スタビリティ・コントロールとは:車両安定性を守る横滑り防止装置の仕組みと効果

急なハンドル操作や滑りやすい路面で車の姿勢を自動制御するスタビリティ・コントロール。その仕組みや各メーカーの呼称の違い、実際の事故軽減効果について詳しく解説します。あなたの車にも搭載されていますか?

スタビリティ・コントロールの仕組みと役割

スタビリティ・コントロールの3つのポイント
🚗
横滑り防止

急なハンドル操作時の車両の横滑りを検知し、自動的にブレーキとエンジン出力を制御して姿勢を安定

⚙️
センサー制御

ヨーレートセンサーやGセンサー、車輪速センサーなどが車両状態を常時監視

📊
高い事故軽減効果

車両単独事故で約44%、正面衝突事故で約24%の事故削減効果を実現

スタビリティ・コントロールの基本原理


Tidal Tank – 砂袋の代わりにオリジナルアクアバッグ – トレーニングパワーバッグ – 究極のコアとバランスワークアウト – ポータブルスタビリティフィットネス機器 (スリム(最大30ポンド)、ブルー)

 

スタビリティ・コントロールは、車の動作が乱れた際に駆動力やブレーキの効きなどをコントロールして安定性、操舵性を維持する装置です。正式名称は横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)と呼ばれ、自動車の旋回時における姿勢を安定させる装置の一種として機能します。突然の路面状況の変化や、危険回避などのために急激なステアリング操作をして自動車の車両姿勢が乱れた際、横滑りなどの車両の不安定な挙動を抑制し、走行安定性を確保し、車両の姿勢を安定させるシステムです。
参考)横滑り防止装置 - Wikipedia

システムの基本構成は、従来のABSとEGI(エンジン制御システム)に機能部品を追加したもので構成されています。各種センサーから求めた車両の姿勢や運転状況を監視しており、強いアンダーステアを検知した際は、エンジンの出力を下げスピードを落とすのに加えて、旋回内部の後輪にブレーキをかけて傾向を抑えます。また、強いオーバーステアを検知した際は、旋回外部の前輪にブレーキをかけて傾向を抑えています。
参考)https://www.goo-net.com/knowledge/11130/

ESCは、オーバーステアやアンダーステアなどの車両が不安定な状態を検知すると、各種センサーから得られた情報を元にブレーキやエンジン出力を自動統合制御することによって理想の走行状態に近づけるよう車両の姿勢を自動制御し、車両の急激な挙動変化を抑え、可能な限り車両の挙動を安定させます。​

スタビリティ・コントロールに使われるセンサーの種類

スタビリティ・コントロールシステムは、複数のセンサーで構成されており、それぞれが車両の状態を常時監視しています。最も重要なセンサーの一つがヨー・レート・Gセンサーです。このセンサーは、車体のヨー・レートを検出するヨー・レート・センサと前後左右の加速度を検出するGセンサを一体化したセンサです。
参考)車両安定制御装置:book10 - 自動車整備士試験勉強 始…

ヨー・レート・センサ部は、車両の鉛直軸方向の回転角度(ヨー・レート、自転速度)を検出しています。構造は音叉型の振動式レート・ジャイロを採用し、各振動子は振動部と検出部で構成されており、振動部及び検出部とも圧電セラミックスが張り合わせてあります。この圧電セラミックスは、電圧を掛けると歪みを発生したり、外力によりセラミックスを歪ませると電圧を発生する特性を持っています。​
リニアGセンサ部は、車両に加速度が生じると、センサ内のビーム部がたわみ、この歪みを計測して電気信号に置き換えています。この半導体式センサを2個使用し、車両の前後方向に対してそれぞれ45度の傾きになるように取り付けられています。この2個のセンサ信号の組み合わせにより、水平方向のあらゆる向きの加速度に対して感度を持たせることができ、リニア出力特性と相まって様々な路面に対してきめ細かな制御を行っています。​
さらに、車輪速センサーも重要な役割を果たしています。車輪速センサーは、車輪の回転速度を計測するセンサーで、車輪とともに回転するローターの磁界の変化を検出する非接触型センサーが用いられます。現在ではホール素子やMR素子で検出する半導体型が主流となっています。
参考)車の車両制御とは? ABS、TRC、ESC、EPSなどを解説…

スタビリティ・コントロールの義務化と普及状況

日本では横滑り防止装置の安全性向上効果が認められ、段階的に装着が義務化されています。国土交通省は2010年12月9日、これまで任意装着だったESC(横滑り防止装置)とBAS(ブレーキアシストシステム)を、安全性向上の観点から義務化すると発表しました。
参考)国交省、横滑り防止装置とブレーキアシストシステムを義務化 -…

義務化のスケジュールは段階的に実施されており、新型生産車のうち、登録車は2012年10月1日以降に、軽自動車は2014年10月1日以降に新たに型式指定を受ける車両から義務化されました。また、継続生産車については、登録車が2014年10月1日以降に、軽自動車は2018年2月24日以降に製作される車両から適用されています。
参考)車両横滑り防止装置の義務化とハイブリッド - Office …

この改正により、普通車の新型生産車は2012年10月1日、継続生産車は2014年10月1日以降に生産される自動車については、これらの装置がなければ日本国内では販売できないこととなりました。軽自動車も、それぞれその2年遅れで装着が義務づけられています。​
義務化の背景には、横滑り防止装置の高い事故軽減効果があります。予防安全装置として認識が高まり、近年、乗用車において採用が進んできた結果、標準装備化が実現しました。
参考)スタビリティコントロール|[大車林]自動車総合情報・専門用語…

