フロントエンジン・フロントドライブとは|駆動方式のメリットと仕組み

フロントエンジン・フロントドライブ(FF)は現代の主流となる駆動方式です。室内空間や燃費、雪道での走行性能など多くのメリットがありますが、どのような仕組みで動いているのでしょうか?

フロントエンジン・フロントドライブとは

この記事で分かること
🚗
FFの基本構造

エンジンとトランスミッションを前方に搭載し前輪を駆動する仕組み

FFのメリット

車内空間の広さ、燃費性能、雪道での安定性などの利点

⚠️
FFのデメリット

前輪タイヤの消耗やハイパワー車への対応など注意点

フロントエンジン・フロントドライブの基本構造


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フロントエンジン・フロントドライブ(FF)は、車体の前方にエンジンを搭載し、前輪に動力を伝えて走行する駆動方式です。前輪駆動車やFWD車とも呼ばれ、現代の自動車において最も多く採用されている駆動方式となっています。エンジンとトランスミッション、デファレンシャル(デフ)といった駆動系のメカニズムがすべて車両前方のボンネット内に集約されているのが大きな特徴です。
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エンジンルーム内では、基本的に動力部分を横置きに配置した、縦に短く横に長い設計が採用されています。この横置きレイアウトにより、エンジンとトランスミッションがコンパクトにまとまり、必要な部品点数が削減されるため、自動車メーカーにとって生産性の高いレイアウトとなっています。前輪が駆動輪と操舵輪を兼ねることで、狭いスペースに複雑なメカニズムを凝縮する構造になっています。
参考)FFとFRの特性の違いにはどんなことがあるのか? - みんな…

日本で最初に量産されたFF車は、1955年に誕生したスズキ「スズライト」で、同社初の4輪自動車であり、今に続く軽自動車の基礎となったモデルです。その後、1970年代初頭から小型の登録車にもFF車が登場し、本格的な普及が始まりました。
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フロントエンジン・フロントドライブのメリット

FF駆動方式の最大のメリットは、車内空間を広く確保できることです。エンジンやトランスミッションなどのドライブトレーンを横置きとしてフロントに集約することで、ボンネット長を短くできます。さらに、FR車に必要不可欠な車の前後方向に配置されるプロペラシャフトなどのパーツも不要なため、室内の床をより低く設計でき、後部座席も広く設計可能です。
参考)FF車とFR車って何が違う?メリットや見分け方などをご紹介

燃費性能の面でも優れた特性を持ちます。FFは構造的に軽く、部品点数も少ないため、FR車や4WD車と比較して燃費性能に優れています。製造コストを抑えやすいことも大きな利点で、車両価格を抑えられるため、コンパクトカーやミニバンなど多くの車種に採用されています。
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直進安定性に優れているのもFF車の特徴です。重量物であるエンジンが搭載されたフロントタイヤ側で車を引っ張る駆動方式であるため、比較的容易に直進安定性を高めることができます。前輪で駆動することで、高速走行時の横風にも強くなります。雪道や雨天時の滑りやすい路面でも、駆動輪である前輪が路面を強く押しつける形になるため、FR車よりスリップしにくく、運転がしやすいとされています。
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フロントエンジン・フロントドライブのデメリット

FF車のデメリットとして、前輪タイヤの消耗が早いことが挙げられます。前輪はブレーキ荷重の掛かる割合が高いため、タイヤが後輪よりも減りやすいのですが、FFでは前輪が駆動輪も兼ねることにより、前輪の減りがさらに早くなります。FF車は駆動輪と操舵輪を兼ねるフロントタイヤの寿命が、リアタイヤの半分から3分の1程度と短くなる傾向があります。
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操舵性能の面では、タイヤの切れ角が確保しにくい場合があります。太いタイヤを履いている場合などはタイヤの切れ角が確保できず、小回りが利かないことがあり、Uターンの際に切り返しが必要になることもあります。前輪が駆動輪と操舵輪を兼用することにより、狭いスペースに複雑なメカニズムを凝縮することになるため、操舵メカニズムなどへの負荷を軽減する必要があります。
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かつては激しいタックイン(コーナリング中にアクセルを戻すとクルマがインを向く現象)が出るなどフィーリングに悪い意味でクセが強いといった弱点もありました。また、車は加速の際リヤに荷重が動くので、FF車は強い加速の際にノーズが浮きやすくトラクションが弱く、大パワーに対応できないという弱点もありました。ただし、ここ20年ほどは技術やタイヤの飛躍的な進歩により、シビックタイプRのような300馬力以上あるFFが市販されていることからも分かるように、これらの弱点は払拭されています。​

