「予備検査付き」でも、法定点検を受けないと追加で1〜2万円の出費が発生します。
予備検査とは、ナンバープレートのない車(一時抹消登録済みの車)が受ける車検、あるいはユーザー車検の前に行う事前確認の検査のことを指します。一般的な車検と検査内容はほぼ同じですが、合格しても新しい車検証は交付されず、代わりに「自動車予備検査証」が発行される点が大きな違いです。
普通車における予備検査には、大きく分けて2つの種類があります。
1つ目は「ナンバーのない車の予備検査」です。これは、廃車手続き(一時抹消登録)を行いナンバーを返却した普通車を、再び路上で使用するために受けるものです。個人間の中古車売買でよく見られる「予備検査付き」「予備検査渡し」という表記はこちらに当たります。
2つ目は「ユーザー車検前の予備検査」です。自分で車検を通す際、本番の検査で不合格になるリスクを事前に下げるために、民間の予備検査場などで実施します。本番前のリハーサルのような位置づけです。
目的が違えば必要書類も変わります。この違いをしっかり把握しておくことが、手続きをスムーズに進める第一歩になります。
予備検査は陸運局(普通車の場合)か、民間が運営する予備検査場で受けられます。検査内容は同じ設備を使った本番と同等の水準です。
国土交通省 自動車登録ポータル|新規登録に必要な書類一覧(公式)
ナンバーのない普通車が予備検査を受ける際に必要な書類は以下の3点です。
| 書類名 | 補足 |
|---|---|
| 登録識別情報等通知書 | 一時抹消登録時に交付される書類。軽自動車の場合は「自動車検査証返納証明書」 |
| 譲渡証明書 | 所有者が変わる場合に必要。所有者の認印を押印したもの |
| 認印(個人)または社印(法人) | 登録識別情報等通知書に記載された所有者のもの |
このうち「登録識別情報等通知書」は、一時抹消登録を行ったときに陸運局から交付される書類です。陸運局で発行手数料350円を支払えば再発行も可能ですが、手元にない場合は事前に確認しておきましょう。
重要な点が1つあります。ナンバーのない普通車を検査場まで運ぶためには、「仮ナンバー(臨時運行許可)」が必要です。これは市区町村の役所の窓口で申請でき、手数料は750円程度です。申請の際には自動車検査証または登録識別情報等通知書と、有効な自賠責保険証明書が必要になります。仮ナンバーを取得せず公道を走ると道路運送車両法違反になるため、必ず事前に手配しましょう。
仮ナンバーのことを忘れがちですね。
また、レッカーや陸送業者を使って検査場まで運ぶ方法もあります。その場合、距離にもよりますが約1万円前後の陸送費用が別途かかります。費用を抑えたい場合は、仮ナンバーを取得して自走する方法のほうがコストを大幅に削減できます。
くるなび|臨時運行許可(仮ナンバー)の申請方法と必要書類の詳細
ユーザー車検の前に行う予備検査の場合、必要書類はナンバーなし車とは異なります。こちらは通常の継続車検とほぼ同じ書類を用意します。
| 書類名 | 補足 |
|---|---|
| 自動車検査証(車検証) | 現在のもの(有効期限内) |
| 認印 | シャチハタ不可の場合もあるため朱肉式を推奨 |
| 自動車税納税証明書 | 毎年5月頃に届く支払い済みのもの。電子化により省略できる場合もある |
| 自賠責保険証明書 | 新旧2枚用意すると安心 |
つまり、書類は継続車検と同じです。
ここで知っておきたいのが、2023年1月以降に導入された「電子車検証」についてです。車検証が電子化されたことで、ICチップ搭載の電子車検証を持参する形になっています。旧来の紙の車検証を持っている場合は内容に変更がなければそのまま使用できますが、電子車検証の場合はスマートフォンで専用アプリ「自動車検査証閲覧アプリ」を使って情報を確認できます。紛失に備えて事前にアプリをインストールしておくと便利です。
また、自動車税の納税証明書については、普通車はオンラインで納税確認が行われる場合があり、電子的に照合できる場合には証明書の持参を省略できます。ただし確認できない場合もあるため、念のため紙の証明書を持参するのが無難です。省略できるかどうか不安な場合は事前に陸運局に確認しておきましょう。
