レクサスが2012年に生産を終えた伝説的スーパーカー「LFA」。そのV10エンジンから生み出された「天使の咆哮」と称されたサウンドは、世界中の自動車ファンの心を掴んで離しません。LFAは採算度外視で設計され、わずか500台の限定生産で終わった。その後継モデルとなるLFRレクサスは、単なる後継車ではなく、新たな時代のスーパーカー戦略を象徴するモデルとして開発されています。グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでのプロトタイプ公開により、その開発が着実に進んでいることが確認されました。
LFRレクサス新型の登場は、複数の確実な証拠によって支持されています。2022年の東京オートサロンでTOYOTA GAZOO Racing「GR GT3 Concept」が発表された際、このコンセプトカーの市販版こそがLFRであると業界関係者に見られていました。さらにレクサスは2022年10月、欧州連合知的財産庁に「LFR」の商標を出願。これは次期スーパーカーの正式名称がLFRであることを強く示唆しており、プロダクション化への意思表示です。最終的には2025年7月のグッドウッドで、GT3レース仕様車と共にLFRプロトタイプがヒルクライムを走行し、その排気音を世界に披露しました。
LFAのV10エンジンから大きく方針を転換したLFRレクサスのパワートレインは、新開発の4.0リットルV8ツインターボエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせた画期的な構成です。エンジン単体で約720～730馬力、モーター出力で約180馬力、システム総合出力は850～912馬力に達すると予想されており、国産スーパーカー史上最高のパワーとなる見込みです。グッドウッドでのテスト走行時の排気音は、V10のような高周波サウンドではなく、低く太いアメリカンマッスルカーのような轟音であったと報告されており、V8エンジンの搭載を確実にしています。
ハイブリッド化の採用は、単なるパワーアップを狙ったものではありません。モーターによるトルクアシストにより、発進加速やレスポンス向上を実現しながら、同時に環境規制への対応も図られています。LFAが560馬力だったことを考えると、LFRレクサスの900馬力近い出力は1.6倍を超える圧倒的なパワーアップです。このパワートレインにより、0-100km/h加速は2秒台後半に到達すると予想され、欧州の強豪スポーツカーを大きく上回る性能を示します。ハイブリッドシステムの採用により、ジェネレータブレーキによる高度なエネルギー回収と電力制御も可能になります。
スパイショットから確認されるLFRレクサスのプロポーションは、古典的なフロントエンジンスポーツカーの黄金比「ロングノーズ・ショートデッキ」を採用しています。低く構えたシルエットと大きく張り出した前後フェンダーが、そのハイパフォーマンスを視覚的に表現しています。フロントエンドでは、レクサス象徴のスピンドルグリルが最新デザイン言語「ユニファイドスピンドル」へ進化し、ボディと一体化した統合的なデザインになると予想されます。
細長くシャープなヘッドライト、大型の台形エアインテーク、そして空力を重視したカナードの配置により、アグレッシブで未来的な印象を与えます。サイドビューでは、垂直エアダクトとフラッシュドアハンドルが装備され、ボディサイドの張り出しがサーキット走行を想定した設計であることを示唆しています。リアでは、近年のレクサストレンドである一文字LEDテールランプと、LFA同様にリアラジエーターを配置する設計から来る大型エアダクトが特徴的です。クワッドエキゾーストパイプも確認されており、レーシングカーの要素を公道仕様に昇華させたデザインが際立ちます。
複数の自動車専門誌と海外メディアによる予測を統合すると、LFRレクサスのワールドプレミアは2025年後半から2026年初頭、納車開始は2026年から2027年にかけてと見られています。特に注目すべきは、GT3マシンが2026年のWEC（世界耐久選手権）への参戦が決定していることです。このため、市販版LFRレクサスのホモロゲーション取得とリンクしたスケジュールで発表される可能性が高く、開発の遅延がなければ2025年内の公開も十分に現実的です。
価格帯については、LFAのような採算度外視の特別限定版ではなく、ポルシェ911やメルセデスAMG GTといった量産スーパーカーと競合するカタログモデルとして展開される見通しから、3000万円台からのスタートが最も有力です。複数の報道では3000～4500万円の価格帯が示唆されており、これはLFAの3750万円とほぼ同等の水準になります。オプションや高性能バージョンを含めると、最高で5000万円を超える可能性もあります。量産効率とグローバル市場への対応を考慮すれば、LFAの教訓から、より広いユーザーベースへのアクセスを図る価格戦略が採られると予想されます。
2025年のグッドウッドでライブストリーム映像から初めて内装の一部が公開されたLFRレクサス。公開された車両は情熱的な赤と黒のツートンカラーで仕上げられ、パッドが最小限に抑えられたカーボンファイバー製シェルを持つフルバケットシートが装着されており、スパルタンで本格的なレーシング志向が明確に表れています。直線基調で水平に広がるダッシュボードと、ドライバー側に集約されたシンプルな操作系が特徴で、大型センターディスプレイの下には物理スイッチが並び、操作性も考慮されていることがわかります。
アルカンターラが多用されることで、質感とレーシーな雰囲気を完璧に両立させています。これはLFAの工芸品的なこだわりとは異なる、より実践的で機能性重視のアプローチと言えます。LFRレクサスの内装デザインからは、サーキットでのテスト経験から最適化された、本来のレーシング環境を想定した設計思想が読み取れます。ドライバーの視認性向上や操作系の集約化など、GR GT3コンセプトから市販化する際の工夫が随所に見られ、レーシングカーの直系市販車としてのポジショニングを強調しています。
LFRレクサスが投入される高性能スポーツカー市場は、ポルシェやフェラーリといった欧州の強豪メーカーがひしめく激戦区です。開発テストの際、プロトタイプがメルセデスAMG GTと共に走行している姿が目撃されており、これが直接的なベンチマークとなっていることが示唆されています。パワー面ではLFRレクサスの約900馬力に対し、メルセデスAMG GT 63 S E PERFORMANCEは843馬力、ポルシェ911 Turbo Sは650馬力、フェラーリ296 GTBは830馬力と、LFRレクサスが全て上回っています。
0-100km/h加速でも、LFRレクサスの予想2秒台後半に対し、AMG GTは2.9秒、フェラーリ296 GTBも2.9秒であり、加速性能で優位に立つ見込みです。駆動方式の違いも重要で、ライバル車がAWD（四輪駆動）やMR（ミッドシップ）を採用する中で、LFRレクサスはFR（後輪駆動）を選択しています。これは古典的で操る楽しさを重視したドライビングエクスペリエンスを提供する方針を示唆しており、LFA同様の伝統的なFRスポーツカー文化を継承しています。
価格帯ではLFRレクサスの3000万円台がAMG GTの約3300万円やポルシェ911 Turbo Sの約3200万円と同等レベルで、フェラーリ296 GTBの約4000万円より割安です。レクサスならではの品質、信頼性、ハイブリッド技術を武器に、欧州勢とは一線を画した独自の価値を提案できるかが成功の鍵となります。
参考：レクサス新型スーパーカー「LFR」開発進行の確実な証拠について
【2025年最新】レクサスLFR(LFA後継)ついに登場！900馬力V8ハイブリッドで価格は3000万円台 | アジカ
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでのプロトタイプ公開とV8サウンド情報
「天使の咆哮」はどうなる？レクサスの新スーパーカー『LFR』 | Response
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