フロントエンジン・フロントドライブと他の駆動方式との違い

FR(フロントエンジン・リヤドライブ)車は、エンジンは同じく車の前方にありますが、トランスミッションは車体の中央(運転席と助手席の間)に配置され、プロペラシャフトを介してデフに動力が伝わり、ドライブシャフトを経て後輪を駆動させて走ります。FR車は駆動力をエンジンルームから後輪側に伝えるプロペラシャフトやデフなどが必要で、そのメカニズムは車体の中央を通るため、車内スペースを圧迫してしまうという欠点があります。​
4WD(四輪駆動)は、エンジンの搭載位置によらず4輪のすべてを駆動輪とするものです。FF車・FR車はそれぞれ前輪や後輪のみに駆動力が働きますが、4WDは前後両輪にエンジンの力を伝えることができるため、仮に前輪のみ空転してしまっても脱出できる利点があります。ただし、4WDは機構が複雑なため、重量が増し、燃費が劣る傾向にあります。
参考)自動車の駆動方式「FF・FR・4WD」完全ガイド|違いやメリ…

重量バランスの観点では、FRは前部にエンジンがあり後輪を駆動させるため、車両全体の重量配分のバランスが前後で50対50に近くしやすい構造になります。一方、FFは前輪に荷重がかかりやすく、前輪の荷重配分比が65%程度と大きいため、駆動力としてはFRより良く働き、これが雪道でFR車より、FF車が運転しやすいといわれる理由です。
参考)『4WDとFFの冬道走行性能』 トヨタ のみんなの質問

フロントエンジン・フロントドライブのメンテナンスポイント

FF車のメンテナンスで特に重要なのが、タイヤローテーションです。FF車は駆動輪と操舵輪を兼ねるフロントタイヤの寿命が短くなるため、タイヤの位置を変えるタイヤローテーションを定期的に行うことで、タイヤの寿命を延ばすことができます。一般的な使用頻度であれば、走行距離5,000kmごとにタイヤローテーションを実施するのが目安とされています。
参考)タイヤ交換時期の判断基準!プロが教える目安や寿命

FF車の場合、タイヤローテーションは右前輪と右後輪、左前輪と左後輪を入れ換える方法が一般的です。タイヤのサイズにもよりますが、一般的なタイヤのゴムは走行距離約5,000kmにつき1mm摩耗するため、定期的な点検とローテーションが必要です。前輪駆動車は、フロントタイヤが片減りしやすいので注意が必要で、車が止まった状態でハンドルを切ることも、タイヤの摩耗を早めてしまう要因の一つとなります。
参考)タイヤの片減りはなぜ起きる?原因と偏摩耗を防止する対策を紹介…

駆動系のメンテナンスでは、エンジンとトランスミッションが一体構造(トランスアクスル)となっているため、デフとミッションは一体構造で、プロペラシャフトもありません。そのため、FR車と比較してメンテナンス箇所が少なく、整備性に優れています。ただし、狭いスペースに複雑なメカニズムが凝縮されているため、専門的な知識が必要な部分もあります。
参考)http://www.carphys.net/practice/FF.html

フロントエンジン・フロントドライブ車の代表車種

現在、日本の自動車市場ではFF車が主流となっており、軽自動車から大型ミニバンまで幅広い車種に採用されています。トヨタでは、アルファード、シエンタ、ハリアーなどの人気車種がFF方式を採用しています。ホンダではヴェゼルがFF車の代表的なモデルとなっており、マツダではCX-5もFF設定があります。
参考)https://kakaku.com/kuruma/spec/drivetype=3/

スポーツカーの分野でも、FF車は存在感を示しています。ホンダを代表し世界に誇るシビック タイプRは、300馬力以上を発揮するFFスポーツカーとして、技術的な進歩を象徴するモデルとなっています。スズキのスイフトスポーツも、FFのホットハッチとして軽量で走りが楽しい車として人気を集めています。
参考)FF車のスポーツカー(中古価格・値段相場・特徴等)を一覧でま…

トヨタの初代ターセル&コルサは、1978年に登場しFFを採用した先駆的なモデルで、後にカローラIIと共にFFハッチバック3兄弟として「タコツー」の愛称で親しまれました。これらの車種は、FF車が日本市場に普及する契機となった重要なモデルです。コンパクトカーから大型ミニバン、スポーツカーまで、FF方式は現代の自動車において最も多様な車種に採用されている駆動方式となっています。
参考)一番乗りはスズキ! クルマ好きでも意外と知らない各国産メーカ…

 

 


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