ホンダの一部ハイブリッド車で発生する立ち往生の主な原因は、「SPORT HYBRID i-DCD」というハイブリッドシステムの特性にあります。このシステムは、エンジンとモーターを組み合わせた1モーター方式で、高出力モーター内蔵7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を採用しています。youtube
参考)ホンダハイブリッド立ち往生原因とi-DCD欠陥
DCTは奇数段用と偶数段用の2系統のギアセットとクラッチを持ち、1速・3速・5速・7速がモーターに、2速・4速・6速がエンジンに接続されています。この構造により軽量コンパクトな設計と優れた燃費性能を実現していますが、重大な弱点も抱えています。
参考)https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1310/10/news024_2.html
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特に問題となるのが、乾式クラッチの採用です。乾式クラッチは湿式クラッチと比較してコストや重量の面で有利ですが、温度に対する許容度が非常に低く、長時間の渋滞や坂道走行で高温になりやすいという致命的な弱点があります。
立ち往生が発生するプロセスは段階的に進行します。初期段階では、ハイブリッドバッテリーの電力を使ってモーター駆動で走行できますが、渋滞が長引くとバッテリーが消耗していきます。
参考)https://ameblo.jp/teammho/entry-12863651471.html
バッテリーが空になるとモーターだけでは動けなくなり、DCTがクラッチを繋いだり切ったりを延々と繰り返す状態になります。これはマニュアル車で渋滞時に半クラッチを繰り返す状況と同じで、クラッチに大きな熱負荷がかかります。youtube
最終的にトランスミッションが異常な高温状態に達すると、安全機能が作動して車両が停止します。この現象は特に「坂道で時速4km前後でのノロノロ走行」や「坂道でアクセルを踏んで止まっている状態」で発生しやすくなります。
参考)なぜホンダの「ハイブリッド車」立ち往生多発? SNSで相次ぐ…
i-DCDシステムを搭載し、立ち往生のリスクがある車種は以下の通りです:
参考)なぜホンダの「ハイブリッド車」立ち往生多発? SNSで相次ぐ…
| 車種名 | 世代 | 備考 |
|---|---|---|
| ヴェゼル | 先代(初代) | 最も報告が多い |
| フィット | 3代目 | 複数のリコール実施 |
| フリード/フリード+ | 2代目 | 7人乗りミニバン |
| ジェイド | - | 6人乗りワゴン |
| グレイス | - | セダン |
| シャトル | - | ステーションワゴン |
これらの車種は2024年8月のお盆休み中にも複数の立ち往生事例が報告されており、SNSでは「複数台連続でヴェゼル(先代)が止まっている」という投稿が相次ぎました。2022年11月には日光のいろは坂で、紅葉シーズンの渋滞中に複数のホンダ車が立ち往生する事態も発生しています。
参考)301 Moved Permanently
トランスミッションが高温になった場合、メーター内に段階的な警告メッセージが表示されます。最初に「トランスミッション高温」と表示され、温度がさらに上昇すると「トランスミッション高温:安全な場所に車両を停車してください」と続きます。
参考)ホンダの「ハイブリッド車」立ち往生多発の原因
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警告が表示された際の対処手順は以下の通りです:youtube
✅ 安全な場所に停車:ハザードランプを点滅させながら、十分な幅のある路肩や路側帯に車を寄せます
✅ 乗員の避難:同乗者をガードレールの外側など安全な場所に避難させます
✅ 停止表示の設置:停止表示器材がない場合は発炎筒を車両後方に置きます
✅ アイドリングで冷却:エンジンをアイドリングさせてトランスミッションを冷却します
トランスミッションの温度が下がると警告メッセージが自動的に消えます。メッセージが消えた後も、念のためホンダの販売店で点検を受けることが推奨されています。youtube
高速道路でのトラブル時の参考情報として、国土交通省の交通安全対策ガイドが役立ちます。
国土交通省:降積雪時の立ち往生発生メカニズムに関する研究資料
立ち往生を未然に防ぐための運転方法として、最も重要なのは半クラッチ状態での長時間走行を避けることです。渋滞時には前車との車間距離を大きく取り、1~5キロ以下のノロノロ走行時間と回数を軽減させることがポイントになります。
参考)ホンダi-DCD搭載車が いろは坂で止まるのは?トラブルを未…
具体的な予防策は以下の通りです:
🚦 走る・止まるのメリハリをつける:歩くようなスピードでのノロノロ走行を避け、前車との距離が開いたらしっかり加速し、詰まったら完全停止する運転を心がけます
🚦 ハイブリッドバッテリーの温存:渋滞予測時は事前にバッテリー残量を確保しておき、途中でモーター駆動させる余裕を持たせます
🚦 スポーツモードの活用:SモードやSPORTモードが搭載されている車種では、渋滞時にこのモードを使用することでエンジンの稼働時間が長くなり、バッテリーの消耗を抑制できます
🚦 マニュアルモードの利用:シフトを固定することでクラッチへの負担を軽減できます
渋滞しやすい路線の回避も有効な対策です。特に気温20度を超える季節の坂道渋滞や、いろは坂のような紅葉シーズンに混雑する観光地の坂道は要注意です。事前に渋滞予測カレンダーを確認し、日程や時間をズラす、迂回ルートを検討するなどの柔軟な対応が推奨されます。
参考)渋滞時の運転で注意する10つのこと。渋滞をできるだけ回避する…
i-DCDを搭載する車両は、システム導入当初から複数回のリコールが実施されてきました。2013年10月、2013年12月、2014年2月と立て続けにリコールが行われ、2014年7月には4回目となるリコールが実施されています。
参考)https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1407/11/news126.html
初期の3回のリコールでは7速DCTの制御プログラムが不具合の原因でしたが、4回目はモーターの制御プログラムに問題があることが判明しました。改善措置として、ディーラーでECUの制御プログラムの書き換えが行われており、作業時間は約1時間半で完了するとされています。
度重なるリコールを経ても、構造上の限界が日本の道路事情で露呈してしまったことが指摘されています。特に日本の夏の高温環境と、渋滞が多い道路事情に対するホンダの認識が甘かったという批判もあります。
現在のホンダハイブリッドシステムは日産のe-Powerに近いシステムに進化しており、i-DCDの問題は旧型車種に限定されています。しかし、保証期間外でのクラッチ交換費用が高額になるケースもあり、ユーザーからは無償修理を求める声も上がっています。
参考)『HONDAのi-DCD搭載車で保証期間外で無償にてクラ..…
ホンダの公式技術解説ページでは、i-DCDの仕組みについて詳しく説明されています。
ホンダ公式:SPORT HYBRID i-DCD技公式:SPORT HYBRID i-DCD技術解説
収集した情報を基に、記事を作成します。