答が非常に速く、トルクの制御もシームレスに緻密に行えるため、岩場や滑りやすい坂道などで、タイヤが空転しないよう繊細なコントロールが求められるオフロード走行において、絶大な効果を発揮します。
新型パジェロ搭載の四輪駆動システムとして期待されているのが、進化した「スーパーセレクト4WD-II（SS4-II）」です。このシステムの最大の魅力は、路面状況に応じてドライバーが最適な駆動方式を選べることにあります。
具体的には、2H（FR） では燃費に優れる後輪駆動モード、4H（フルタイム4WD） ではセンターデフが働き舗装路でも安定した走りを提供する四輪駆動モード、4HLc（センターデフロック直結4WD） では雪道やダートなど滑りやすい路面で強力なトラクションを発揮するモード、4LLc（ローレンジ付きセンターデフロック直結4WD） ではぬかるみからの脱出など極限の悪路で最大の駆動力を生み出すモードが用意されます。
これらを走行中でも（一部条件あり）切り替えられる利便性は、他のライバルにはない大きなアドバンテージとなります。新型パジェロには、この伝統のシステムをさらに電子制御化し、洗練させた新世代のSS4-IIが搭載されることが確実視されています。
さらに、三菱の車両運動統合制御システム「S-AWC（スーパー・オール・ホイール・コントロール）」とPHEVシステムを組み合わせることで、4輪の駆動力やブレーキをこれまで以上に高度に、かつ自在に制御できるようになります。ハンドル角、ヨーレイト、駆動トルク、ブレーキ圧、車輪速などをセンサーで検知し、前後左右輪の駆動力やブレーキ制動力差を最適化することで、どんな路面状況でもドライバーが意のままに車を操れる、異次元の走破性を実現する可能性を秘めているのです。
オフロード走行での性能向上には、プラットフォームの進化も寄与します。新型トライトンベースのラダーフレームは、新設計で高剛性化が図られており、特にシャーシのねじり剛性が先代比60%増加することが報じられています。このボディ剛性の向上により、ハンドリングの正確さと乗り心地がさらに向上します。
予想される主要オフロード性能としては、最低地上高が219mm以上、アプローチアングル約30度、デパーチャーアングル約24度、渡河性能約700mm程度と見積もられており、競合車種であるランドクルーザーなどと比較しても遜色のない数値です。
新型パジェロの予想価格は600万円から700万円程度からと見込まれています。装備の内容やグレード構成によってはさらに幅広い価格帯となる可能性があります。具体的には、エントリーモデル（ディーゼル）が600万円から、中間グレード（ディーゼル上級仕様）が650万円から、PHEVモデルが700万円から、最上級グレードが750万円からといったあたりが現実的なラインと予想されています。
前モデル「パジェロ」の価格と比較すると、最上級グレードの「SUPER EXCEED」（ディーゼル）が約495万円、ベーシックグレードの「GR」（ガソリン）が約328万円だったのに対し、新型モデルは200万円から300万円程度の価格上昇が予想されます。これは最新技術の導入や装備の充実が主な要因です。
特にPHEVモデルは、バッテリーやモーターなどの電動化部品が高価なため、ディーゼルモデルと比較して価格が高くなります。直接の競合車種となるトヨタ ランドクルーザー（300系）の価格帯が540万円からであることを考えると、新型パジェロの予想価格は競合モデルと比較しても妥当な範囲内と言えるでしょう。
中古パジェロ市場への影響も注目されます。2024年時点での中古パジェロ（4代目）の価格相場は、2018～2019年（最終型）で3万km以下なら350～450万円、2015～2017年で5万km以下なら280～350万円と推移しています。特に最終モデルとなる「ファイナルエディション」は生産台数が限られていることもあり、高値で取引される傾向にあります。
新型パジェロ発売により、中古パジェロの価格は下落する傾向が予想されますが、ファイナルエディションなどの希少なモデルはむしろコレクター価値が高まる可能性も考えられます。新型の登場が近づくにつれて、中古パジェロ市場の動向にも注目が集まるでしょう。
参考ページ：https://jimm.hateblo.jp/entry/20250421/1745235881 - パジェロ復活の背景、開発進捗、デザイン分析、パワートレインの詳細情報が記載されています。
参考ページ：https://unicarinfo.com/new-pajero-2026/ - 新型パジェロのスペック予想、燃費性能、価格帯の詳細分析が記載されています。