予備検査証を取得しただけでは、普通車を公道で走らせることはできません。ナンバーを取得して正式に登録するための手続きが別途必要です。この段階で必要な書類がまとまって発生します。
本登録(新規登録)に必要な書類は次のとおりです。
車庫証明書は3〜6日かかります。
特に注意が必要なのが車庫証明書の取得です。普通車の場合、車庫証明書の取得は必須です(軽自動車と異なり省略できません)。管轄の警察署への申請から交付まで通常3〜6日かかり、費用は地域によって異なりますが2,700〜2,800円程度です。予備検査証の有効期限(交付から3ヶ月)内に本登録を完了させるためには、逆算して早めに車庫証明の申請を始める必要があります。
本登録の際には、自動車重量税と自賠責保険料の支払いも発生します。普通車(エコカー減税なし、重量1.5トン以下、13年未満)の自動車重量税は2年分で24,600円、自賠責保険料は2年間で17,650円(2024年4月以降の参考値)が目安です。これらは予備検査の段階では支払いが不要で、本登録のタイミングで初めて必要になります。
予備検査証の有効期限は「交付日から3ヶ月」です。これが原則です。
一般的には「3ヶ月あれば余裕がある」と思いがちですが、個人売買の中古車では注意が必要です。「転売の転売」など、複数の人の手を経て流通している場合、実際に手元に届いたときには残り期限が1ヶ月を切っていたというケースも珍しくありません。
予備検査付きの車を個人売買で購入する場合は、自動車予備検査証の交付日と現在の残り期限を購入前に必ず確認することが重要です。
期限が切れてしまった場合、再度予備検査を受けることは可能ですが、普通車の場合は再検査手数料として約2,500円(検査場への持ち込み費用は別)がかかります。期限切れに気づかないまま本登録ができなくなるという事態は、十分に起こり得るリスクです。痛いですね。
また予備検査証の有効期限内に本登録を完了しても、自動車予備検査証に記された有効期間をもとに次回車検日が設定されます。有効期限ギリギリで登録すると、次の車検が通常より早く回ってきてしまうことになりますが、これは制度上の仕様です。
期限内に登録が条件です。
予備検査証の有効期限を正確に把握するためには、証明書に記載された「交付年月日」の欄を確認しましょう。3ヶ月後の同日が期限となります。なお、月末に交付された場合の期限は翌々月の末日となりますが、細かい計算は陸運局の窓口で確認するのが最も確実です。
グーネットピット|予備検査の費用・必要書類・期限について詳しく解説
「予備検査付き」の普通車を購入した場合、「車検が2年間有効」という意味では正しいのですが、「整備が完璧に済んでいる」とは限りません。これが、多くの購入者が誤解しやすい落とし穴です。
法定点検(24ヶ月定期点検整備)は、ディーラーや整備工場で車検を受けた場合にはセットで実施されることがほとんどですが、予備検査ではこの法定点検は含まれません。
つまり、予備検査付き≠法定点検済み、という点を覚えておく必要があります。
極端な例を挙げると、エンジンオイルがほとんど空の状態、あるいはブレーキパッドが残りわずかな状態の車でも、予備検査の検査項目(排気ガス・ライト・ブレーキ効力・サイドスリップ等)を通過してしまうケースがあります。車検の検査項目と法定点検の整備項目は別物だからです。
法定点検は必須です。
安心して乗り続けるためには、購入後に整備工場やディーラーで別途法定24ヶ月点検を受けることを検討してください。費用の目安は1〜2万円程度(点検のみ)で、消耗品の交換が必要な場合はさらに追加費用がかかります。これはちょうどA4用紙の束の厚みほどの小さな出費ですが、安全のためには見逃せないコストです。
なお、オークションサイトの中古車情報に「車検整備付」と記載されている場合は少し意味が異なります。これは、「購入後に販売店が責任をもって車検に通るための点検・整備を実施する」という意味で、車両価格に法定24ヶ月定期点検整備費用が含まれていることを示しています。「予備検査付き」と「車検整備付」は別の概念なので、購入前に表記の意味をしっかり確認しましょう。

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