CX-90の全体寸法は以下の通りです。PHEV仕様での公式データから、全長5100mm、全幅1994mm、全高1740mm、ホイールベース3120mmが確認されています。同時に全高も1740mmで、これはCX-60の1685mmから55mm高くなっており、より重厚感のあるシルエットが実現されています。19インチおよび21インチのホイールオプションに対応し、大型タイヤを装着可能な設計となっています。
重量についても、CX-90 PHEV仕様は3109kgと、CX-60 PHEV仕様の2040kgから1000kg以上重くなります。この重量差は、拡大されたボディサイズと3列目シート追加、さらにPHEV駆動システムによるもので、実用性と走行性能のバランスが取られています。燃料タンク容量も70リットルに設定され、CX-60の50リットルから20リットル増量されており、北米の広大な国土での長距離走行を想定した設計です。
CX-90がどれほどのサイズか理解するため、競合車種との比較が有効です。トヨタランクル300は全長4985mm、全幅1980mm、全高1980mm、ホイールベース2850mmで、CX-90はランクルより全長115mm長く、全幅14mm広く、ホイールベースは270mm長い設計です。つまり、CX-90はランクルより大型でありながら、全高はランクルより低く設計されており、低重心の走行性能を実現しています。
北米フルサイズSUVとの比較では、キャデラックエスカレードが全長5382mm、ジープワゴニアが全長5453mmで、CX-90はこれらより200～350mm短いミドルサイズフルサイズ域に位置しています。一方、CX-9との比較では、CX-90の優位性が明確です。全長35mm、全幅24mm拡大、そしてホイールベース190mm拡張により、室内空間でCX-9を大きく上回っています。この設計進化により、3列シート快適性が次元の異なるレベルに到達したモデルとなっています。
CX-90が採用する後輪駆動レイアウトは、寸法設計に大きな影響を与えています。従来の前輪駆動方式と異なり、エンジンを縦置き配置することで、ボンネット部分が長くなり、キャビン部分も効率的に延長できます。この設計により、ホイールベース3120mmという長さを実現しながらも、全体的な車体バランスが取れた外観を作り出しています。
後輪駆動方式による長いホイールベースは、乗車快適性だけでなく、走行性能にも大きなメリットをもたらします。重心配置が最適化され、重い3列目乗員の配置でも車体重心が安定します。また、エンジンルームが長いため、3.3リットルターボエンジンや2.5リットルハイブリッドエンジン、さらにPHEVシステムといった大排気量ユニットを十分に収納できる空間が確保されています。この寸法的余裕が、北米市場で求められるパワフルなパフォーマンスを実現する基盤となっています。
CX-90のサイズ設計思想は、今後日本に導入予定のCX-80に確実に活かされます。CX-80は全幅がCX-60と同じ1890mmに調整される見込みで、日本の駐車場や道路制限に対応させた仕様になると予想されています。一方、全長はCX-90の5100mmから4950mm程度に抑えられる可能性が高く、立体駐車場の全長制限5m以下を満たす設計になると考えられます。
このCX-80への設計変更は、CX-90で完成させた3列シート快適性やホイールベース延長による室内空間確保の思想を継承しながら、日本市場特有のニーズに対応させるものです。ホイールベース3120mmはCX-80でも保持される見込みで、日本でも十分な3列シート快適性が確保されるでしょう。CX-90で培われた後輪駆動レイアウトのメリット、そして走行性能向上技術が日本仕様に導入されれば、国内3列シートSUV市場に大きなインパクトをもたらすことになります。マツダのラージ商品群戦略は、CX-90のグローバル展開を通じて確立された設計知見を、各市場に最適化させながら展開する中期戦略と位置付けられています。
駐車場制限の現実を見ると、日本の立体駐車場の多くは全長5m以下、全幅1850mm以下という制限を設けており、CX-90の全長5100mm、全幅1994mmでは利用できない施設が大半です。この制約条件がCX-80への寸法調整を促進させており、CX-80のサイズ最適化が市場受容性を大きく左右する重要な要素となります。
CX-90の大型サイズは、運転特性に多くの影響を与えます。全長5100mmという長大ボディは、駐車場での取り回しや狭い道路での運転に注意が必要です。北米の広々とした駐車場を想定した設計のため、日本のコンパクト駐車スペースでは対応が難しくなります。しかし、高速道路での走行安定性は大幅に向上しており、長いホイールベースと広いトレッドにより直進安定性が高く、横風の影響も受けにくい設計です。
3120mmホイールベースによる重心低位設計により、コーナリング時の安定感が優れています。PHEV仕様で3109kgの車重がありながら、後輪駆動レイアウトの重量配分最適化により、ダイナミックな走行性能を実現しています。燃料タンク70リットルの大容量設定は、北米の広大距離走行を前提としており、日本の一般的な使用範囲ではタンク満杯での走行機会は限定的です。
北米での実用運用では、CX-90の大型サイズはむしろ利点として機能します。高速道路での余裕ある走行、複数家族での長距離移動、オフロード走行時の地上高確保など、北米の使用環境に最適化されたパッケージとなっています。日本でのCX-80展開時には、この走行特性がどの程度継承されるか、寸法調整による走行バランス変化が注視されています。
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