日産のvモーショングリルは、2010年前後から採用が始まりました。最初にこのデザインが採用されたのは、4代目マーチと初代ジュークです。当初は既存のグリルにV字型のパーツを取り付けたシンプルなデザインでしたが、次第に日産車のアイデンティティを象徴する重要な要素へと進化していきました。
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ジュークには2010年の発売時点からvモーショングリルが採用されており、2014年7月のマイナーチェンジではより太いデザインに変更されています。一方、マーチには2013年6月の4代目後期型へのマイナーチェンジで初めて導入されました。この時期から、vモーショングリルは日産の統一デザインとして各車種に展開されていくことになります。
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初期のvモーショングリルは、V字型のメッキパーツによる直接的な表現が特徴でした。しかし年を追うごとに、ボディデザインと一体化した洗練されたスタイルへと変化していき、日産車を一目で見分けられるデザイン要素として定着しました。
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2013年以降、日産の主要車種にはモデルチェンジやマイナーチェンジのタイミングでvモーショングリルが順次採用されていきました。コンパクトカーのノートには、2016年11月の2代目後期型へのマイナーチェンジで導入され、e-powerモデルではV字ラインに沿ってブルーの加飾が施されています。
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エクストレイルやキックスといったSUV系の車種にも、モデルチェンジに合わせてvモーショングリルが採用されました。特にエクストレイルの新型では、メッシュ部分の面積が拡大され、より力強い印象を与えるデザインになっています。また、ミニバンのセレナには2019年のマイナーチェンジで「ダブルvモーショングリル」という特徴的なデザインが採用され、クロームを多用した高級感のある仕上がりになりました。
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各車種への導入時期をまとめると、次のようになります。
これらの車種では、それぞれのコンセプトに合わせてvモーショングリルのデザインが微調整されています。
2022年11月に登場した6代目セレナで、日産は新時代の「デジタルvモーション」グリルを初めて採用しました。このデザインは、従来のV字型メッキパーツを細い横型のメッキやLEDランプに分解することで、ブラック部分と交互に配置し、「0と1」というデジタルな表現を実現しています。この革新的なアプローチにより、一見して先進的な印象を与えることに成功しました。
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デジタルvモーションの正式名称が発表されたのは、2023年4月にマイナーチェンジした軽自動車のルークスが最初です。その後、2023年9月のデイズ、2024年1月のノートとノートオーラにも次々と採用され、現在では日産の新しい「顔」として広く認識されています。ノートのマイナーチェンジでは、有彩色のボディカラーには同色のカラードグリルを、無彩色のボディカラーにはダークメタルグレーのグリルを採用するという独自のアレンジが施されています。
参考)https://note.com/position0_/n/n7721b5bdf590
デジタルvモーションのもうひとつの特徴は、横長のヘッドライトとシームレスに融合させることで、フロントビュー全体をワイドに見せる効果です。さらに、ノートやノートオーラでは、ヘッドライトに留まらず、ボディパネルとの境界もシームレスにする造形が見られ、レクサスの「スピンドルボディ」に似た最近の流行を取り入れています。
vモーショングリルの最大の特徴は、その名の通り「V」の形をしたデザインによって、車両のフロントフェイスに力強さと迫力を与える点にあります。このデザインは日産車のアイデンティティとして確立されており、他のブランドと明確に差別化されています。グリルの形状に加え、メッシュ状の素材やクロームのアクセントが施されており、上級モデルでは豪華さも表現されています。
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vモーショングリルは単なる外観デザインだけでなく、車両の空力性能にも貢献していると考えられています。グリルの形状が空気の流れを最適化することで、走行性能の向上や燃費改善に寄与する可能性があります。また、統一されたデザインアイデンティティにより、ブランド認知度の向上にも大きく貢献しています。
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デジタルvモーションでは、LEDランプを活用することで先進性をより強調し、夜間の視認性向上にも貢献しています。細い横型のメッキやLEDを組み合わせることで、従来のメッキパーツのみのデザインよりも精緻で洗練された印象を与えることに成功しています。
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vモーショングリルの評価は、概ね肯定的なものが多く見られます。特にセレナやルークスのデジタルvモーションは、以前よりもカッコよく馴染みつつ、適度な威圧感を醸し出していると評価されています。セレナの場合、ライバルであるノア・ヴォクシーとステップワゴンの中間的な印象で、悪目立ちせずに地味なオラオラ感があり、評判は悪くないとされています。
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一方で、デジタルvモーションに関しては賛否両論もあります。ノートのマイナーチェンジ版では、グリルがカラード(同色)になり、バンパーの無塗装部分が減ったことで、のっぺりした印象になったという意見や、新興国向けの価格重視車両のような雰囲気になったという指摘もあります。このように、先進的なデザインを目指す一方で、質感に関する評価は分かれているのが現状です。
今後の展望としては、現在ガソリン車やe-power搭載車種のみに採用されているデジタルvモーションが、リーフなどのEVにも採用されるかどうかが注目されています。2025年のジャパンモビリティショーで世界初公開された改良新型アリアでは、vモーショングリルのないまったく新しいデザインが採用されており、EV専用の新たなデザインアイデンティティが確立される可能性もあります。日産のデザイン戦略は今後も進化を続けていくことが予想されます。
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