v6エンジンは、ふたつの直列3気筒エンジンをV字型に組み合わせた構造を持つレシプロエンジンです。同じ排気量の直列6気筒エンジンと比べて全長を短く設計できるため、エンジンルームレイアウトの自由度が高く、高出力を発揮しながら振動が少ないという特徴があります。2025年現在、V6エンジンの乗用車を国内販売している国産メーカーはトヨタと日産だけとなっており、貴重な存在となっています。
参考)V型6気筒 - Wikipedia
v6エンジンは2本の直列3気筒エンジンをV字型に組み合わせる設計により、非常にバランスが良く、高い出力や太いトルクを得ながら振動が少なくスムーズな走行を可能とします。左右にシリンダー列を分けるため幅は広がるものの、総じてコンパクトなエンジンとすることができ、前後タイヤの間にエンジンを置くミドシップレイアウトも可能です。
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モータースポーツの世界でも古くから使われてきた実績があり、一般的に高性能なものと考えられています。フェラーリ・296GTBやリバイバルしたフォード・GT(2代目)が伝統的なV8ではなくV6ターボを採用したのは、ダウンサイジングコンセプトと電動化の流れの中でV6エンジンが注目されている象徴的な事例です。
スポーツカーをはじめ高性能モデルに採用されることが多く、クランクシャフトを縦方向にも横方向にも配置したモデルが存在するなど、設計の自由度が高いのも大きな魅力です。
直列3気筒エンジンをV字型に組み合わせる設計のため、直列にシリンダーを配置するエンジンと比べて構造が複雑になります。その結果、製造コストが高くなり、修理やメンテナンスも高額になりがちです。
参考)https://news.livedoor.com/article/detail/24403038/
v6エンジンは高出力を発揮するため、燃費が悪くなることもあります。日産フェアレディZの場合、WLTCモード燃費は10.2km/Lで、市街地モードでは6.6km/Lとなっています。ハイブリッドモデルも増えてきてはいますが、燃費をシビアに考えるドライバーには不向きなエンジンかもしれません。
参考)日産:フェアレディZ [ Z ] スポーツhref="https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/z/performance.html" target="_blank">https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/z/performance.htmlamp;スペシャリティ …
シリンダーのバンク角度によって左右のバンクでパワーの偏りが生じる場合があり、車両のバランスに影響を与える可能性もあります。それを軽減するために、バランスウエイトやバランスシャフトを用いることも多いです。排気量が大きいものが多く、他のエンジンタイプに比べて重量が重くなることで、車両の重量が増加し操縦性が低下する可能性も考えられます。
2025年現在、v6エンジンを搭載した国産車のラインナップは大幅に縮小しています。トヨタでは、センチュリー、ランドクルーザー、レクサスLS、LX、GXがv6エンジンを搭載しています。日産では、フェアレディZ、スカイライン、エルグランドがv6エンジンモデルとして継続販売されています。
国産v6エンジン搭載車の主なモデル
| メーカー | 車種 | エンジン種類 | 排気量 |
|---|---|---|---|
| トヨタ | センチュリー | V6ハイブリッド | 3.5L |
| トヨタ | ランドクルーザー | V6 | 3.5L |
| レクサス | LS | V6ツインターボ/ハイブリッド | 3.5L |
| レクサス | IS | V6 | 3.5L |
| レクサス | RC | V6 | 3.5L |
| 日産 | フェアレディZ | V6ツインターボ | 3.0L |
| 日産 | スカイライン | V6ツインターボ/ハイブリッド | 3.0L/3.5L |
| 日産 | エルグランド | V6 | 3.5L |
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レクサスISは2.5L V6エンジンの「IS250」グレードや、3.5L V6エンジンの「IS350」グレードを展開していました。レクサスLSはV6 3.5Lツインターボとハイブリッドモデルを用意しており、プレミアムセダンとしての地位を確立しています。
参考)レクサス・IS - Wikipedia
v6エンジンスポーツカーは、パワーとドライビングの楽しさを両立したモデルが多数存在します。日産フェアレディZは3.0L V6ツインターボエンジン(VR30DDTT)を搭載し、最高出力405PS、最大トルク475N・mという圧倒的なパワーを誇ります。小径ツインターボや水冷式インタークーラー、電動VVTシステムを採用することで、ダイレクトなアクセルレスポンスを実現しています。
日産GT-Rは3.8L V6ツインターボエンジンを搭載し、スーパーカーに匹敵する性能を発揮します。レクサスRCは3.5L V6エンジンを搭載したラグジュアリークーペで、スポーティさと快適性を高次元で両立しています。
スポーツカーにおけるv6エンジンは、高回転域まで気持ちよく吹け上がるキャラクターと、低中回転域からしっかりとしたトルクを両立できるのが特徴です。美しいエンジンサウンドを響かせることができるモデルも多く、ドライビングの楽しさを追求するユーザーから高い評価を得ています。
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v6エンジンを搭載したSUVやミニバンは、大型ボディを余裕を持って走らせることができる魅力があります。トヨタ・ランドクルーザーは本格的なオフロード性能と高級感を兼ね備えたSUVで、v6エンジンの採用により優れた動力性能を発揮します。
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初代トヨタ・ハリアーハイブリッドは3.3L V6エンジン&ハイブリッドシステムを搭載し、10・15モードで17.8km/Lという燃費性能を実現していました。「速い」こともセールスポイントとする車のパイオニア的存在として、現在でも人気があります。
日産エルグランドは3.5L V6エンジン(VQ35DE型)を搭載し、最高出力280PS、最大トルク344Nmを発揮します。大型ミニバンとして、長距離ドライブでもパワーに余裕があり、快適な移動を可能にしています。2026年度にフルモデルチェンジが予定されており、e-POWER専用車になる可能性があるため、純ガソリンv6エンジンモデルは希少性が高まっています。
輸入車においても、v6エンジンは多くの魅力的なモデルに採用されています。VWパサートV6 4モーションは3.2L V6エンジンと4WDシステムを組み合わせ、長距離ドライブに最適なパワートレインを持っています。車内はもちろん、車外にもフル加速時にはノーマルマフラーでも惚れ惚れするほどの美しいサウンドを響かせてくれる点が素晴らしいです。
ポルシェ・カイエンはベースグレードにv6エンジンを搭載し、SUVながらスポーツカーのような走行性能を実現しています。メルセデスベンツEクラスの2.4L V6エンジンモデル(E240)は、最高出力170馬力と十分なポテンシャルを備えており、シャシーの剛性が高いためカチッとした乗り味を提供します。
参考)https://www.goo-net.com/cgi-bin/fsearch/goo_used_search.cgi?category=USDNamp;phrase=v6amp;query=v6
ジャガーXタイプは2.1L V6エンジンを搭載し、低中回転域からしっかりとしたトルクがありながら、レッドゾーンまで気持ちよく吹け上がるキャラクターのエンジンを備えています。ジャガーならではのしなやかに路面を追従する足まわりと相まって、高速道路やワインディングも楽しめるセッティングとなっていました。
v6エンジン搭載車は、ダウンサイジング化や電動化の流れの中で貴重な存在となりつつあります。高出力とスムーズな走行性能を兼ね備えたv6エンジン車は、今が狙い目かもしれません。