スタビリティ・コントロールのメーカー別呼称の違い

横滑り防止装置は自動車メーカーや供給するサプライヤーによって呼び名が異なることが特徴です。メルセデス・ベンツが最初に採用したときにはESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)の名前でしたが、日本ではトヨタがVSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)の名前で採用を始めました。
参考)メーカーごとに名称が異なる横滑り防止装置(ESC)とは?日本…

国産メーカー各社の横滑り防止装置名称は以下の通りです。トヨタとダイハツはVSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)、日産とスバルはVDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)、ホンダはVSA(ビークル・スタビリティ・アシスト)、マツダとBMWはDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)、三菱はASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)、スズキはESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)という名称を使用しています。
参考)【これで解決!? 余計に混乱!???】紛らわしすぎる!! 同…

それぞれに特許の問題などもあるので独自の名前をつけるのは当然といえば当然ですが、メーカーによって名前が異なることが、ユーザーの横滑り防止装置に対する認識が高まらないことにつながっている面があります。一般的にはESC(Electronic Stability Control)と呼ばれ、基本構造には大差はありません。
参考)VSC/Vehicle Stability Control …

かつてABSもメルセデス・ベンツとボッシュが特許を公開しなかった時期があり、日本のメーカー各社はABSに違う名前を付けていましたが、ABSで統一することになった以降、日本でも急速に普及が進んだ経緯があります。​

スタビリティ・コントロールの事故軽減効果と統計データ

横滑り防止装置の装着による事故軽減効果は、複数の統計データによって実証されています。最も顕著なのは、車両単独事故で約44%、正面衝突事故で約24%の事故削減効果があるという調査結果です。さらに、車両損傷程度が大きい事故ほど事故低減効果が高く、大破・中破の事故では車両単独事故で約50%以上の事故低減効果が確認されています。
参考)横滑り防止装置標準搭載車の驚異的な事故軽減効果

事故の程度別に見ると、大破事故で約62%、中破事故で約46%の削減効果があることが報告されています。また、路面状況別では、乾燥路で約20%の削減効果があり、滑りやすい路面条件下でもその効果を発揮することが確認されています。​
横滑り防止装置が機能する主な場面は以下の通りです。コーナリングで車体が外側に膨らむ「アンダーステア」を抑える、コーナリングで車体が内側に巻き込む「オーバーステア」を抑える、雪道や降雨時走行での車体のスピンを防ぐ、緊急回避時の車体のスピンを防ぐといった状況です。​
センサーが車両の横滑りを感知すると、制御コンピューターが四輪それぞれにブレーキ制御などを加え、車体を安定させます。VSC搭載車は横滑りが発生した際に、ブレーキやエンジンを使って車体を安定させることで、対向車との衝突事故や道路脇にある工作物との接触を避けられます。
参考)VSCとはどのような機能のこと?搭載車を運転する際のポイント…

高速走行時でも高い効果を発揮でき、スピードが出ると横滑りの危険性が高まりますが、VSCによる調整によって安定な状態を保てます。側方から歩行者や車両の飛び出しを回避したとき、重い荷物を積載した状態で走行するときなどでも高い効果を発揮できることが確認されています。​

スタビリティ・コントロールのOFFスイッチの正しい使い方

安全装置であるスタビリティ・コントロールにOFFスイッチが装備されているのには明確な理由があります。アクティブセーフティに寄与する横滑り防止装置にもかかわらず「オフ」スイッチが装備されているということは、制御を切るべきシーンがあるということです。
参考)車を安定させる「横滑り防止装置」なぜオフにできる? 通常は切…

スイッチでオフにする必要があるシーンとして、泥などでぬかるんだ道や雪道などで動けなくなったときなどが挙げられます。スタックしているときに横滑り防止装置が作動すると、タイヤの空転を抑えてしまい、脱出に必要な駆動力が得られなくなります。スイッチを切ってオフにすることで、タイヤが空転してでもクルマを動かすことができる可能性が高まります。
参考)このスイッチ何かわかりますか?

通常は走行中のクルマの挙動を抑えてくれる横滑り防止装置が、スタックしたときは逆効果というわけです。ぬかるみや雪道などから脱出する際にTRC(トラクションコントロール)が作動してアクセルペダルを踏み込んでもエンジンの力が上がらず脱出が困難な場合があるため、このような状況でOFFスイッチを使用します。​
ただし、注意点として、このスイッチを3秒以上長押しするとVSCとTRCの両方が停止し、プリクラッシュセーフティシステム(自動ブレーキ)も停止します。必要な時以外はVSC・TRCを作動停止しないでください。停止した場合は特に慎重な運転を心がける必要があります。​
雪道でのスリップ事故を防ぐには、急ブレーキ、急ハンドル、急加速、急発進といった「急」のつく運転動作は禁物です。冬用タイヤは雪道でのグリップ力に優れていますが、急な動作のもとでは性能を発揮することができません。VSCを正常に機能させるために、タイヤは必ず同一指定サイズ、同一種類のものを使用することも重要です。
参考)https://www.honda.co.jp/ownersmanual/webom/jpn/freed/2025/details/323456789002787.html

国土交通省による横すべり防止装置の詳細な解説と義務化に関する公式情報
横滑り防止装置の具体的な事故軽減効果に関する詳細な統計データと分析
JAFによる凍結路面での車の操作方法と横滑り防止装置の実践的な活用法

 

 


ソフソール(SOFSOLE) スタビリティ 【人間工学に基づいた硬質・サポート インソール・中敷き】 湿気コントロール素材 サイズ調整可 男女兼用 (Lサイズ 26~27.5cm) 22080